学校の先生から連日「〇〇ができていない」と困り事を伝えられたら、複雑な気持ちになってしまいますね。そんな時は現場に出向くことも1つの案です。学校で実際に子どもの様子を見ながら先生とお話することで、我が子のトリセツがより伝わりやすくなります。
【目次】
1.子どもが学校生活に順応出来ていない?!先生からクレーム
2.先生に伝えたい!スモールステップの視点
3.我が子の成長を信じることが子育てのファーストステップ
①できていることとできていないことを把握する
②できないならやってもらってOK!先生への伝え方
4.周りの評価に振り回されない母になる
1.子どもが学校生活に順応出来ていない?!先生からクレーム
私には特別支援学級に通うダウン症の娘がいます。
1年生の2学期のある日、お迎えに行くと先生にイライラしながら言われました。
「給食後のお片付けや掃除をしないんです。固まって動かないです」
「そうなのですか。すみません」
慌てて教室に行くと、机の上に給食の食具が広げられたままうつむく我が子…
切り替えに時間がかかる特性があるため、次の行動に移す時は時間がかかります。
そして怒られると余計に動けなくなるのです。
学校は時間割の決められた集団生活の場。 学校のスケジュールに合わせて動けない子がいるのは迷惑なんだろうなと思いました。
そのころの連絡帳にも「今日は〇〇はしませんでした」「動きませんでした」と 書かれる日が増えていたんです。
2.先生に伝えたい!スモールステップの視点
就学のタイミングで始めた発コミュ。3ケ月で随分と切り替えが早くなり、私も子どもの特性を理解して待てるようになりました。
受講から半年が経過した2学期でしたが、先生方に急かされることで余計に動けなくなっているのではないかと思いました。
先生からクレームを伝えられて、私はいろいろな想いがよぎりました。
迷惑をかけて申し訳ない気持ち。
怒られる我が子が可哀想な気持ち。
「ちゃんとやってよ」ともどかしい気持ち。
そして、先生に対して「もっと子どものできているところに注目してほしい」という気持ちも抱きました。
私は発コミュを受講して、子どもが気持ちを切り替える時、脳は沢山の酸素を使ってエネルギー消費することを学びました。
動かない時間は決して無駄な時間ではなく、動き出すために一生懸命に脳を働かせている時間です。
脳の成長にはこの時間がとても大事なのです。
私が先生にして欲しいことは「待つこと」と「できていることを褒める」スモールステップの視点です。
そこで私は実際に学校に行って、先生方に私の対応を見てもらうことを思いつきました!
3.我が子の成長を信じることが子育てのファーストステップ
先生には「様子が気になるので、動かなくなる給食からの様子を見たい」と申し出ました。給食から教室に現れた私を見て「ママ!」と娘は嬉しそうでした。
具体的に学校でやったのは次の2つです。
◆①できていることとできていないことを把握する
具体的な給食時の流れは
・給食着を着る
・給食を運ぶ
・補助箸で食べる
・各種食器を所定の場所へ片づける
・給食着を脱ぐ
・給食セットのお片付け
・歯磨き
・机を移動させる
・雑巾がけをする
「お片付け」と一言で言っても、やることを分解するとこれだけのステップがあります。
手が小さく筋力が弱いダウン症の子には、給食着のボタン留めも難関の1つ。
また食器のお片付けの中には、牛乳パックを開いて水で中を洗い、パックを潰すという作業もありました。
こうして分解して見てみると、「片付けができない」と一言で捉えるのではなく、片付けのどの部分まではできていて、どこから躓いているのかを把握することができます。
躓きが把握できるからこそ、どうすればできるようになるのか、支援の方法を検討することができるようになるのです。
◆②できないならやってもらってOK!先生への伝え方
先生にはお片付けを全て自分でやり切ることは難しいので、スプーン一つでも袋に入れたら褒めることから始めてもらうことにし、残りは先生が片づけてもらえるようにお願いしました。
先生としては「お片付けをできるようになってほしい」との思いから、介助せず自分でやることを促してくださったことが分かりました。
私からは「できることは少しずつ増やすスタイルで自信をつけてもらいたい」と希望を伝えられました。
そして学校に見に行ったことで、当時、他のお子さんに手が出たり物を壊すことが頻繁なお子さんがいて、その子の対応で先生が精いっぱいになっていることがわかりました。
「先生も大変なんだな」とわかり、我が子がもっとできることを増やすために、家でも食具と食器の片付けを練習し始めました。
4.周りの評価に振り回されない母になる
学校に様子を見に行き、子どもの実態を自分の目で確認することはとても大事だと思いました。
クラス内の様子もわかり、その場で「こんな風に進めてほしい」と実践を見て頂きお伝えできました。
様子を見に行きたいという希望を叶えてくださった先生に感謝することもできました。
もっとお家療育で、子どもが自信を持って行動できるように私が伸ばしていく必要がある。
母が「できるようになってるよ」と子どもの本当の姿を見て、褒められるように行動しようと思いました。
聞いた話だけで悩むより行動に移すことで、見えてくることがあるかもしれません。
執筆者:北川明希子
(発達科学コミュニケーション トレーナー)
(発達科学コミュニケーション トレーナー)