時間管理が苦手な発達障害のお子さんは多いですよね。遅刻をしたり、時間通りに動けない子どもがいると「時間だよ!」「早くしなさい!」と言うことが増えますね。今回は好きなことをしながら、時間を意識できるようになったお出かけ計画についお伝えします。
【目次】
1.時間管理が苦手で、行き当たりばったりの日々
2.「友達とお祭りに行きたい!」と言った息子に「だったら挑戦してみない?」と提案
3.ギリギリまで何もしなかった息子が動き始めて、感動お出かけ体験ができた
①当日の予定表を自分で考える
②時間を意識しながら、1日の予定をその通りにする
③楽しかったお祭りを振り返る
4.今が伸び盛り!できることを増やして時間が意識できる自分を手に入れよう
1.時間管理が苦手で、行き当たりばったりの日々
発達障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)グレーゾーンの息子は忘れ物が多い、整理整頓ができない、宿題をしないなど気になることがたくさんありました。
小学5年生になると、息子は自分から洗濯物を出したり、宿題をしたり、明日の時間割を合わせたり、これまでできていなかったことが少しずつできるようになってきました。
やるべきことに自分から取り組むようになった姿を見て、私は嬉しく思っていました。
ところが、もともと時間管理が苦手な息子は普段の生活で、時間通りに動けない場面が多々ありました。
学校から帰宅するとすぐに友達の家に遊びに行く息子。帰宅時間は18時の予定でした。
しかし日が長くなるにつれて、18時の帰宅が18時半に、そして19時を過ぎても帰宅しない…だんだんと帰宅時間が遅くなっていきました。
帰宅時間が遅くなると、それと共に、夕食の時間、宿題をする時間、お風呂に入る時間、寝る時間がだんだんと遅くなっていくため、押せ押せの生活になっていきました。
朝5時30分に起きていたので、夜はやるべきことができないまま寝てしまったり、宿題も中途半端に終わっている、最近は朝も起きれないなど悪循環になっていきました。
2.「友達とお祭りに行きたい!」と言った息子に「だったら挑戦してみない?」と提案
本人は5年生になり「宿題ができるようになってきた」とプチ自信がついていたので、この時期に、時間管理ができることや行動する前にいったん考える習慣をつけていけていきたいと思っていました。
そんな時、GWに大好きな「友達と電車に乗ってお祭りに行きたい」と言い出しました。
これはチャンスだと思い、大好きな友達とのお出かけを活用し、苦手な時間や見通しに対する感覚を磨こうと考えました。
そこで私は「2人でお祭りに行くのはちょっと心配だから、お出かけの計画を立てて、自分で予定表を作ってプレゼンしてくれる?」と伝えました。
『面倒だな~』という顔をしていましたが、当日までにプレゼンをすると2人で約束しました。
3.ギリギリまで何もしなかった息子が動き始めて、感動お出かけ体験ができた
大好きな友達とのお出かけで、苦手な時間管理をする能力を伸ばそうと決めた私が取り組んだことは3つあります。
◆①当日の予定表を自分で考える
予定表を作るように伝えておいたのですが、一向に取り組む様子がない息子。
時間に対する意識が乏しいので、いつお祭りに行くのか、いつ予定表を作ったらいいかを考えていないようでした。
そこで、急遽カレンダーにお祭りの日にマルをつけて、カウントダウンしていきました。「あと何日でお祭りに行くね」と毎日声掛けをしていきました。
ちょうど3日前になって「明々後日がお祭りだね。いつ予定表を書くの?」と聞くと、思い出したように、今から書くと言いました。
カレンダーに記入したり、声掛けをすることで先の予定を意識することができました。
予定表の書き方は時間を意識して行動できるように「時間の流れが分かるように時系列で書いて、その中にやりたいことを書き込んでいったらいいよ」と説明しました。
最初は大ざっはに「①友達と遊ぶ」「②ご飯を食べる」「③友達と遊ぶ」しか書いていません。
