1.慣れてきてもなかなか行動しない発達障害の女の子
新年度がスタートして約2ヶ月。お子さんも新しい生活に慣れてきた頃だと思います。
「新しい」ずくしの新年度はどの子も緊張感を持って生活していますが、しばらくすると慣れてきて、自分から行動できるようになってきます。
ですが見通しの立たないことに不安を覚える発達障害の繊細なタイプの子は、ある程度場に慣れても、なかなか行動に繋がらないことが多いのです。
不安を感じやすいので何かに挑戦して失敗するのが怖い、「石橋を叩いて渡る」タイプ。
いや、このようなタイプの子は、叩きすぎて渡れないこともあるかもしれません。
さらに「思春期」「女の子」という要素が組み合わさると、とんでもなく失敗が怖くなってしまうのです。
2.思春期の女の子が行動できなくなる2つの理由
発達障害の特性がある思春期の女の子がなぜ失敗が怖くなってしまうのか?という理由はおもに2つあります。
「思春期という時期」
「女の子ならではの目線」
この2つが発達障害の特性に絡まって、さらに行動できなくなってしまうのです。
思春期は、それまでと違い、他者を意識できるようになります。
小さいうちは自分のことで精一杯だったのが、視野が広がって友達の言動にも気づけるようになります。
これは成長する上でとても大切なことですよね。
ですが、その分「あの子はできているのに私はできない・・」と自信を失いやすいのです。
そして
「できなくて笑われたらどうしよう」
「みんなの前で先生に叱られたら怖いな」
そんなふうに人目を感じすぎて怖くなってしまうのです。
ですから新年度が始まって日数が経ってもなかなか不安が消えなかったり、不安を長引かせてしまうのです。
「いつか慣れるだろう」と放っておいてもかえってこじらせてしまうことも多いです。
そして、女の子と男の子の違いもあります。
例えば男の子はヒーロー願望が強かったり、「1番になりたい」とがんばる子が多い傾向があります。
それに対して女の子は「ビリになりたくない」という心理の子が多いのです。
てっぺんを見る男子と底を見る女子。
この視点の違いが女子特有の不安につながっているのです。
常に下を見ていると「失敗したくない」想いが強くなり不安を高めてしまいます。
しかも思春期女子と言えば何をするにもグループになったりいつでも「一緒だよね」という共感を求めあうことが多いのです。
すると「自分だけできない」という状況がとても怖くなってしまうのです。
だから男の子と同じような声かけをしても、女の子には全然響かない、そんなこともあるんですね。
一見励ましの言葉に聞こえるものも不安が強い発達障害の女の子には、全く逆効果なこともあります。
私は、よかれと思って繊細なタイプの娘に「絶対大丈夫」ってよく声をかけていました。
実は、この言葉こそが不安を高めるワードだったのです!
今は「絶対大丈夫」って言葉を使わなくても、娘の不安を抑えることができるようになりました。
「じゃあなんて声かけするの?」と思いますよね?
次に思春期の女の子の不安を和らげる声かけをご紹介します。
3.結果ではなく◯◯を褒めるのがポイント
石橋を叩いて渡るような不安の強い子が「渡り始める」というのはものすごくエネルギーを使います。
つまり、物事をやり始める時にエネルギーを使うので、そのタイミングでしっかり褒めるのです。
たとえば宿題をやり始めていたら、見たままを言いましょう。
・「教科書出したんだね」
・「英語やるんだね」
やり始めや途中でこまめに褒めることで、お母さんが結果重視でないことがお子さんに伝わります。
結果ではなく行動を褒めるのです!
また緊張が高まる試験などのイベントがある時は
「試験が終わったら、帰りにケーキ食べに行こう!」などご褒美を約束するのも効果的です。
終わった直後に楽しみがあると、頑張れますよね。
ただし、「△点取ったら」など条件をつけるのは、結果重視になってしまうのでNGです。
不安が強い子には「行動できた」ことを認めるご褒美にしましょうね。
以上、繊細なタイプの子どもに効く声かけをご紹介しましたが、実は私はセリフのように言葉だけ覚えてもあまり意味がないと思っています。
声かけは、話す言葉だけでなく、誰が、どんな声でどんな表情でどんなところで話すか等、言葉以外の要素も聞く側(お子さん)が受け取るからです。
発達障害・思春期の女の子が勇気を持って始めた行動をあたたかく見守る気持ちで声かけしてあげてくださいね。
執筆者:青島明日香
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)