伴走で完走!発達障害の子どもの脳が机に向かえる宿題お膳立て作戦

 

「宿題あとでやる」と言ったきり。就寝直前になって始めたものの、寝不足だから朝起きられない。こんな悪循環は一刻も早く卒業したいですね。ADHDでも流れるように宿題に取り掛かれるようになる脳へのアプローチをお伝えします。
 
 

【目次】

1.宿題に取り掛かるまでに何時間かかるの?
2.発達障害ADHDの子どもがなかなか動き出せない理由は脳にあった
3.必要なのは、負荷の肩代わりと応援
4.良い習慣を作るのは、成功体験

 
 

1.宿題に取り掛かるまでに何時間かかるの?

 
 
我が家の発達障害の小3男児は、宿題が大嫌いです。正確には、宿題に取り掛かるのが大嫌いです。
 
 
駅名漢字は大好きです。マインクラフトで建築する時は九九も暗算も駆使しています。音読に至っては得意分野です。
 
 
やればできるのに、やらない。
 
 
宿題やらなきゃという気持ちはあるけれど、何をするでもなくゴロゴロしている姿を見るのは、大変もどかしいものがあります。
 
 
 
 
遊ぶ時間が刻々と減ってしまう…
 
 
「まだやらないの?」なんて、うっかり余計な一言を言ってしまった日には、さらにゴロゴロが長引きます。
 
 
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2.なかなか動き出せない理由は脳にあった

 
 
脳は、行動を「始める時」に最も高い負荷がかかる臓器です。これは発達障害の有無にかかわらず誰でもそうです。
 
 
食器を洗うのがおっくうな時、ありませんか?
 
 
もうお風呂に入るのが嫌になっちゃう時、ありますよね。
 
 
始めてしまえば15分や30分で済むことが分かっていても、めんどくさい!
 
 
そこでほんの少しでも誰かが手助けしてくれたら、どうでしょうか。
 
 
水切りカゴが片付いて空っぽになっていれば、あとは洗うだけです。
 
 
タオルも着替えも脱衣所に用意してあれば、あとは入るだけです。
 
 
 
 
苦手なこと・したくないことに取り組む時、発達障害の特性を持つ子どもたちの脳には、とても大きな負荷がかかっています。
 
 
脳の特性のせいで着替えが始められなかったり、学校に向かえなかったり、宿題に取り掛かれなかったり、なかなかお風呂に入れなかったりするのです。
 
 
注意欠陥多動性障害(ADHD)の診断を持つ息子の場合は、取り掛かれずゴロゴロしている間に、本や玩具やおやつが視界に入ってしまって、どんどん気が散っていき、収集がつかなくなります。
 
 
この負荷を少し肩代わりしてあげると、子どもたちは動きやすくなります。
 
 
一人じゃ動き出せないけれど、お母さんが伴走してあげることで、頑張れることがぐんと増えます。
 
 
なかなか動き出せないのが、脳の特性であるということを知れば、「早くしなさい」が、意味をなさないどころか、逆効果であることがお分かりいただけると思います。
 
 
なぜなら、本人の努力では解決できない部分を指摘しても、「だからどうしたらいいのか教えてよ!」という反発を招くだけだからです。
 
 
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3.必要なのは、負荷の肩代わりと応援

 
 
帰宅後は、手洗いうがいのあと自分でランドセルを開けて、学校からのお手紙を渡し、筆箱の鉛筆を削って、給食セットも新しいものに。
 
 
宿題を確認したら、すかさず机に向かって仕上げ、「おかーさん、できたよー!」なんて言いながら、明日の時間割をランドセルにセット。
 
 
じゃあ公園行ってくるねー!
 
 
理想はこんな感じですが、実際にはこんなことをしています。
 
 
帰宅後は、息子が手洗いうがいを済ませる間に、私がランドセルの中身を取り出し、今日の宿題のページを開いてテーブルにセットします。
 
 
鉛筆と消しゴムも私が用意。その一番上に、鉛筆を持たなくてもできる、音読の宿題をスタンバイ!はい、ここからどうぞ~♪
 
 
手洗いうがいを済ませたら、椅子に座るだけで宿題が始められる環境を作ります。
 
 
明日の支度も、プールバッグや工作の道具など特別に必要なものをそろえてあげて、負荷を下げます。
 
 
教科書はすべて学校に置かせてもらっているので、あとは鉛筆削りと給食セットだけ!
 
 
いかがですか?
 
 
ひとことで宿題と言っても、
 
 
・ランドセルを開ける
・宿題が何かを確認する
・テキストを出す
・該当ページを探す
・鉛筆消しゴムを用意する
・回答にとりかかる
 
 
と、これだけの工程があるのです。
 
 
宿題も支度も細かく分解して、取り掛かりの部分だけでも肩代わりしてあげると、かなり負荷が下がります。
 
 
ここで、伴走者であるお母さんの重要な役割がもうひとつあります。
 
 
それは、応援することです。
 
 
いいねぇ。前に習った漢字も覚えてるじゃない、さすが!
 
 
繰り下がりを忘れないところがすごい、もう3問も解けた!
 
 
スタートの負荷を下げて、走り切れるように、応援しながら伴走する。
 
 
これなら、息子もなんとか最後までやり切れます。
 
 
子どもの脳は未熟ですから、「最後までやり切る」のは、たいへん難しいことです。
 
 
全部ひとりで取り組む場合の半分以下、4割くらいまで負荷を下げられるよう心がけました。
 
 
 
 
 

4.良い習慣を作るのは、成功体験

 
 
なんでも手伝ってしまっては、自分でできなくなりそうですか?私も最初はそう思っていました。
 
 
しかしそんなことはありませんでした。
 
 
1か月ほど手伝いを続けたある日、私が電話中で手伝えない日がありました。
 
 
すると息子は、いつも私がしていることを自分でし始め、あっという間に着席して宿題に取り掛かりました。
 
 
「宿題を早く終わらせるとたくさん遊べる」という成功体験が積みあがっていたので、行動できたのでしょう。お母さんもうるさくないし(笑)
 
 
最初からなんでもかんでも自分でさせようとしてバトルになるよりも、少し手伝ってあげて、「うまくいった」を経験させてあげるほうが、よほど近道だということが分かりました。
 
 
この調子なら、私の理想の下校後ルーティンも、ほどなく叶いそうです。
 
 
お母さんに知識があり、穏やかな気持ちで手伝ってあげることができれば、下校後の平穏は約束されます。
 
 
年齢が上がってくると、できることが増えてきます。
 
 
つい多くを期待してしまいそうになりますが、凸凹のある子どもは、人の何倍も努力してみんなと同じ水準にたどり着いている場合があることを、忘れないであげたいですね。
 
 
 
 
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執筆者:髙田 礼
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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