時間の流れを意識してなかったため「何時から何時まで遊ぶのか時間を書き込んでみよう」「何時からご飯を食べるのかな?」と時間を書いてもらいました。
また、電車の時間を一緒に調べて「何時に駅に着いていたらいい?」「じゃあ、何時に家を出ようか」「何時にお祭り会場を出ようか」と時間を逆算しながら予定に落とし込んでいきました。
息子が興味を示すようなイベントを紹介し「こんなイベントがあるよ!見に行く?」「これは10時から10時50分まであるね」「予定表に書いておこう」と声を掛けながら、おおまかな時間と内容を予定表に書いていきました。
面倒くさいという気持ちが強かったのですが、友達とお祭りに行きたい気持ちも強かったので「楽しみだね!」「このイベントの感想聞かせてね」と気持ちを盛り上げながら、なんとか予定表を作ることができました。
何時からこのイベントがあるとわかっていても、予定を書き込んでおくことで見通しがつき、何分前から行動したらいいかを考えることができました。
逆算しながら動かないといけないことが体感できたようです。
当日は、予定を確認しながら動けるように予定表を持って行き、予定通りのことはできたようでした。
◆②時間を意識しながら、1日の予定をその通りにする
普段から、予定通りに行動する力をつけるために、1日のスケジュール表を作ることにしました。
習慣化するために平日の予定を中心に、曜日を横に、時間の流れを縦にとって表を作成します。
予定表には「行動の内容」「それを行う時間」を書きました。
リビングに貼っておき、できたら表に〇をつけていきます。
モチベーションを高めるためにお祭りまでに全部〇がついたら、お小遣いを500円アップしてあげるねとご褒美も用意しました。
声を掛けなくてもできることは自分でしてもらい、声を掛けないと難しいことは毎日息子に時間と行動の声掛けをしました。
特に帰宅時間と就寝時間に関しては特に声掛けが必要でした。
母:「18時半には帰宅してね」
「18時半までに帰宅するには何時に友達を家をでたらいいかな?」
息子:「18時15分には友達の家を出る」
このような会話をしておくことで、時間通りに帰宅することができるようになりました。
声掛けの回数が減ってきたので、予定を意識する力が少しずつついていると感じました。
最終的には、1度だけ朝が起きれなかったのですが、それ以外はできていたので500円のお小遣いアップとなりました。
◆③楽しかったお祭りを振り返る
感情が動いたり、エピソードと一緒に覚えることが記憶に残るポイントになります。
お出かけが終わった後にお出かけについて、予定表を見ながら復習する時間を取りました。
「このイベントは参加できた?」「どんなところが面白かった?」「他には何をしたの?」と楽しかったお出かけについて語ってもらいました。
携帯電話に写真を撮っていたのでそれも見ながら、「友達とこんな物を取った(くじ引き)」「焼きそばを食べたよ」「金魚がたくさんとれた」と話してくれました。
次の日に友達と同じ水槽を購入して、金魚を飼い始めました。
「時間を意識しながら行動できた」「予定通りにお祭りに参加できた」という成功体験が自信に繋がったようです。
さらに、「友達と初めて遠くにお出かけをする」「金魚が獲れた」という感動体験があったことで、ポジティブな記憶として脳に定着したと思います。
4.今が伸び盛り!できることを増やして時間が意識できる自分を手に入れよう
行き当たりばったりで動いていた息子ですが、楽しいお出かけ計画の中で苦手な「時間を意識すること」ができました。
「育ちの旬をうまく活かして、その脳の部分を育ててあげることができる」「好きなことの中では、嫌なことでもがんばれる」ということを体感できました。
息子には「好きなことや得意なことの中で、苦手なことも伸ばそう」と伝えていきたいと思います。
「時間を意識できるようになったら、怒られる回数が減ったよ!」と息子にもっと自信をつけていきたいです。
発達障害のお子さんの困りごとに対応する方法をご紹介しています!
執筆者:石井花保里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)