発達障害・ASD傾向の子が運動苦手になる理由と”運動嫌い”への対応法

 

発達障害ASD傾向の子どもの中には、身体の動かし方が不器用で、運動に対して苦手さを感じ嫌いになってしまう子もいます。身体を動かすことは脳が発達する大事な土台です。運動に対して自信を失った子にできる対応を、わが家の例を交えてお伝えします!
 

【目次】

 
 

1.自閉症傾向の息子を運動嫌いにしてしまった!

 
 
お子さんをその手に抱いたとき、みなさんは何を思いましたか?
 
 
はじめは、生まれてきてくれてありがとう!と思っていても、子どもが成長するにつれ、こうなってくれたらいいな、あんなことできたらいいな、と欲が出てきますよね。
 
 
私も息子がヨチヨチ歩きになる頃には
 
 
「男の子だし、運動が得意になってほしいな。どんなスポーツやらせようかな。」
 
 
なんて、希望に胸を膨らませていた一人でした。
 
 
 
 
ですが、息子が3歳くらいのときに、運動系の習い事や遊びの会の参加を嫌がることが多く、同じ年齢の子と比べると身体の使い方が不器用に見えることがありました。
 
 
3歳で発達小児科でみてもらった結果「自閉傾向があり、身体の動かし方に不器用な傾向がある」と言われたのです。
 
 
だったら、その苦手を克服させてあげないと!
 
 
それからというもの、ほぼ毎日、公園の少し難しい遊具をやらせ、できないところを指摘して、できるまでさせていました。
 
 
当然ですが、息子の苦手を克服するどころか、ますます運動に対する自信を失わせ、嫌いにさせてしまったのです。
 
 
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2.不器用な発達障害・ASDの子どもは運動が苦手?

 
 
発達障害・自閉症スペクトラム(ASD)の特性を持つ子どもの中には、運動の発達がゆっくりなタイプの子や、協調運動が苦手なために身体の使い方が不器用な子がいます。
 
 
協調運動とは、手と手、目と手、手と足など、別々の動作をまとめて動かすことです。
 
 
例えば、スキップやダンス、縄跳びなど、物や環境に合わせて身体を動かす「粗大運動」や、ボタンを留める動作や紐結び、書字などの「微細運動」があります。
 
 
この動きに極端な不器用さがみられると、発達性協調運動障害(DCD)という診断がつくこともあります。
 
 
協調運動に苦手さがあるASDっ子は、身体を動かすことが思うようにいかず、運動が嫌いになりやすい傾向があるのです。
 
 
ですが、発達の特性を持つ子にはとくに「運動」は大事!
 
 
なぜかというと、運動機能が発達すると脳の機能全体も発達するからです。運動することは脳の発達の基盤となります。

 
 
 
 
運動の発達は、認知の発達と密接な関係があって、運動量が増えると運動の脳エリアが発達し、運動の脳エリアが発達すると認知の発達も進む、という研究結果があります。
 
 
発達に特性が見られる子は認知面での偏りの傾向があり、生活での困りごとの原因になることがあります。
 
 
そのため、運動の脳エリアを鍛えることはASDっ子に限らず、他の特性を持つ発達障害やグレーゾーンの子にとって、日々の困りごと解消が期待できるのです。
 
 
運動はした方が良さそう…というのは分かったけれど、わが子のように運動嫌いになってしまった子はどうしたらいいのでしょうか。
 
 
次章でお伝えしていきますね!
 
 
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3.運動嫌いを克服!3ステップ対応法

 
 
脳の発達を伸ばすサポートをするときは、
 
 
・苦手なものでも嫌いにさせない
 
・好きや得意から発展させる
 
 
ことが大原則です。
 
 
嫌いになってしまったものは、そのことに対して自信がなくなっている証拠です。
 
 
ですので、まずは、なくなってしまった自信を取り戻します。そして、子どもの「好き」や「得意」を皮切りに直接の課題(運動)にアプローチする対応が必要なんです。
 
 
そこで、わが家で意識して実践したことは以下の3つのステップです。
 
 

◆ステップ1:苦手はやめる

 
 
まずうちでやったことは、合わない運動療育に頼らず、公園の遊具でゴリゴリトレーニングさせることをやめました。
 
 
本人が嫌がることを強制的にやっても脳は発達しません。つまり、量をこなしても、身に付きません。
 
 
むしろどんどん自信をなくす可能性があるので、勇気をもってやめました
 
 

◆ステップ2:自信をつける

 
 
普段から褒めることを意識して接しました。
 
 
褒める、と言っても、
 
 
・起きたんだね、おはよう
 
・ごはんもりもり食べてるね
 
・電車のことたくさん教えてくれてありがとね
 
・今のジャンプ、カエルみたいに高く飛んでた!
 
 
と、息子の行動を、笑顔でゆったりした声で伝えてあげるだけです。
 
 
本人ができていることを、気づかせてあげる声かけを続けることで、「ぼくって、できるかも…!」というやる気につながる自信を育ててあげられます。
 
 

◆ステップ3:好きから挑戦

 
 
わが家の息子は電車が大好きなのですが、
 
 
・お目当ての電車を見るために駅まで歩いたり
 
・鉄道関連の博物館で遊びまわったり
 
・電車が展示されている大きな公園に行き、ちょこっと遊具に挑戦したり
 
 
好きなことに絡めて身体を動かす体験や挑戦をさせていました。
 
 
運動と言っても、一般的に言うスポーツの意味ではなく、歩く、ジャンプする、お箸や鉛筆を持ち動かすなど身体を動かすこと全般を指します。
 
 
ですので、スポーツ教室など特別な習い事はしていませんでした。
 
 
本人の好きなことなので、楽しくカンタンに運動量は確保できます。
 
 
また、「今日はいっぱい走ったね、走るの早くなったね!」など声をかけてあげると運動に対する自信につながりますよ
 
 
 
 

4.運動に自信をなくしていた息子の今

 
 
発コミュを学びはじめた年中さんから、意識してこのステップを踏み、対応を続けること1年弱。
 
 
自分の行動に自信がついてきた息子は、「なんでもやってみよう」という気持ちになったのか、今まで避けてきた公園の遊具や、幼稚園ではサッカー遊びに加わるなど、様々な運動に挑戦し始めました!
 
 
小学生になってからは、スイミングやスキー教室、スケートも経験できるようになりました。
 
 
そしてなんと、小学3年生になった今、運動会のダンスの中心メンバーになるオーディションにも挑戦して合格し、最前列で自信満々の踊りを披露するまでになりました!
 
 
不器用さは変わりませんが、運動に対しての自信のなさや運動嫌いはなくなりました!
 
 
 
 
ぜひ、褒めて認めるかかわりで安心感自信を育て、子どもの「好き」から、「できた!」の体験をたくさんさせてあげてくださいね。
 
 
私たち親子の経験が少しでもお悩み解決のヒントになりますように!応援しています。
 
 
 
 
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執筆者:ひきのなつき
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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