学年末がポイント!登校しぶりのある発達障害・グレーゾーンの小学生を持つママのスムーズな学校とのつながり方とは?

春は大きく環境が変わる時期。発達障害・グレーゾーンのお子さんとお母さんにとっては不安を感じることも多いかもしれません。でも、学校とつながる時期を少しだけ早めることで、親子ともに安心して新年度を迎えることができますよ。

1.小学1年生時代のいじめから不登校へ

もうすぐ新年度。新しい担任の先生に子どものことを知ってほしいけれど、どのように伝えようか、悩むこともあると思います。

わが家も友達とのトラブルで学校にいけなくなった時期がありましたが、先生と早めに情報共有し、配慮をお願いすることで学校へまた通えるようになりました。今回はその体験談をご紹介します。

わたしの息子は現在小学3年生です。

1年生当初は、早起きして学校へ通い、放課後も学童保育で顔を真っ赤にしてダイナミックに動き回り、友達もたくさんできた様子でした。

親の私としても楽しく過ごしているのだろうと安心していたのですが、11月になる日の前夜、「明日から、もう学校にはいきたくない!」と、突然の宣言。

同級生が背中を押してくる、同級生がほかの子にちょっかいをだしたのに、「こいつがやったんだ」と息子がしたことにされてしまう、名前を笑われて、やめてほしいといってもやめてくれない、といった数々を泣きながら話しました。

そのうちのひとりが学童保育に入ってくる日だったので息子にとっては逃げ場がなくなったと感じたのかもしれません。

話をして気持ちも少しおさまっただろうと思いましたが、息子は、翌朝本当に学校にいきませんでした。全力で拒否し、走って逃げたり、家にいれてくれと叫んだり。

その頃は丁度、自治体の子ども支援機関への相談後、受診を待機している時期の出来事でした。

当時はすぐに担任の先生に報告し、他の子ども達との間を取り持ってもらい、家庭では肯定的な声掛けをこつこつと続けました。

少しずつ学校へもスムーズにいけるようになってきた矢先、3学期にコロナ禍となり、2年生になった4、5月も休校。

新年度への引継ぎがなされているかわからないまま、不安な時期が続くことになってしまったのです。

2.発達障害グレーゾーンの子どもは気持ちをうまく伝えられないことがある

 発達障害グレーゾーンの子どもは、授業で口頭での指示が聞き取りにくい板書をするなどの手と目を同時に働かせることが苦手であるという場合も多いです。

集中力が続きにくかったり、切り替えが苦手であったりすることも多く、時間割どおりにやるべきことが切り替わる学校は、とても疲れやすい場所であるといえます。

さらに、自分の気持ちをうまく伝えることが難しい、誰かにサポートを求めることは苦手という特徴があり、からかいやいじめを受けていることを誰にも言えないこともあります。

学校で嫌な思いをしたり、指示が聞き取れず叱られたり、わからないことが重なったりすると、帰宅後は何もしたくなくなることもあります。

親がそれを「だらだらしている」とみて叱責すると、子どもとの関係が悪化してしまうということもあり得ます。その行き詰った感じを理解し、その気持ちに共感しようとする態度こそが重要です。

我が家の息子も、友人のからかいやいじめがあったことに加えて、切り替えの難しさが学校での疲れにつながり、気持ちが不安定になったことで登校しぶりが生じたのです。

3. 年度末早めに動こう!発達障害グレーゾーンの子の担任との連携

 年度の終わりに1回、新年度開始すぐに1回、それぞれ担任の先生にコンタクトできていれば、安心して新しい学年を迎えることができますよ。

我が家ではコロナ休校中に自治体で発達検査を受ける機会を持て、同時に近隣クリニックの発達外来にも相談。

心理士から学校と学童保育あてに息子の特性を手紙にまとめていただき、2年生の6月の再登校時には学校と学童保育に配慮のお願いに行きました。

2年生の担任は、「いまにも椅子から落ちそうな姿勢で座っている」息子に対して、姿勢の注意は最低限にし、「手を積極的にあげて、発表しようとがんばっている」など肯定的な注目をしてくださり、息子は毎日とても疲れて帰宅するものの、連続して休み続けることなく通学することができました。

