「学校行きたくない」を見過ごさない!不登校予備軍の発達障害・グレーゾーンの子どもの自信を回復させるコミュニケーション

発達障害・グレーゾーンの子どもたちの「学校に行きたくない!」には、うまく言葉にできない「なんとなくの違和感」が隠されていることが多く注意が必要です。そんな子どもたちの自信を回復させるお母さんのコミュニケーションテクニックとは?

1.「学校行きたくない!」に隠された発達障害・グレーゾーンの子どもが上手く説明できない“違和感”とは?

新学期が始まり、授業も休み明けモードから本格的になってきた今頃、「学校嫌だなー」「学校いきたくないなー」と思い始めるお子さんもいるかもしれません。

実は、この「学校に行きたくないなー」というちょっとした黄色信号を見落とさないで欲しいのです!

なぜなら、それにはれっきとした理由が潜んでいるからです。

お子さんに聞いてみるとその理由をうまく説明できないかもしれません。

うまく説明できないけど子どもたちが感じている「なんとなくの違和感」。これが登校しぶりの背景の一つとして考えられます。

ご自身も不登校を約10年経験され、高校3年生の時に起業し、今は社長として活躍されている小幡和輝さんはこのように語っています。

「幼稚園の頃から、なんとなく集団生活に違和感があった」

この違和感は人によって感じ方が違うと思います。

小幡さんの場合は、

自分はもっとこれをやっていたいのに周りの人に合わせてやめないといけない、決められた時間に、決められた行動をとらないといけない、その理由がわからなかった。「集団生活とはそういうものだ」と言われると困ってしまうけれど僕はそれが嫌だった。

と、著書※で語っておられました。 (※ 小幡和輝著 学校は行かなくてもいい――親子で読みたい「正しい不登校のやり方」健康ジャーナル社)

この「ちょっとした違和感」を我が子に置き換えて考えてみるとどうでしょうか?

発達障害・グレーゾーンの子は「周りの子と少し違う」ところがあります。それが個性でもあり、良さでもあるのですが、集団生活の中では受け入れてもらえないことがあります。

叱られてしまったり、うまくできなくて自信を失ってしまったり、そんなことが日常でたくさん起こります。

注意欠陥多動性障害(ADHD)タイプの子であれば、やらかしちゃっても案外あっけらかーんとしていたり、自閉症スペクトラム(ASD)タイプの子であれば、我関せずマイペースにしていたり…

一見何ごともなかったように装いますが、「なんとなくの違和感」を積み重ねて行く発達障害・グレーゾーンの子はネガティブな記憶をどんどん蓄積していきます。

苦手なこと、不得意なことが原因で叱られたり、注意されたりすることが増えたり、友達とのミスコミュニケーションが原因でからかわれたり、仲間外れにされたり…

そんな日々が重なっていくと、子どもは次第に自信がなくなり「いやだなー」と感じるようになります。

そして、学校に行くこと=嫌なこととして行動と感情がセットでインプットされていくのです。

だから発達凸凹のあるお子さんの「学校行きたくないなー」には要注意

そんなお子さんの登校しぶり初期段階だからこそ、お家でお母さんにやってほしいことがあります!

2.不登校予備軍・登校しぶり初期段階でお母さんにやってほしいこと

お子さんが「学校に行きたくない!」と言い始めたときに、お母さんにやってほしいのは…
お家の中でお子さんの自信を取り戻すこと!

◆子どもへの要求量を一時的に減らす

どうしても「できないこと」が気になって、つい「あれしなさい」「これしなさい」と言ってしまいがちですが、一旦子どもへの要求量を減らします!

お母さんの中の「〜すべき」を少し減らすのが大切です。

・塾に行くべき…
・1日●時間は勉強するべき…
・学校の宿題は出すべき…

この「べき」はお子さんの「できていない」ことにフォーカスしてしまっているので、子どもの自信回復には不向き!

だから一旦、子どもへの要求量を減らす訓練をしてみてください。

◆当たり前のことを肯定する

グレーゾーンの子どもは「うまくできないこと」も多いので、何かが上手にできた時に褒めようとすると、そもそも褒めるチャンスがない!なんてことになってしまいます。

でも視点を変えれば褒めチャンスがグーンと増えます。

そのコツは「当たり前のこと」を褒めること。

・朝、起きてきた
・ご飯をしっかり食べた
・食後にお皿を下げた
・歯を磨いた
・お風呂に入った
・読んだ本を片付けた
・よく眠った

こんな「当たり前のこと」にしっかりお母さんが声をかけてあげてほしいのです。

世の中に出回っている子育て本やインターネット情報でも、「褒めるのがいい!」とたくさん謳われていますよね。

でも意外と難しいのが「褒める」こと。

なぜ難しいかというと「褒める」って何かがうまくできたときに発動するスキルだと思っているお母さんが多いからだと思います。

でも発達科学コミュニケーション式の「褒める」は、子どもを「肯定する」こと全般を指すので、全然難しくないのです!

つい、否定的なコミュニケーションに陥りがちなお母さんには、ぜひ「当たり前のことを肯定する」をマスターしていただきたい!と思います。

具体的にどんな風にやるかというと…

まずは、朝起きた時「おはよー、起きてきたね」とか、

学校に行く支度を始めたら「準備始めたんだね」とか、

日常を実況中継するようなことでOKなのです。

こんな当たり前のことですが、毎日のことになるとなかなか難しい。

子どもも「学校嫌だなー」と思っているから、何回起こしてもなかなか起きないし、学校行く準備しろと言ってもダラダラしていてなかなか進まない。

だからお母さんも、

「早く起きなさいって 言ってるでしょ!」

「何回言ったらわかるの!」

「ダラダラしてないで準備しなさいよ!」

こんなコミュニケーションをとってしまいがちかもしれません。

こうなってしまうと、ただでさえ「学校嫌だなー」と思っている子どもは、「学校に行くこと」=「嫌なこと」という記憶がますます強化されてしまうのです。

子どもの行動とその時に起きた感情はセットで記憶されていきます。

だから極力ポジティブなコミュニケーションをとってもらいたいのです!

少しくらい起きるのが遅くなっても、少しくらい学校にいく支度が遅くなっても、子どもたちは、その時にできる範囲でやっているはずです。

否定的な言葉は一旦封印して、やったことを肯定するところからスタートしてあげる。

これが、不登校予備軍のお子さんの自信を取り戻す第一歩になります。

学校などの外の社会で自信を失うと、子どもの「行動するエネルギー」は減少し続け、やがて、登校することができなくなります。

これが「登校しぶり」や「不登校」に繋がっていきます。

家庭という一番小さい単位の社会での成功体験(認めてもらえたという嬉しい感情)や、そこから得た自信(自分にもできるという効力感)が学校でがんばるエネルギーになります。

不登校予備軍の間にやって欲しいこと、

それは…

お母さんだからこそできる自信を育むコミュニケーションをとってもらうことなのです。

家庭でのコミュニケーションを見直し、しっかりと「自信」の土台をつくり「不登校予備軍」から卒業するチカラをつけてあげたいですね。

 

執筆者:清水畑亜希子
(発達科学コミュニケーショントレーナー)

子どもを伸ばす親子のコミュニケーション、公開中!

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