1.お母さんが考える常識、ADHDの子どもにとっては難しいかも⁉
現在、高校2年の息子は発達障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)タイプで、不注意傾向があります。
勉強していても、集中力が長く続かず、意識がどこかの世界にいってしまう…なんてことがよくありました。
そんな息子に私は、小学校6年生の頃「1日1時間は勉強しなさいよ!」と言っていたのです。
でも全然やらないのでガミガミ言い続け、「やれ!やれ!」オーラを出しまくり、やらなければゲーム禁止などの罰を与え、親子関係は悪化の一途を辿りました。
もちろん、この方法で息子が勉強に集中できるようになることはありませんでした。
1時間の勉強は、当時の息子にとってはハードルが高すぎたのです。
発達の特性がある子の場合、ただお母さんが考える常識で勉強を子どもに強要しても、勉強嫌いになるだけで、効果が上がらないのです。
2.勉強に集中できない・勉強が嫌いにはワケがある!
ところで、勉強で使う脳の範囲がどのくらいかご存じでしょうか?
一言で「勉強」と言っても様々な脳の部位をつかっているのです。
・見る
・聞く
・理解する
・考える
・記憶する
・思い出す
・書く
・話す
勉強で使う脳は広範囲!このどれか1つでも苦手感があると勉強嫌いになる可能性があります。
例えば、「今まで勉強した内容を記憶し、それを思い出して宿題プリントに書く」
こんなふうに一見、大人からするとサクッとできそうな一連の流れですが、発達凸凹の子ども達はその流れを司る脳の一部に苦手があります。
さらに、発達障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)タイプのお子さんには「不注意(注意散漫)」という特性があることが知られています。
実はこの「不注意(注意散漫)」という特性は、ADHDタイプだけでなく、発達凸凹のお子さんであれば、ほとんどの子どもたちが併せ持っている場合が多いのです!
そして、教科書や問題文の文字を目で追っていかないといけない学習は、不注意傾向が多いお子さんの場合は集中力を持ち続けることが難しくなってきます。 ですから
・勉強ができない
・勉強が嫌い
ということに繋がっていきます。 つまり勉強に集中しようとしても、宿題に臨もうとしても「できそうな気がしない」わけです。
人は効果のあることなら進んでやります。ですが、効果がないと感じることはやりたくありません。
だから効果の出ない方法でいくら勉強させようとしてもどんどん勉強嫌いになってしまい、集中力が持続しないのです。
3.我が家の集中力アップ方法を大公開!
では、ここで子どもの集中力をアップさせるための非常識な方法をお伝えします。
◆勉強に集中するために、勉強前に〇〇!
子どもの成績を上げるためには10分でも20分でも多く勉強してほしい、そんな想いを抱えていませんか?
そんなとき「早くやりなさい!」と促したくなるのがお母さんの心境。ところが「非常識」なやり方で考えると…
10分を思い切って勉強ではなくウォーミングアップに使っちゃうのです。程よく頭を使いながら手の動きもある「脳の準備運動」をしてみましょう。
しかも今やらなければいけない勉強内容とまったく関係ない内容でOKです。簡単な例でいえば百マス計算なんかも準備運動に入ります。
ところが、勉強大嫌いな思春期男子には百マス計算をやらせるのも一苦労…じゃないですか?
だからもっと遊び感覚を取り入れてもいいんです!
息子が中学生の時 「風船遊び×九九」というウォーミングアップをつくって、妹と一緒にやっていました。
やり方は至って簡単。九九をしながら二人で風船を打ち合うのです。一人でやって何回続くか数えてもいいです。九九を間違えるか風船を落としたら、終了。
風船をポンポンするのに意外と手の繊細な動きが必要ですし、九九くらいならストレスなくできます。しかも楽しい!
この遊び(準備運動)に使った時間を「もったいない」と感じるかどうか。
ここでお母さんの非常識力が問われます。
・子どもの脳が働く状態になっていないのに30分間机に向かわせる
・子どもの脳を働かせるのに10分使って脳が働くモードになって20分勉強する
勉強に集中するためには、どちらがいいか、わかりますよね?
◆集中の仕方は十人十色!
我が家のADHDタイプで集中力が続かない息子は…ウロウロ勉強をします。特に「読む」とき、ウロウロします。
机に向かって、鉛筆を握りしめて、ノートに書きながら、勉強しなければいけない、というのはお母さんの「常識」。
まず、お母さんに必要なのは、常識にとらわれず、勉強した内容が子どもの頭にスッと入る方法ならなんだっていいという発想の転換。
そもそも子どもは机に向かうことすら嫌いなんです。机に向かっても集中できた試しがないからやりたくない。
だったら立って、ウロウロしながら、勉強したっていいんです。立って動くことで脳がよく働きます。
つまり脳の覚醒度が上がるので、ADHDタイプで集中力がない子も眠くなりにくいですし、視覚や聴覚などの五感にすっと情報が入ってきます。
脳の運動を司るエリアが活発なら記憶のチカラも高まりやすいので、学んだことが頭に残る可能性も高まります!
つまり、立ちながら、ウロウロしながら集中力を高めることができるわけです!
このような「非常識」な方法で集中力をアップさせた息子は、せいぜい1日30分だった勉強時間が、1日3~4時間勉強できるまでに成長!
そして高校受験と向き合い、第1希望の高校に合格することができました!
脳科学的には、集中力はトレーニングできます。 お母さんの接し方1つで集中力を高めることも可能です。
お母さんの常識を手放して、お子さんの集中力を高めるコツをぜひ発見してくださいね!
執筆者:清水畑亜希子
(発達科学コミュニケーショントレーナー)