朝が苦手な息子を起こすのは至難の業でした!息子の脇の下に私の腕を通し持ち上げて起こすことも…。実は、朝起きられない原因の一つとして脳の特性である「低覚醒」が関与しているそうです。起きるのが苦手なお子さまの対応を考えてみませんか?
【目次】
1.困った!朝が苦手な反抗期中学生男子
2.なぜ起きられないのは「低覚醒」せい?
3.起こし方の秘訣は「ワクワクさせること」
1.困った!朝が苦手な反抗期中学生男子
朝、時間になってもなかなか起きられない子どもの対応にお困りではありませんか?
朝ごはんも食べさせたいし、遅刻をさせたくない。毎朝この調子だとイライラしてしまい、つい、「いつまで寝ているの?早く起きなさい!」と怒鳴ってしまいませんか?
私の長男は注意欠陥多動性障害(ADHD)傾向があります。
小学6年生ごろになると朝の覚醒が悪く、脇の下に手を通して体を持ち上げて起こしながら、なんとか通学班で登校できていました。
ですが、中学生になるとさらに状況は悪化!
中学生になると、部活動やYouTube、ゲーム、塾など生活パターンが変化し、寝る時間が遅くなってしまい、さらに、朝起きられなくなってしまったのです。
早起きできないのだから、早く寝ようと声をかけても、いうことは聞いてくれず…。
毎朝、遅刻させないように矢継ぎ早に指示出しすると、「うるせー。」と反抗され、口論に発展する始末!
そんな毎日から抜け出したいと始めた発コミュの褒めのテクニックで、起床してから朝の準備が30分から15分へ短縮でき、口論も激減しました。
しかし、朝起きるまでの時間はなかなか改善しませんでした。
そのときの私は、まさか発達の特性が関与しているとは知らなかったのです!
2.起きられないのは「低覚醒」のせい?
発達障害やグレーゾーンの子どものなかには「低覚醒」という特性を持つ場合があることをご存知ですか?
「 低覚醒」とは、朝なかなか起きられなかったり、起きても頭がボーっとしていてなかなか動きだせずにいることです。
つまり、脳のエンジンがかかりにくい状態のことです。エンジンがかかりにくい車は、なかなか動き出せませんよね?
私たち大人でも、生活習慣が乱れると脳の覚醒レベルが落ち、ボーッとしたりパフォーマンスが低下したりします。
また、夕方になると脳が疲れてきて誘惑に負けやすかったり集中力が途切れやすくなったりしますよね。
ADHDの子の多動性や衝動性を見ると覚醒レベルは高そうですが、実は低いので、脳の覚醒レベルを保つために身体をよく動かしているのです。
この「低覚醒」がひどい子は、起きてからもずっと頭がボーッとしていて、人の話が全然耳に入ってこない状況です。
なかには記憶がはっきりしてくるのが、給食のあとからという子もいるそうです。
つまり、「低覚醒」の状態のお子さんに、矢継ぎ早に指示をだしても、脳に届いていないということになります。
子どもからしてみると、
「あれ?なにお母さん、ごちゃごちゃ言っているんだろう。」
「何も悪いことしていないのに怒られている!」
と自己肯定感は下がり、反発してしまうわけです。
また、ADHDの子は目の前のことを優先しがちになるので、眠いという感情から朝起きられなくなるのです。
では、どのようにして起こしていけばいいのでしょうか?
3.起こし方の秘訣は「ワクワクさせること」
我が家の場合は、起こすときに「朝だよ!起きなさい!」から
「今日はパンにする?ごはんにする?」
「アイスココアにする?ホットココアにする?」
と息子が食べたいものや飲みたいものの声かけに変えました。
すると、目をつぶったままうなずいたり、首をふったりする反応がありました。
また、足や腰をわずかに揺らして起きようとしている息子の行動に気が付きました!
「今、一生懸命起きようとしているんだな。」
と起きられないのは怠けているのではなく、低覚醒によるものだと理解することで私のイライラがなくなりました。
そして、しばらく時間をおいて待っていると、息子自ら起きてきたのです。
毎朝行動を観察しているうちに朝起きるまでの所要時間は約30分程度で、私と息子の行動時間のペースが違うことがわかりました。我が家の長男は覚醒するのに30分かかるので、前日の夜に本人と話しあっています。
・起こしてほしいのか?
・自分で起きるのか?
・何時に起きるのか?
起こしてほしいときは起床時間の30分まえから、声かけの準備をしています。
また、大好きなものを朝食にするほかに、「ゲームやYouTubeをやってもいいよ。」と言葉かけすると、脳がわくわくして、起きたくなるようです!
ゲームやYouTubeはあくまで目を覚ませるためのツールです。
あなたのお子さまもなかなか朝起きられないなら、「低覚醒」が関与しているのかもしれません。
お子さんをワクワクさせて、朝をむかえてみませんか?
発達凸凹中学生の子育でのヒントをお伝えしています
執筆者:神田久美子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)