子育てに困ってどうにかしたいと思ったからこそ、習ったことを懸命に取り組む真面目なお母さん。それでも何だかうまくいかないことってあります。我が子のことを誰かに答え合わせするのも難しい。そんな時は基本から見直したら気づきがあるかもしれません。
【目次】
1.毎日イライラガミガミ。この生活を変えたい
2.成長してる!と思ったら癇癪再発
3.指示出しは娘の行動を増やし、脳を発達させるテクニック
4.「褒め」に始まり「褒めに終わる」すべての基本が肯定
5.うまくいかなくなったら基本に戻るの繰り返し
1.毎日イライラガミガミ。この生活を変えたい
こだわりが強く、次の行動に切り替えることに時間のかかる娘は、知的障がいのあるダウン症の子。
就学を前にして学校の生活に順応できるのか心配になった私は、「ダウン症 切り替え」などと検索し、発達科学コミュニケーションに出会いました。
発コミュは子どもの脳に届く声掛けで、ママとのコミュニケーションをスムーズにし子どもの自立を加速させるメソッドです。
切り替えに時間がかかる娘は、朝のお仕度が全然進まない。
仕事にいく時間が迫る中、焦る私はイライラし、いつもガミガミ命令していました。
娘にも自分で動けるようになってほしいけど、すぐにイライラしてしまう自分のことも嫌。
「今日こそは怒らずに家を出よう」と心に決めるのですが、やはり怒ってしまう。
こんな毎日を変えたい、そんな思いでした。
2.成長してる!と思ったら癇癪再発
発コミュではまず「褒める」テクニックを学びます。
ただ褒めるのではなく、タイミングや褒めるパターンが状況によって違うのです。
私は早速「褒める」パターンを駆使して、子どもに声掛けを増やしました。
特に私の気持ちをラクにさせたのが実況中継の褒め。
子どものしていることをそのまま言葉にするだけでも褒めになるのです。
朝は自分から動くことがほとんどない娘ですが、食欲はあるので食卓についたところから盛んに実況中継しました。
「テーブルに座れたね」「スプーンが持てたね」「パンを全部食べれたね」などの声掛けが、出来ていることへの注目になり褒めていることになります。
そもそも私に叱られ過ぎていた娘は、最初の頃、何か声を掛けられる度に「叱られた」と思うのか、たびたび癇癪を起していました。
それが、そのうち声をかけてからしばらく待ってあげると「わかったー」と言い、行動を移せるようになってきました。
発コミュ効果が出ている!と私も嬉しかったです。
ですが、次のステップの「指示出し」になると、また娘の癇癪が頻発してしまったのです。
「なんでうまくいかないんだろう…」と呟いた私に、3つ上の長女が「ママの思う通りにさせようとしているからじゃないの?」と冷たく言いました。
「そうなの?発コミュ通りにやっているのに…」
3.指示出しは娘の行動を増やし、脳を発達させるテクニック
指示出しでもいくつかパターンがあるのですが、私が娘にわかりやすくていいと思ったのは選択制。
「ミニ〇ンの靴下といちごの靴下とどっちにする?」と靴下を目の前に持っていって聞きます。
娘は嬉しそうにミニ〇ンの靴下を指差します。
こんな風に子どもが自分で決めることで納得をするため、次の行動に切り替えられます。
楽しくお仕度が進むようになったので、私も娘の動きが止まる度にこの選択制を使っていました。
ただここから失敗したのが、私の中で「娘にさせたいことを指示する気持ち」になっていき、以前と同じ「さぁやってよ!」という命令スタイルになっていたのです。
本来は娘が行動を増やすための指示なのです。
私はここに気づけませんでした。
褒めることで急成長した娘に「これで娘は変われる!」と希望ができ、これからどんどん自分で出来るようになるだろう、と過度な期待が矢継ぎ早な命令口調になっていきました。
そのため、娘の意見を尊重する気持ちが薄れ「ママのしてほしいことをいかにさせるか」という思考になり、長女の指摘通りになっていました。
指示出しは使っていていいのですが、褒めの基本が頭から抜け、結局は命令になっていたのです。
4.「褒め」に始まり「褒めに終わる」 すべての基本が肯定
発コミュの基本は、「褒める」肯定です。
褒めて、親子の信頼関係を回復させたその土台の上でのネクストステージなのです。
それからは、選択制の指示出しをした時も選んだら終わりにせず、褒めることをセットにしました。
「ちゃんと選べたね」(褒める)
「こっちがいいんだね」(同意する)
「靴下、こっちは履けたね」(気づいていると知らせる)
「あともう一つだね」(励ます)
「両方履けたね!」(褒める)
「今日は早いね~」(驚く)
選択した後も注目を外さず、声をかけ続けるのです。
靴下を履くという行程を分解すると、ここまで声をかけることができます。
これがすべて褒められた記憶として子どもの脳に残るのです。
発コミュでは褒めの方式があり、肯定的な注目が8割必要です。
これは「子どもから見て」褒めの割合が8割以上です。
なぜこんなに割合が多いのか。
それは否定的な注目の方が子どもに割増で伝わるため肯定の記憶を上書きしてしまうからなんです。
そのため褒める方も意識して褒めをぐんと増やす必要があります。
そのうち選択を提示されただけで「あー(怒)」と言って癇癪を起こすようになった娘が、褒める声掛けを増やしていくと、徐々に落ち着いてきました。
5.うまくいかなくなったら基本に戻る。この繰り返しを忘れない
保育園に通うようになった2歳半ごろから、どんどん否定的な注目になりガミガミ怒られてきた娘を変えるのは容易ではありませんでした。
ただ、容易にならなかったのは、私に発コミュの基本が頭から抜けてしまったからです。
褒めが基本。褒めて信頼関係を築くことが土台。
どんなテクニックを使ったとしても、褒めと併用なのです。
なんだかうまくいかないなと思ったら、子育ての基本を振り返ってみましょう。
子育てってもしかしたら基本だけで乗り越えられるのかもしれませんよ。
褒めるタイミングとパターンを知れば子育てがうまくいく!
執筆者:北川明希子
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)