大人になって一人暮らしのタイミングで発達障害を疑う人が多くいることをご存知でしょうか?それまでに何となくの不器用さなどをそのままに過ごしてしまうといざ一人立ちした時に大きな弊害となってしまいます。子ども時代をどう過ごすか考えていきましょう。
【目次】
1.将来のわが子を想像してみましょう
2.発達障害者の一人暮らしの困りごと「ベスト3」
①お金の管理
②生活の管理
③健康の管理
3.現状を把握して、今からできることを!
①子どもをシッカリと観察しよう
②お手伝いの導入を検討してみる
③便利なものを活用する
④希望をもつ
1.将来のわが子を想像してみましょう
皆さんは自分のお子さんが大人になった時のことを想像したことがありますか?
・子どもの夢が叶っていたらいいな…。
・好きなことを学んでいたらいいな…。
・やりたいことを仕事にしていたらいいな…。
・元気に過ごしていたらいいな…。
将来、そんな子どもの姿があると思うととても幸せですよね。
しかし、そう思う反面、不安な気持ちもあるのではないでしょうか?
うちの子は何にもできないから、将来のことなんて想像がつかない、と思っているお母さんもいるかもしれませんね。
実は子どもが親元を離れるタイミングで、大人の発達障害として気付くケースがとても多いということをして知っていますか?
進学や就職を機に親元を離れて一人暮らしを始めた時に、生活が回らなくなってしまうのです。
それまでは家族という集団の中で生活をしていることで、ある程度はやり過ごしていたことも一人になった途端に衣食住の管理ができなくなり、過労や栄養失調になってしまうことがあります。
また人間関係がうまくいかないことから精神的不調を招いてしまうこともあります。
では具体的にはどのような困りごとで生活が立ち行かなくなってしまうのでしょうか?
次で困りごとの詳しい説明をしていきますね。
2.発達障害者の一人暮らしの困りごと「ベスト3」
困りごとについて、大きく3つに分けてみました。いずれも管理ができないことで起きる問題です。
一般の人は何となく、自然と、感覚的に、生活の術を身に付けていくことができるのですが、発達障害のある人はそういうわけにはいきません。
では、どういうところで困りごとが起きてしまうのでしょうか。
◆①お金の管理
発達障害の人は見通しを立てるのが苦手な人が多くいます。
そのために1ケ月にどれくらいの生活費がかかるか予想が立てづらく計画性のない使い方をしてしまいことがあるようです。
例えば、
・外食代などにお金を使い込んでしまう。
・公共料金の支払いを忘れてしまう。
・貯金ができずに急な出費にお金が間に合わない。
・勧誘を断られずについお金を出してしまう。
・思わず衝動買いをしてしまう。
・気付いたらクレジットカードを使い過ぎてしまう。
私たちにもこのような経験は少なからずありますよね。
ただし、発達障害の人達はこれに気を付けてうまくやろうと思っていてもできず、結果的にお金を使い込んでしまうなどのトラブルに発展してしまうようです。
◆②生活の管理
ひと括りに生活の管理と言っても、「規則正しい生活」「掃除」「洗濯」「整理整頓」「身だしなみ」「ゴミ出し」などたくさんの要素があります。
例えば、
・毎日同じ時間に起きて出勤・通学することが難しい。
・物の置き場が決まっていなかったり、物をしまう習慣がないため掃除や整理整頓ができずに家の中が物で溢れてしまう。
・大事な書類などをどこに直したのか見つけ出せずに提出期限を守れない。
・洋服がシワシワで毛玉がついていても気にせずに着てしまう。
・感覚過敏があるために洋服を洗いたがらずに不衛生になってしまう。
・何を着たら良いのか分からずにおかしなコーディネートになってしまう。
・ゴミ出しが複雑すぎて分類ができない。その上にゴミ出し日を把握できずにそのままになり溜め込んでしまう。
このようにたくさんの注意点があるために発達障害のある人にとっては生活の管理がとても複雑で難しい状況です。
いくら能力として秀でたものを持っていても、毎日同じ時間に遅刻せず通勤できなかったり、TPOに合った振る舞いができないことで仕事からドロップアウトせざるを得ないというのが現実社会には多くあります。
◆③健康の管理
健康には食事の管理と健康管理、また体力維持の3点から見ていきます。
食事を作るというのは工程が多く、一度に複数のタスクをこなさないといけないために高度な作業となります。
発達障害の人は同時に複数の事を考えることが苦手なので、食事作りに挫折してしまい出来合いの物で済ませてしまいがちです。
また、偏食があったり好んだものしか食べないこともあり、食事バランスがうまくとれずに栄養が偏ってしまうこともあります。
健康管理では、過集中傾向の人はゲームなどに夢中になり過ぎて寝る間も惜しんで没頭してしまったり、また感覚が鈍くて体調の不調に気付かず倒れるまで遊んだり、または仕事をしてしまうことがあります。
逆に過敏過ぎる人は、光や音を過敏に感じてしまい生活し辛かったり、気温や気圧の変化を敏感に察知してしまい体調を崩してしまうこともあります。
体調が良ければ、ちょっとくらいの困難さはカバーでき、うまく付き合うことができるので、体力があるに越したことはありせん。
運動が苦手な発達障害の人に、運動をして体力をつけるというのは大きな課題ではありますが、体力があるとそれだけで自信にも繋がります。
将来を見据えて体力をつけておくことは大事なことです。
いずれにしても管理するということが苦手なので、管理するための工夫や方法があると一人暮らしはもっとラクに楽しいものになるのかもしれません。
ここで勘違いして欲しくないのですが、これらのことができていないからといって不安になる必要はありません。
今からどのように対策を練っていくかが大事です。
3.現状を把握して、今からできることを!
