活発で元気が良い一方で困りごとも多いADHD。薬を子どもに飲ませた方が良いかもしれない…と悩まれるお母さんも多いかもしれません。私もその一人でした、そんな私の経験から、服薬を決める時と服薬と合わせて大切なことをお伝えします。
【目次】
1.ADHDの困りごと。薬で子どもは良くなる?
注意欠陥多動性障害(ADHD)タイプのお子さんの主な特徴に「多動」と「衝動」があります。
言葉の通り、多動は「じっとしていられない」、衝動は「思いつくと行動してしまう」という状況です。
・授業に集中できずに離席してしまう。
・教室の中を立ち歩く
・教室から飛び出して校内をウロウロする
など、先生からしたら困った行動をしてしまうこともあります。
これらの行動が多くみられると、お子さんにADHDを疑ってネットサーフィン。ADHDの特徴や投薬についての情報収集をしていて悩んでいるという方もいるかもしれません。
発達障害の一つであるADHDは、もともともって産まれた特性です。
成長とともに緩和されていくとも言われていますが、大人のADHDという言葉も最近よく見ますよね。完全に特性が無くなることはなく、大人になってから困りごとが表に出るということもあります。
学校生活がうまくいくならADHDの薬を子どもに飲ませてみようかな…と考えるお母さんも多いのではないでしょうか。
また、学校から投薬のお話が出ることがあるかもしれません。
自分の子どもが学校生活をうまく送れていないということだけでもショックなのに、学校から投薬の話が出たらますます辛くなってしまいますよね。
「薬を飲まないといけないほどうちの子どもは酷いのか…」と悲観的になってしまうことでしょう。
これは、私が経験したことです。
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2. 学校から服薬を勧められた息子
私にはADHDタイプの小学5年生の息子がいます。
幼稚園の頃からADHDかな…という思いはありました。入学前には学校に、幼稚園の先生や市の支援センター、家庭からも息子の様子を伝えて入学しました。
心配とは裏腹にそつなく学校生活をこなして夏休み明けも楽しく過ごしていると思っていました。しかし、10月に入って間もなく学校から連絡が来たのです。
「離席や校内をうろうろすることが多いから、学校に様子を見に来てほしい」とのことでした。学校に行くと先生の話の通り、教室を飛び出して自由にしている息子の姿がありました。
そのときの様子は今でも覚えています。
入学前に心配していたことが起きた…とショックでした。そのショックを超えることが後日、学校との面談で起こったのです。
それは、「服薬も一つの選択です」という校長先生からの話でした。一緒に児童精神科の病院のパンフレットも渡され、「病院に行ってほしい。服薬をしてほしい」と言われていると感じました。
ADHDかもと思っていた私は、治療の一つに服薬があること、メリットとデメリットがあることも知っていました。
息子はインフルエンザの薬や抗生物質の服用で体調を悪くしたことがあったので薬の服用には慎重だったこともあり、すぐに服薬はしないと学校に伝えて学校生活を送りました。
この間、家庭内で息子への関わりや対応を工夫をしたり、担任の先生と密に連絡を取りながら息子が学校生活を送れるように配慮してもらいました。
3.悩んで服薬を決めたポイント
服薬をせずに1年間学校で過ごしましたが、なかなか学校生活がうまくいかず、息子自身も悩んでいるようでした。
3年生がスタートしてまもなく一ヶ月という時でした。なかなか落ち着いて過ごせない息子が
・みんなと同じように教室で過ごしたい
・勉強できるようになりたい
と、気持ちを吐き出してくれました。
授業についていけなくなって苦しくなってきたことを言葉伝えられるようになったことや、周りと比べるようになってきたのも自分のことだけではなく、周りが見えるようになってきたことは成長です。
そんなことを小児科の先生に伝えたところ、服薬の話が出ました。そこで、息子に薬の説明をし、話し合いをしました。
・薬はすぐに効果ができるものではない。
・学校で少しずつ落ち着いて過ごせるように助けてくれるもの。
・うまくいかないかもしれないけど、飲んでみないと分からない。
・副作用があること
