発コミュ・トレーナーの北華ゆかさんは、辛い母子分離不安の時期を経験し現在は「困ったが言えない子どもに自分で考えて言葉にする力をつける専門家」として活動しています。母子分離不安キッズを取り巻く環境から前へ歩き出すためのお話をお聞きしています。
【目次】
1.母子分離不安の子どもに身も心も疲れ切っていませんか?
学校や園生活で困っているのに自分の口から助けを求めることができずに困っているお子さんはいませんか?
例えば、
学校で、勉強や集団生活の中での分からないこと・困ったことが聞きたいのに聞けない…。
嫌なことを嫌と言えない…。
協力して欲しい時にお願いができない…。
些細なことでも先生に言えない…。
そして、気持ちの矛先がお母さんに向けられ、 お母さんから片時も離れられない…。
暴言・癇癪が増える…。
そんな悩みを抱えているお子さんはいないでしょうか?
また、その姿を見てどうやって子どもの困りごとを減らしたらいいのか悩んでいるお母さんはいないでしょうか?
パステル総研の発達科学コミュニケーション(発コミュ)で活動しているトレーナーやリサーチャーもかつて同じように自分の子育てに悩み、苦しい思いをしてきたお母さんたちです。
今回、インタビューに答えてくださった北華ゆかさんも、小学2年生の息子さんの母子分離不安が強く、暴言や癇癪などに悩まれていたお母さんの一人です。
今ではトレーナーとなり、人前に出て教える立場となった北華さんですが、そこに到達するまでには本当に大変な想いをし、わが子のためにチャレンジし続けてきています。
以前の自分と同じようなお母さんを「救いたい!」、子育ては「楽しい!」と悩んでいるお母さん達に伝えたいという一心で活動されている北華さんに、今回子育て、トレーナーとしての活動、発コミュとの出会いなどについてお話を伺いました。
こちらの記事は3回に分けてお伝えするインタビュー記事の第1回目になります。
2.「様子を見ましょう」の言葉に惑わされない人生を
ーーー北華さんよろしくお願いします。まずは北華さんについて教えていただきたいので、自己紹介からお願いします。
「学校で嫌だ、困ったが言えない子どもに自分で考えて言葉にする力をつける、1日1ミッション主宰、発達科学コミュニケーショントレーナーの北華ゆかです。
私は母子分離不安キッズに自分で考えて言葉にする力をつけ、一人で歩き出すお手伝いをしています。
母子分離不安キッズにとっては学校に行くことも、お友達と公園で遊ぶこともハードルが高い。ママと離れることに不安を感じる子が多いのが現状です。
そんな時は無理に行かせようとしなくて大丈夫です。実はママべったりは成長の大チャンスなんです。
ママと一緒の時間が長い今こそママの力で、ママの一言でお子さんに自信をつけ、自立に向けて加速して行きましょう。」
ーーー以前の息子さんの様子について教えてください。
「私の小学校2年生の息子も母子分離不安キッズです。小さい頃から自分の気持ちを人に伝えることが苦手で、小学校になれば話し出すかなぁ、いつかよくなるよねと思っていました。
小学校入学後、学校で嫌だ、困った、が言えずに自信をなくしてしまって、不登校になった時期がありました。
その間は幼児のように後追い状態だったんです。
トイレにもついてくるし、私が立ち上がっただけで『どこ行くの?』と確認しているような状態で、部屋の中でも『ママー!ママー!』。
公園に行ったら『見えるところに居て』と言われて、数時間ベンチで待つこともあり、怪しい人だと間違えられたこともあります。
そんな状態なのに、病院や市の相談窓口に行っても、『お母さんの今の対応でいいですよ』や『様子をみましょう』しか言われないんです。
きっと、問題行動を起こさないタイプだったからでしょうね」
♦ポイント解説
母子分離不安とは、子どもが母親と離れることに対し、極度な不安を感じることを言います。
不安を感じることは「いけないこと」と思われがちですが、人が生きていくために自分を守るためには必要不可欠な本能(自己防衛本能)なのです。
成長の過程としては、お母さんに依存していた時期を経て、年齢を重ねることで、自立心が芽生え、お母さんとの距離感も取れるようになっていきます。
しかし、ある一定の年齢を越えてもお母さんとの距離感がつかめずに離れられない子どももいます。
その原因はさまざまでハッキリとした原因が分からないことも多いため、「ママー!」と常に探され、後追いされます。
その対応に追われ、何も自分のことや家のことができないお母さんが疲弊してしまい、体調を崩してしまうということもあります。
母子分離不安は幼稚園くらいの年齢から小学生でも見られます。
小学生の子どもは年齢が上がるに連れて暴言や癇癪が酷くなり、暴力なども出てくる場合もあるので少しでも早めの対応が必要です。
ーーー「様子を見ましょう」と言われて改善することはないですよね?
