発達障害・ADHDの子どもはやらかし行動が多く、感情的にすぐ怒るお母さんは多いのではないでしょうか。子どもがやらかした時に叱り方が間違っていると、逆効果になってしまうことがあります。今回は子どもが素直な子に変わるソフトな叱り方についてお伝えします。
【目次】
1.発達障害・ADHD息子のやらかし事件に振り回されてすぐ怒る母親でした
2.感情的に怒るとダブルで悪影響
①子どもの脳に伝わっていない
②叱る必要がないことも叱っていた
3.やらかし男子が素直な子になるソフトな叱り方
①叱る判断基準を決める
②やらかした時は感情に左右されずにソフトに意思疎通の会話をする
③子どもに伝わるような言葉に変換して短く伝える
1.発達障害・ADHD息子のやらかし事件に振り回されてすぐ怒る母親でした
「こらー!」
「いい加減にしなさい!」
「何回言ったらわかるの!?」
発達障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)の息子は叱られることが多い超やらかし男子です。
とにかく、大人がイラっとすることをやる!やる!やる~!振り回される毎日です。
もともと発達障害・ADHDの特性(不注意・多動・衝動的)で
・じっとしていられない
・片付けが苦手
・忘れ物が多い
・時間を守らない
・物を壊す
・トラブルが多い(学校や友達)
などと困った行動が多く、普段の生活で息子を強く𠮟りつける場面が多々ありました。
そのうえ、やらかし行動が多かったのです。
・リビングの壁は落書きだらけ
・時計や音楽プレイヤーなどなんでも壊す
・自転車で妹を乗せて爆走
・高い木や屋根に登ってる
・スーパーのカートで妹達を乗せてスピードを出して横転…
息子のやらかす行動に「何でそんなことをするの?」「どうしてそうなるの?」と怒りが爆発!
私は一度怒りだすと、もう腹が立ってどうしようもなくなり、感情的に怒り、最後はくどくど小言を言い続けていました。
どんなに私が怒っても同じことを繰り返す。
何度も同じことを言っているのになかなか改善しない。
それどころか問題行動が増えているような…
どうすればいいかわかりませんでした。
子どもにはしつけとして「やっていいこと、やってはいけないことを教える」ことが社会で生きていくために必要なことだと思っていたので、とにかくよくない行動は厳しく注意していました。
当時の私の叱り方とは
・感情的に叱る
・なにをしてもとにかく叱る
・人格を否定するほど叱る
・過去のことを含めて叱る
こんな叱り方を繰り返していたので、ネガティブな記憶を持ちやすい息子は傷つき、自信をなくしていました。
2.感情的に怒るとダブルで悪影響
感情的に怒り爆発すると、子どもにも親にも悪影響があります。
◆①子ども:脳に伝わっていない
頭ごなしに叱っても子どもの脳はフリーズしていて意味がなく、脳に全く届いていません。
親が説教を一方的に話すと、子どもは脳の後ろの部分だけしか使わないので、ほとんど記憶に残りません。
その時はふんふんと聞いてるけど、また1週間後同じことを繰り返す理由はここにあります。
子どもが脳の前側(前頭葉)を全く使っていないから、親の言ったことが子どもに伝わっていないのです。
脳はできた時に成長する法則があるので、意思疎通が出来た=成功した時に成長します。
つまり、親の言っていることが「ちゃんと伝わった!」意思疎通ができた!を繰り返すことで、脳がドンドン発達します。
意思疎通をうまくするような声掛けが大事なのです。
◆②親:叱る必要がないことも叱っていた
私は冷静な判断ができておらず、感情に左右されながらなんでもかんでも叱って対応していました。
感情が暴れている時は脳の働きは落ちていて、冷静に判断できていません。
その結果、叱る必要がないことまで叱っていました。
感情的になんでもかんでも叱ることは、いいことが1つもありません。
それどころか、子どもの脳も親の脳も全く発達させません。
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3.やらかし男子が素直な子になるソフトな叱り方
やらかした子どもに爆発せず、冷静に会話することで子どもは素直に聞ける脳に変化します。
そのポイントを3つ紹介していきます。
◆①叱る判断基準を決める
叱る基準が明確でないから、感情的になんでもかんでも叱ってしまいます。冷静に話すためにあらかじめ判断基準を決めておきます。
叱る必要があるのは、「許しがたい行動」です。許しがたい行動は2つあります。
・危険行為:自分や人を危険にさらす行動
・違反行為:倫理/道徳/法律に違反する行動
例えば、人を思い切り叩く、危険なところにわざと上がる、暴言を吐く、赤信号を渡ろうとする、などです。
この2つがあれば、感情に左右されずに冷静に叱ってOKです!
事前に「このようなことがあれば叱ります」と子どもにも伝えておきましょう。
◆②やらかした時は感情に左右されずにソフトに意思疎通の会話をする
危険行為をやらかした時の対応についてご紹介します。
事例:「家の中でバットを振り回していたらテンションが上がって障子を破ってしまった」
①無言の3秒で「何をやった?」を本人に理解してもらう
家の中でバットを使用していて障子が破れました。まずは自分のしたことを理解してもらうために、何にも言わずに3秒間、目線だけで伝えます。
息子にはがっつりと「あ~やったね」「障子破れたよ!」とお母さんはちゃんと気づいているよ、と息子の顔と障子を見て伝えます。
息子も「あーやっちゃった」と自分が何をしたかがわかります。これで子どもが反省を始めます。
②やったことを言葉にする
母:「障子どうなった?」(優しく)
息子:「障子が破れた」
母:「なんで破れたの?」(優しく)
息子:「…バットを振り回したから」
自分がやったことを子ども本人が言葉にします。
③親子の対話で対応策を考えさせる(子どもが考える、行動するための問いかけ)
母:「そうだよね、じゃあどうしようか?」「どうすればよかった?」
と前頭葉を使うために問いかけをして、自分で対応策を考えさせます。
息子:「直す」「パパに謝る」「バットを振り回さなければよかった」
と自分で考えて言いました。
母:「それいい考えだね」「謝るのいいね」「一緒に直そう」
と言って、一緒に手伝いながら自分で考えて直すことができました。
子どもが次の行動をする声掛けなので、記憶に残りやすく、その後2、3回以上同じことをしましたが、だんだん少なくなってきました。
◆③子どもに伝わるような言葉に変換して短く伝える
自分で考えた対応策を実行し、実行し終わったら「自分で考えて直せたね」と褒めて終わります。
やらかしたけど、自分でどうにか対応できたという達成感が成功体験となり自信につながっていきます。
必要な時は「バットは外で使おうね」と何を修正すればいいのか、短くコンパクトにぽんと伝えてあげることで、よくないことを意識するようになりました。
最後に、 うっかり人様の大事な物を壊してしまうということもあるので、我が家は個人賠償責任保険にも加入しています。
この対応を繰り返すことで、 私は感情的に怒り爆発することが減って、落ち着いて対応できるようになりました。
息子は叱ったり注意したことに腹を立てずに受け入れて、素直に応じることができるようになりました。
やらかしてしまう子どもはどうしても止められない、やらかしてしまうのです。
「じゃあどうする?」とお母さんが事前に適切な対応を考えて、子どもの脳をぐんぐん成長させてくださいね。
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執筆者:石井花保里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)