このことを伝えると、息子が飲んでみようかな…と言いました。
息子が飲むことを決めたから私は服用を決意しました。
ここで大切なことをお伝えします。
薬は特性をなくすものではありません。
お薬を服薬することで不登校といった二次障害を防ぐことができるとも言われています。
そう聞くと、学校生活の中でできない自分に自信をなくして不登校になる前に服薬で未然に防ぎたい!と考えますよね。
薬を飲むのは子どもですが、薬を服用するかしないかの決断は保護者がします。
だからこそ、納得して服用することが大切です。学校で服薬の話をされたからという理由や不登校が心配という理由で服薬を決めるまえにじっくりと考えてほしいと思います。
4.ADHDキッズが 服薬する上で大切なこと
服薬を始めた息子でしたが、効果が出るか確認できる前にやめてしまいました。結論から言うと、失敗体験になってしまったのです。
この経験を通して、息子の服薬を通して最も大切なことは何か?ということが分かりました。
それは環境です。学校での過ごし方をよくしたいのであれば、学校環境が整わなければその効果は期待できません。
学校では子どもに一番関わる担任の先生がポイントになります。薬についてきちんと理解してもらった上でどのように対応していくか一緒に考えて、子どもの様子を共有することをお勧めします。
私も先生には薬の説明をしかっりしたつもりでいました。しかし、どのように対応するか一緒に息子の課題と必要なステップを考えることせずに対応は先生に任せてしまいました。
ここが、上手くいかなかった原因だと思います。
服薬を始めてたった2週間、先生が「薬の効果が出てきているみたいで落ち着いてきました。」とおっしゃいました。
先生にも薬の効果は継続して飲んで2・3ヶ月位して効果が出てきているかが感じられるか、られないくらいで、続けて飲むことが必要だとお話していました。ですから、先生の言葉には正直、疑問を感じました。
しかし、そこで私は何も対応せずに先生に任せてしまったのです。
先生は薬を飲み始めたことで息子の行動が落ち着いてきたという思い、本当はできる力があるのだから頑張らせたいという思いで指導していました。
一方で、息子はみんなと同じようになりたくて必死で頑張っていて、持っている力を使って精一杯でした。ですから、先生の思いの高いハードルを越えられずに、学校に行く事をやめたのです。
服薬をはじめて3ヶ月たち、効果もこれから分かるかな?というときでした。
そして、「薬なんて飲んでも効果が無い!」そう言った息子の言葉から、頑張って頑張って自分の思いと戦っていたんだと分かったと同時に、その息子の必死な頑張りに気がつくことができなかった自分を攻めました。
薬を飲んだら学校で頑張れるかもと期待をしていた息子でしたが、先生の思うハードルが息子には高すぎて、自信を無くしてしまったのです。
我が子の場合、二次障害という不登校にはいってしまいました。この経験から、服薬に関しては先生の理解と保護者との連携がとても大事だと痛感しました。
・もっと、先生に薬のことを理解してもらっていたら…
・早く息子がキャパオーバーになっていることに気がついていれば…
・先生にハードルを下げてもらっていたら…
後悔するときりがありません。
ですから、服薬を決めたら担任の先生に薬のことはしっかり理解してもらい、先生がハードルをあげすぎないように気をつけてもらいましょう。
できるんだから頑張れるのではなく、必死で頑張っているからなんとかできている限界ギリギリにいるとしたら、息子のように電池が切れてしまいます。
ここをサポートできるのはお母さんです。私は気がつくことができなかったので、もしも服用を考えているお母さんがいたら、気をつけてあげてほしいです!
いかがでしょうか?
結果的に息子は不登校になってしまいましたが、それはそれで良い経験をたくさんしていると今では思えています。きっと我が家には必要なことだったんだ、遠回りかもしれないけれど意味があっったんだと考えています。
ADHDの薬って効果があるの?子どもは変わるの?と悩んでいるお母さん。服薬を決めたポイントや我が家の失敗体験を参考にしていただければ幸いです。
執筆者:さとう みな
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)