「そう思います!」
♦ポイント解説
病院などで言われる「様子を見ましょう」という言葉ですが、その言葉に安心感を抱き、症状がなくなることを期待してしまう人もいると思います。
年齢が上がれば改善されるのかな?と先送りにしてしまいますが、お母さんが疲弊する程の困りごとであったり、お母さんの「何かちょっと違う…」という勘は大事にして欲しいと思います。
「様子を見ましょう」という言葉に惑わされず、わが子の発達を促したい!困りごとを何とかしたい!という想いで発コミュに出会い、困りごとをご自身の手で変えられたお母さんが発コミュにはたくさんいます。
3.子どもの将来のためにも、自ら発言する力を持って欲しかった!
母子分離不安ということで不安の強い息子さんは、次第に学校へ行けなくなってしまった時期があったとのこと。
北華さんは息子さんの様子を見ていると、困った時に困ったと言えない状況を何とかしたいと思うようなったそうです。
ーーー子どもが自分の気持ちを言えないことで一番の困りごとは何だと思いますか?
「一番学校生活の中で困るっていうのは、授業中に先生に分からないことが聞けない、聞きたいのに質問できないことです。
そういうことが続くと、小さな失敗体験が続いてしまうんです。
不安の強いお子さんはネガティブな記憶が脳に残りやすいので、どうしても『学校=苦』という意識になってしまい、学校に行きたくない、登校しぶりにつながるのだと思います。
最終的には大人になった時に自分の意見が言えない、自分の主張ができないと社会生活でつまづくというところがあります。
子どもたちが大人になる時はAIの時代で、人間の仕事がいらないと言われているんですね。
自分の意見が言えないっていうのは、社会で生きづらくなってしまうと思います。」
ーーー息子さんが自ら発言する力を持つために、北華さんはどのように対応していきましたか?
「ママの声がけを少し変えて、自分で考えて言葉にする力を引き出しただけなんです。
子どもの特性を理解してその子にあった声掛けをすることで、子どもはグンと発達します。
そして、持っていた力を発揮して自立をしていくんです。」
◆ポイント解説
将来AIがヒトの仕事を奪ってしまうのではないか!?という話は皆さんも一度は耳にしているのではないでしょうか?
今の社会は労働力の確保が難しくAIの力も借りながら経済を回していこうという仕組みになっています。その傾向は今後も加速していくことが予想されます。
そのような社会の中でわが子はどうやったら生きていけるのか? どのような力を身に付けるといいのか?とお母さんは悩まれると思います。
北華さんは将来のことを考えた時に、息子さんが自分の気持ちを少しでも伝えられる力を持って欲しいと思い、同時に自分の手でその力を伸ばしていこうと決意されたそうです。
どうしても子どもの短所に目がいきがちで、子どもの能力を伸ばす方法を知らないために注意することばかりになってしまいますが、お母さんが工夫した対応をすることで、子どもはグンと伸びていくのですね。
第2回目のインタビューでは、北華さんが発コミュに出会い、どのような想いでトレーナーになることを決意されたかについてお話を伺っていきます。
毎日の子育てが楽しくなるヒントがあります!
執筆者:たむら ようこ
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)