1.発達障害グレーっ子に一斉指示が通らないワケ
中学校に進学するとそれまで以上に自主性を求められる環境になります。
先生も小学校のころのように何度も優しく言ってはくれません。
中学生になると先生の話をちゃんと聞けるか、指示に従って動けるかが、学習面も、生活面も含めて、学校生活をスムーズにするためのカギになってきます。
発達障害グレーゾーンの子に一斉指示が通らないワケを考えてみましょう。
学校という集団の環境の中ではたくさんの情報や刺激があってお子さんが「上手に聞く」体験を積むのが難しいことが多いです。
先生の声、友達の話し声、椅子や机の音、チャイムや音楽室からの音など、たくさんの情報があるので集中して聞くという体験を積みにくいのです。
お子さんが、指示を聞いて行動に移せるかどうかを知りたければまず、おウチでのお子さんの様子をチェックしてみてください。
お子さんは、お母さんの指示を聞いて行動に移すことができていますか?
お母さんとのやりとりで指示が通りにくく、行動が遅いと感じるなら学校でも先生の話を聞き逃してしまっている可能性があります。
発達障害グレーゾーンの子は過集中や不注意の特性があって、聞いていないことがよくあります。
これは、聴覚に機能的な問題があるというわけではない(聴覚の検査ではクリアする)けれど、言われたことに注意を向けて聞くための力が弱いという発達の特性が影響していることがあります。
周囲の刺激(声かけや音や視覚情報)をスムーズにキャッチできない、そんな状況です。
さらに、ネガティブな情報はすんなりと耳に届かず結果的にスルーされてしまうことが多いです。
ネガティブな情報とは、
・子どもにとって苦手なことばかりやらせる声かけ
・怒ったような声かけ、表情
・ダラダラと長い声かけで理解にストレスがかかるもの
などが挙げられます。
「早く勉強しなさい!」と怒って言うと聞いてくれないのに、「おやつ食べる?」のような楽しい会話だとすぐに反応するのもそんな理由からなのです。
では、子どもにとってはちょっと嫌だなーと感じることでもスムーズに理解したり、行動に移せるようにするにはどうしたらいいのでしょうか?
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2.聞けない=やる気がないと思われていた我が家の長男
中学生になると、忘れ物をしない、時間通りに動く、積極的に学校生活の行事や役割に参加する、など勉強以外の面でも全てが「評価」の対象になっていきます。
つまり、中学校生活では自己管理が求められるようになるのです。
では、自己管理ができないとなぜつまずくのでしょうか?
我が家の息子の中学生時代を振り返り、詳しく説明します。
授業や学活などの一斉指示を聞けない発達障害グレーゾーンの我が家の息子は
・忘れ物三昧
・勉強もわからない
・係の仕事や行事の準備など全てをスルーしてしまう
そんな困りごとだらけでした。
さらに、「どの科目で何の宿題がでたか」を自分で把握しておくこと自体が難しかった息子は、次第に宿題をやらなくなりました。
情報の整理だけでなくモノの整理も苦手だったので、教科ごとに配布されるプリントや宿題を整理することもしなくなりました。
情報量が多い授業を集中して聞くことができなくなり、授業は息子にとっては「全然楽しくない時間」になっていきました。
こんな様子の息子ですから、「やる気がない」と先生によく注意されていました。
私も、学校の先生に言われるたびに肩身の狭い思いをしました。
そのたびに、
・勉強をもっとしなさい!
・塾で勉強しなさい!
・忘れ物をするんじゃない!
・部活はサボらずに参加しなさい!
など、とにかく息子に、厳しくあれやれ、これやれ、と指示をしていたのです。
ですが、それで良くなることはもちろんありませんでした。
こんな様子の息子でしたが、親子のコミュニケーションを息子の脳に届く形に変えることで「話が聞ける子」に成長したのです!
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3.「聞く力」がグンと伸びるママの3ステップサポート
それでは、「話が聞ける子」になるためには、どんなサポートが必要なのか、日常の指示をする場面をイメージしながら考えてみましょう。
◆1 素直に聞くための準備!
指示を出す時、それはお母さんからしたら「ちゃんとやってほしい」と少しイライラする場面が多いですよね。
ですが、そんな時にネガティブなオーラを出さないことがポイントです。
笑顔で、優しい声で、名前を呼んでみましょう。
子どもの脳は、言葉の中身を理解するよりも表情や声色を処理するスピードの方が早いのです。
「何を言うか」よりも「どう伝えるか」が大切です。
肯定的なコミュニケーションをするためのウォーミングアップだと思ってくださいね。
◆2 ポジティブに、明るく、シンプルに指示を伝える!
「早くお風呂に入りなさい!」では子どもの耳には届きません。
・「お風呂何時から入る?」
・「そろそろお風呂の時間だよ〜。」
・「お風呂に入るのと、歯磨きとどっち先にする?」
・「お風呂上がったら美味しいジュース用意しておくよ!」
などの言い方に変えてみてください。
一方的に「命令」「指示」をしてしまうよりも選択肢を与えたりご褒美を上手に使った声かけがおすすめです。
選択肢を与えて子どもが自分で決めるのは自分の意思を尊重してもらえたと感じやすいので、一方的に言われるよりも行動に移しやすくなるんです!
ご褒美も、最初のアクションを起こさせてあげるのに効果的な作戦です。
子どもを苛立たせずに「やってもいいよ」と思わせる声かけに変えていきましょう。
◆3 動き出したら、すかさず肯定!
お子さんがイヤイヤでも文句を言いながらでも動く様子をみせたらすかさずに肯定をしましょう。
もしかしたら、動き出してすぐに止まってしまうかもしれませんがそれでもOKです。
ファーストステップとして“上手に動きはじめた”“動こうとした”というところから肯定していくことで、お子さんが自分の行動を理解・記憶して繰り返しやすくなっていきます。
声を聞いて、行動をする。
脳のインプットとアウトプットを何回も上手に繰り返すことで脳のネットワークが育ちます。
上手に声をかければ子どもは動きやすくなり、動かせば動かすほど子どもは発達します。
以前は息子に指示出しばかりしていた私ですが、発達科学コミュニケーションで学んだことを実践することで、脳に届く声かけができるようになりました。
我が家の息子が不登校になった後、家での声かけを脳に届く声かけに変えただけで、息子が再び登校できるようになったときに大きな成長が見られたのです。
・授業に集中できる
・先生の指示を聞くから提出物が出せるようになる
・授業の中身を理解する
といったかたちで「聞く力」が育っていることを実感しました。
そこからです、通知表の数字が少しずつ上向いてきたのは。
だから、発達障害グレーゾーンの子の聞く力を育てたいなら、ぜひお家からスタートしてください!
お母さんの指示を聞けるようになったお子さんは集団に戻ったときの聞く力がぐーんと伸びていきます。
お子さんが中学校に進学して一斉指示が聞けないことを心配しているなら、ぜひおウチでの「聞く力」を伸ばす声かけにチャレンジしてみてくださいね!
執筆者:清水畑 亜希子
(発達科学コミュニケーションマスタートレーナー)
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