1.HSCで不登校の子が無気力に見え見守るだけでいいのか不安になる
HSCとは「Highly Sensitive Child(ハイリー・センシティブ・チャイルド)」の略語で、生まれつき感受性が高く、敏感・繊細な気質のある子どもを表す言葉です。
学校へ行けなくなったわが子に、無理をさせないように見守っている。
けれど、家にいても自分から何かを始める様子はない。何かに誘っても「やらない」と断られ、「何か好きなことはない?」と聞いても「別にない」と言われてしまう。
そんな姿が続くと、「不登校になって無気力になってしまったのかな」「このまま見守っているだけで大丈夫?」と不安になることはありませんか?

無理に学校へ行かせてはいけないと思う一方で、何もしなければずっとこのままなのではないか。何かきっかけを作ってあげた方がいいのではないかと、親も迷います。
今回の動画では、繊細な子を育ててきた大下真世さんと黒柳ゆうみさんが、子どもに大きな挑戦を求めるのではなく、日常にある小さな「できた」を成功体験に変えていく関わりについて話しています。
「動くまで待つ」か「何とか動かす」か。その二つだけではない関わり方を、二人の体験から見ていきましょう。
お話しする人
大下真世さん
発達科学コミュニケーショントレーナー
繊細さのある長女が中学1年生で不登校になった経験から、日常の小さな変化を自信につなげていった関わりについてお話しします。
お話しする人
黒柳ゆうみさん
発達科学コミュニケーショントレーナー
繊細な娘さんに「何だったら今動けるかな」と考えながら小さな挑戦を重ね、お菓子作りや英語で次の挑戦につながった体験を紹介します。
聞き手
清水畑亜希子さん
発達科学コミュニケーションマスタートレーナー
繊細な子への声かけを気をつけてもなかなか動き出さないというママの悩みから、二人の実践をひもときます。
2.繊細な子に大きな挑戦より小さな成功体験が大切な理由
大下さんの長女は繊細さがあり、中学1年生のときに「中1ギャップ」で不登校になりました。
大下さんは当時、娘さんの強い不安を何とか解消してあげたいと思っていました。しかし、なかなかうまくいかなかったと振り返ります。
HSCのように繊細な子を育てていると、「不安をなくしてあげたら動けるのでは」と考えることもあるかもしれません。
大下さんは繊細な子について、物事の受け取り方や思考パターン、行動の選び方に特徴があると説明し、家庭の中で少しずつ自信に変えていくことが大切だと話しています。
だからといって、大きな挑戦をさせるわけではありません。
大下さんが娘さんに伝えていったのは、
・「気持ち立て直せたね」
・「起きる時間決められたね」
・「嫌って言えたね」
という、日常の中にすでにあった小さな変化でした。
「できた」「自分で考えた」「選べた」「動けた」という経験を積み重ねることが、次の挑戦につながっていく。

「何か新しいことをさせなくては」と考える前に、今の子どもの中にすでにある小さな変化を見つけることが、一つのスタートになります。
3.不登校になった娘の小さな変化を自信に変えた関わり
子どもを見守ることは大切です。しかし大下さんは、繊細な子の場合、ただ放置したり見守ったりするだけではなく、小さな変化を肯定し、自信につなげていくことが大切だと話します。
ここでポイントになるのは、親が考える「できた」のハードルを下げることです。
学校へ行けた、勉強できた、新しいことに挑戦できた。そんな目に見える大きな結果だけが成功ではありません。
気持ちを立て直したことも、自分で起きる時間を決めたことも、「嫌だ」と自分の気持ちを伝えられたことも、その子が自分で考えたり選んだりした経験です。
不登校の子が家にいると、親はどうしても「今日も学校へ行かなかった」「今日も何もしなかった」と、できなかったことに目が向きやすくなります。
けれど、「今日は何を自分で考えた?」「何を選べた?」「どんな小さな行動があった?」と見方を変えると、これまで気づかなかった変化が見えてくるかもしれません。

その変化を言葉にして本人に返す。それが大下さんが実践してきた、小さな成功体験を自信につなげる関わりでした。
4.できることから始めた娘が次の挑戦を選ぶようになった
では、子どもが「別にやりたいことはない」と言うときは、どうしたらいいのでしょうか。
黒柳さんも、繊細な娘さんに何か経験させてあげたいと誘っても、断られることが多かったそうです。
そこで黒柳さんが考えたのが、「何だったら今動けるかな」ということでした。
例えばお菓子作りなら、「一緒に作ろう」と誘うのではなく、「ちょっと混ぜるの手伝ってくれない?」と、最初の一歩を小さくしました。
娘さんがやってくれたときには、「混ぜ方パティシエみたい」「これどうやって作ったの?コツ教えて」と、実際にできた行動に声をかけました。
すると娘さんは「一人で最後まで作ってみたい」と言うようになり、みたらし団子やチョコマフィンを一人で作れるようになっていきました。
黒柳さんは、この経験を勉強にも応用しました。
娘さんは「英語は苦手だからやりたくない」と言っていましたが、英語のアプリは続けていました。
そこで、「友達が教えてくれたアプリ続けてるんだね」「もうその単語覚えたの?」など、すでにできていることに声をかけました。
やがて娘さんは「今度英検に挑戦したい」と言い、自分で受験申し込みの方法を調べるようになったそうです。

最初から英検という大きな挑戦を促したのではありません。「ちょっと混ぜる」「アプリを続けている」といった、今できていることから始まっていたのです。
こうした小さな「できた」を見つける視点は、HSCの子にいきなり大きな挑戦を求めず、今できていることから自信につなげていく関わりにも通じます。
この子が動き出したのは
▼特別な子だったからじゃありません

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5.無気力に見える子の今できることを成功体験に変えよう
HSCで不登校の子が動かないように見えると、「何かやりたいことを見つけてあげなければ」「自信をつけさせなければ」と焦るかもしれません。
けれど今回の二人の体験から見えてくるのは、いきなり大きな挑戦を用意する必要はないということです。
まずは「何だったら今できるかな」というところまで、最初の一歩を小さくしてみる。
そして、できたときには結果だけではなく、「考えた」「選んだ」「断れた」「少しやってみた」など、その子が実際にできたことを見つけます。
例えば、お手伝いを全部してもらおうとするのではなく、「これだけお願いできる?」と小さく頼んでみる。できたら「助かったよ」と、できたことをそのまま伝える。そんなところからでも始められます。
大切なのは、声かけさえ変えれば子どもが必ず動き出す、と考えることではありません。
黒柳さんは、繊細な子にはたくさんの声かけよりも、「できた」「やれた」「自分にもできるかも」という経験が記憶されるような声かけをしていくことで、苦手なことにも挑戦できることが増えていくと話しています。

「今日も何もしなかった」と見えていた一日の中にも、その子なりに考えたこと、選んだこと、できたことがあるかもしれません。
見守っているのになかなか動かないと感じたときは、「もっと何をさせよう?」ではなく、「今、この子ができていることは何だろう?」と探してみませんか。
今日見つけた小さな一歩を、そのまま子どもに返すことから始めてみてください。
▼繊細な子の“動けない理由”に合う関わり方を、もう少し深く知りたい方へ。

執筆者:岡千恵
(発達科学コミュニケーションアンバサダー)
不登校やHSCなど学校が苦手なお子さんの
関わり方に迷い「見守るだけでいいのかな」と
感じている方へ。
今のお子さんに合ったヒントを
こちらでも紹介しています▼▼