子どもが大人になった時に、どのような生活パターンなら心地よく過ごすことができるのか、家族と一緒に生活している頃から考えて行動していくことが大事だと思います。
実際に大人になって発達障害が原因で生活が破綻した場合は、試しに1週間程、手助けなしで家事をしてもらうことがあります。
そしてどこに困りごとがあるのかを第三者の目で見て家族がどうすればいいのか提案していくという支援があります。
では、それを今の子ども達に置き換えて考えてみましょう。
◆①子どもをシッカリと観察しよう
日々の生活の中で、どれくらいできることと、できないことがあるのかを観察して理解しておきましょう。
・食後に食器を流しまでは持って行ける。
・脱いだ服は洗濯機まで持って行ける。
・着る洋服の準備はできる。
・肌着をズボンの中に入れるのは苦手だけど、入れようという意識はある。
・お金は一気に使わずに少しずつ使っている。
など、一つ一つの行動に注目してみましょう。できることもシッカリと見つけ、その上で今の時点で苦手なところもチェックしておきましょう。
ただただできない…と思うと漠然とした不安が膨らんできますが、できるところに注目を多くすると、冷静に子どもを見れるようになります。
苦手なところをチェックする時は、同時にできるところもチェックしていきましょう!
それから、苦手なところはどうやったらできるようになるのかを前向きに考えていきましょう。
◆②お手伝いの導入を検討してみる
一人暮らしの困りごと「ベスト3」は、日々のお手伝いを経験することでカバーできるところがたくさんあります。
・食器を洗う、それを食器棚に戻す
・洗濯物をたたむ、それを戻す
・掃除機をかける、または床を拭く
・料理をつくる、お菓子をつくる
・学習机の上を片付ける、テーブルの上を片付ける
・お手伝いをした後にお小遣いを渡して、お金に触れる機会をつくる
・ゴミの分別を一緒にしてみる
など、たくさんあります。
どんな人でもいきなり全部をできるようになる人はいませんよね。
スモールステップでできることを増やしていき、できた時や、お手伝いに参加してくれた時はたくさん褒めてあげましょう。
小さなこともコツコツとやっていくと必ずに身に付きますので、やらないことを諦めないようしていきたいですね。
また、お手伝いは脳の発達を促すのに良いこと尽くめです!
発達障害の子ども達こそお手伝いの機会を多くつくっていきたいですね。
◆③便利なものを活用する
最近は便利なものが色々とあるので、時間管理などにはスマホのアラーム機能を使ったり、タスク管理もスマホのアプリを使ってすることができます。
むしろ現代の子ども達は遊び感覚で操作技術を習得できるので、実際に一週間の予定をスマホに入力し、アラームでお知らせ設定をしてみてはいかがでしょうか?
また、お金の管理でも子ども向けにお小遣い帳アプリが色々とありますので、是非調べてみてください。
便利な機能は積極的に使っていき、今のうちから慣れさせていきたいですね。
◆④希望をもつ
これまでの内容でわが子の将来が不安になってしまった人もいるかもしれませんが、発達障害者の人がこれら全ての困りごとに当てはまるわけではありません。
実際に一人暮らしをしてみて新たな発見をした人達もいます。
・一人暮らしをしてみると綺麗好きな自分を発見し、料理の楽しみに目覚めた。
・学校や職場の近くに住んで時間に余裕がある生活をすると、家事などにも時間を充てることができて生活のバランスが整った。
・友達を呼びたくて部屋を綺麗にすることができた。
など、一人暮らしをしてみて新たな自分を発見するチャンスになった人がいるのも事実です。
子どもが大きくなった時には、積極的に一人暮らしにチャレンジしてもらう!という希望をもちましょう。
小さな成功体験を積むことで子どもは自信がつき、できることも増えていきます。
幸いにも事前にこのような将来の困りごとが分かっていると、今から対応策を練ることができるので準備ができますね。
将来の暮らしがより充実した素敵なものになるように今からサポートしていきましょう!
お手伝いのやり方に迷っている方は、ぜひこちらの記事をチェックしてみてくださいね。
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執筆者:たむら ようこ
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)