前年度の進級で不安になってしまった反省を踏まえ、3月に担任の先生に面談をお願いし手紙をお渡しするとともにお話しさせていただきました。面談では以下のことについてお願いしました。

・次年度の先生に伝えてほしいこと
・子どもと同級生との出来事について
・本人の特性について

これまでの先生がたのご配慮によって、家庭でもよい変化があったことを具体的にまとめ、感謝の気持ちも併せて伝えました。

具体的には、発達検査WISC-IVの結果と所見、これをまとめた臨床心理士からのこどもの特徴を書いた書面をそえました。

私からも、

①家庭で学校での出来事を具体的に話せるようになり、これまで、「わからない」「普通」という返事しかなかったものが、先生から注意されたことも、褒めていただいたことも含めて話せるようになったこと

②寝る前に、「僕は消えてしまいたい」と言っていた頃と違い、楽しい話題がでるようになり、落ち着いた雰囲気で眠れるようになったということ

③今後、言語理解が高いために、高学年の子のような話し方をするいっぽう、複数の作業を同時にすすめることが苦手なため、口頭の指示の聞き漏れ、忘れ物、テストのうっかりミスなどが続く可能性があること、これによって、言葉も概念もしっかり理解できているのに、「なぜ行動ができないのだろう、やる気がない、話をきく気がない」と思われてしまう可能性があるので、個人内差の理解と配慮をお願いしたいということを伝えました。

そして、迎えた3年生の新学期。担任と面談し、前年の担任からの引継ぎにより、息子の特性と配慮について理解いただけていることを確認できました。

4.先生との連携強化によって生じた子どもの良い変化

現在の3年生の担任の先生は、「僕も発達について、勉強しています。彼は面白い意見を沢山言うのでこれから楽しみなんですよ。」と励ましてくださいます。

学級通信では、保護者あてに「話したいことがあれば、どんなに小さいことでも、いつでもすぐに声をかけてください」と毎回書かれるようになりました。

具体的な配慮としては、指示が耳から入りやすいように、息子を一番前の席にして、先生にもすぐ息子が目に入る席に配置くださいました。

そのため息子は指示を自分事として捉えられるようになってきました。息子はそれまで、全体への口頭指示について、自分に対して指示されているとは感じにくい様子がありましたが、担任の先生から全体への口頭指示の直後に、一押し確認をしていただくことで、聞き逃しがなくなってきました。

その結果、「人の気持ちについて高学年の生徒がいうような意見を出すことができています。」「楽しくふざけながらも、聞くところは聞けるようになってきましたよ」と先生からも褒めていただく機会が増えました。

朝は途中まで送ってはいるものの、登校時から下校まで、疲れていながらも過ごせるようになっています。

また、親としても、一日通えたこと自体に注目し、日々の本人の学校での取り組みを細分化して

「ノートのこの字は丁寧にかけているね」
「1日がんばって登校できたんだね」
「給食おかわりまでして食べられたんだね」

など、それぞれの行動を肯定できるようになってきました。

 いまの3年生の担任は、すでに「次年度の担任むけには、家の近い仲良い生徒と同じクラスに配置するといった配慮も彼には有効かもしれませんね」「僕は、いま彼にゲームのやり方を毎日質問して教えてもらっているのですよ」と話していただけるまでになりました。

いかがでしたか。

学年末のタイミングと、これから迎える新学期の2回、学校と密に連携することで、現担任から新しい学年の担任へ今年度の引継ぎを確実にしていただくことで、親子ともに安心してあたらしい学年を迎えることができます!

新年度には、早めの段階で学校へ連絡し、お子さんの特性、困りごとや配慮を依頼したい内容をわかりやすくまとめた書類とともに、先生のアポイントを取るようにしてみてはいかがでしょうか。きっと先生のお子さんへの理解度も深まり、一緒に子どもの肯定的側面をみてくださいますよ。

執筆者:花崎加代子 
(発達科学コミュニケーショントレーナー)

新年度、学校との連携のコツをもっと知りたい方はこちら! 

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