年長の息子がサッカーゲームの勝ち負けで癇癪を起こした日
息子とサッカーのボードゲームをしていたときのことです。
私が点を取った瞬間、空気が一変しました。
「ズルしたでしょ!」
と怒り、駒を強く動かし、怒り出す息子。
私はルール通りにプレーしているだけなのに、偶然ゴールに入っただけで、息子は怒り出します。
年長の息子は、勝ち負けへのこだわりが強く、負けそうになるとすぐに不機嫌になるのです。
点を取らないように気を遣いながらのプレーは正直疲れてしまいました。
「一緒にやっても楽しくないな…」
そう感じることもありました。

本当は、ただ楽しく遊びたいだけなのに。
ズルなんてしていないのに責められると、悲しさとイライラが混ざります。
わざと外したり、息子を勝たせたりする自分にもモヤモヤ。
だけど、ここで正論をぶつければ、きっとまた大きな癇癪になる。
どう関わればいいのか分からず、迷いながら向き合っていました。
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勝ち負けへの強いこだわりはなぜ生まれる?
年長の子どもは、自分という存在を強く意識し始める時期です。
勝つことは「できた自分」。
負けることは「できない自分」。

特に、注意欠陥多動性障害(ADHD)傾向のある子どもは、感情の振れ幅が大きく、負けの刺激を強く受け取りやすい特性があります。
さらに、物事を独自の視点で捉える特徴も持っています。
そのため、本人の中では筋の通った独自の理論が存在していることが少なくありません。
つまり、「ズル!」はただのわがままではなく、 “ぼくの中では不公平”という本気の訴えなのです。
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年長のいま向き合う意味とは
年長は、就学前の大切な一年。
これから集団の中で、勝ち負けやルールにたくさん出会います。
この時期に大切なのは、「正しいルールを教え込むこと」よりも、「自分の気持ちが理解された」という経験を積むこと。
理解される安心感があると、脳は落ち着き、柔軟さを取り戻します。

逆に、「違うでしょ!」「ルール守って!」と正しさを急ぐほど、子どもは防御モードに入りやすくなります。
だからこそ、年長のいま。
勝ち負けで癇癪が起きたときこそ、関わり方を変えるチャンスなのです。
癇癪の奥にあった「ぼくだけのルール」への対応法
息子が「ズル!」と怒ったとき、私はすぐに否定するのをやめました。
「そっか、ズルだと思ったんだね」 まずは受け止める。
そして、こう聞いてみました。
「どうすればよかったか教えてくれる?」
すると息子は言いました。
「右側のシュートはいいけど、左側はダメ」
左側はゴールキーパーを動かしにくく、守りにくいから不公平なのだそうです。
かなり独特な理論でした。
だけど、息子の中ではちゃんと筋が通っていました。
私はその“ぼくだけのルール”を理解したうえでプレーしてみました。
息子が「いいよ」と言う場所にシュートを打ち、気が済むまで勝たせてみたのです。
すると少しずつ、私が点を取っても癇癪が起きる回数が減っていきました。
大切だったのは、「ルールを教えること」よりも 息子が何に不公平さを感じているのかを知ることでした。

具体的には、次の4つです。
① まずママの気持ちはいったん横に置く。深呼吸して一歩止まる。
② 「ズルだと思ったんだね」と否定せず受け止める。
③ 「どうしてほしかった?」と具体的に聞く。
④ 子どもの理論を一度体験してみる。
理解される安心感が、勝ち負けへの過敏さをやわらげていきます。
ぼくだけのルールは、敵ではありません。
それは、子どもの心の中を知るヒントです。
勝ち負けの向こうにある、その世界をのぞいてみると、 親子のゲームは少しずつ、笑顔の時間に変わっていきますよ。
執筆者:西野まこ
(Nicotto Project 発達科学コミュニケーショントレーナー)



