発達障害の子どもの疲れてやる気が出ない様子や宿題に時間がかかることに困っていませんか?やり始めるのも進めるのも一苦労なので、宿題の時間が憂鬱…。そんなお子さんがすんなり机に向かえるようになる、読み聞かせの意外な活かし方をお伝えします。
【目次】
1.発達障害の息子がお疲れモード全開で宿題に取り組めなくなりました
2.なぜ発達障害の子どもはこんなに疲れやすいの?
3.宿題に時間がかかる小学生に読み聞かせが効果的な理由
4.子どものやる気を引き出す読み聞かせ活用術
1.発達障害の息子がお疲れモード全開で宿題に取り組めなくなりました
休み明けや長い学期の途中などは、発達障害の子どもの疲れが目立ちやすいタイミングですよね。
学校から疲れて帰宅するとダラダラ、ゴロゴロ。そして宿題が一向にはかどらない。
私も、自閉症スペクトラム(ASD)と注意欠陥多動性障害(ADHD)の傾向がある息子のこんな様子にヤキモキしていました。
放課後はランドセルを放り出して遊びに行ってしまい、帰宅したら「疲れた〜」と宿題は後回し。
ようやく取り組み始めても、鉛筆で遊んだり、空想に耽って手が止まる…
集中すればサクッとできるはずの宿題を、私がまるで監視員のようについて進めなければならないのは非常に苦痛でした。
そんな時、疲れて宿題をやる気になれない我が子がすんなり机に向かうある方法を発見したのでご紹介したいと思います。
2.なぜ発達障害の子どもはこんなに疲れやすいの?
ところで、発達障害の子どもが疲れやすいのはどうしてでしょう?
勉強や行事が大変なのはみんな一緒。やる気が足りないんじゃない?
そんな風に思っていませんか。
◆感覚が敏感
発達障害の子どもの多くが、聴覚、視覚、触覚などに何らかの過敏さを持ち合わせています。
五感で受け取る刺激を脳内でうまく処理できないため、教室のざわめきや蛍光灯の光、給食の匂いなどに晒される集団生活は非常に消耗します。
◆エネルギーを使い過ぎる
衝動性が高かったり、注意のコントロールが苦手で集中し過ぎる子どもは普段からエネルギーを使い過ぎています。
自分では疲れに気づきにくいため、限界にきてから突然体調不良を訴える…ということも少なくありません。
◆周りに合わせようと頑張っている
特性による困りごとを抱えながら周りについていくためには、人一倍の努力が必要です。
息子の場合、指示を聞いたり状況を読み取ることが苦手なため、集団行動は緊張の連続です。
失敗体験も多くなりがちですから、学校で過ごすだけで心身ともに疲れてしまうのは無理もないことです。
3.宿題に時間がかかる小学生に読み聞かせが効果的な理由
こんな我が子が宿題に取り組めるようになった秘訣、それは勉強前の読み聞かせでした。
きっかけは、やる気を促すご褒美をいくつか提案してみた中で本人にヒットしたのが、「読み聞かせをしてほしい!」だったからです。
それがなぜ効果抜群だったのか、お話しましょう。
◆読みきかせは優れた親子のコミュニケーション
読み聞かせの際、子どもの様子や反応を見ながら読み方を工夫しますよね。
その時、親の脳では子どもの気持ちや反応を読み取るエリアが活発に動いています。
一方、子どもの脳は、聞く力や感情、記憶に関わる領域の活動が盛んです。
お母さんの心のこもった読み聞かせで子どもの情緒は安定し、親子の絆が深まるという効果があるのです。
読みきかせをするだけで良好なコミュニケーションが取れて、仲良し親子になれるなんて嬉しいですよね。
また、経済協力開発機構(OEDC)の調査では小学生の学力に読書の量が関係していることが分かっています。
小学生への読み聞かせは、聞く力、感情、社会性、学力など様々な発達を促す意味でも理にかなっているんですね。
◆勉強のやり始めのエネルギー不足を補う
脳はものごとをやり始める時に最もエネルギーを必要とします。
大人でも、楽しいことをやめて仕事や家事などやるべきことに向かうのは腰が重いものです。
発達障害の子どもは普通の人の何倍もやる気を出すのに労力が要るため、切り替えに時間がかかります。
読み聞かせをすることで、子どもの気持ちは満たされて落ち着いています。
落ち着いていれば集中しやすいため、学習への切り替えも負担が少なく済みます。
また、親子の情緒的な絆が深まっているので、子どもはお母さんの声がけに素直に応じることができます。
このように、読み聞かせをしてから学習に入るのは親のストレスも減っていいことずくめです。
とはいえ、宿題の量や難易度が子どもの負担になりすぎている場合、まずは先生に相談して調整して貰うと良いと思います。
4.子どものやる気を引き出す読み聞かせ活用術
我が家では小学生になった息子が自力読みを始めた頃から読み聞かせの機会が減っていましたが、さっそく勉強前に取り入れてみることにしました。
ここでは、読み聞かせを活用した学習の様子とポイントをお伝えしますね。
◆子どものタイミングに合わせる
いつ宿題をするのかは子どもに決めてもらい、なるべくそれに合わせるようにします。
子どもがしていることがキリのいいタイミングになるのを見計らって、声をかけます。
「今日は宿題の前に一緒に絵本を読もう。
本を読むと集中力がアップするから、勉強がサクサク進むかもしれないね!」
と、笑顔で伝えて勉強机に絵本を持って行き、そばに椅子を置いて座りました。
目新しいものに飛びつく息子は、すぐに椅子に座ってくれました。
時間の目安は小学校の朝の読書タイムを参考に10分程度、内容は分かりやすく楽しいものや子どもが好きな科学絵本などを選びました。
◆親が読み聞かせを楽しむ
読み聞かせる時は、落ち着いたペースと優しい声を意識しました。
宿題のことは一旦脇に置いて、子どもの反応を見ながら楽しく読み聞かせることが最大のポイントです。
何と言っても心を込めた読み聞かせが脳を活性化するのですから、自分も楽しんでしまうのが一番です。
読み終えると、親子ともにとても穏やかな気持ちになっていました。
既に椅子に座って集中できる状態にあるため、
「面白かったね〜!いい気分のまま、このプリントだけやっちゃおうか?」
と予め用意しておいたプリントを広げてあげると、すんなりと勉強への切り替えができました。
息子は時々ぱらぱら読み返したりすることもありますが、自分なりに満足する瞬間がくるとスッと勉強に向かうことができています。
すぐには切り替えない時も焦らずに待ってみることをお勧めします。
筆箱やプリントの準備も、自分でやらせなきゃ!と思わずに、今は手伝ってあげて下さいね。
宿題がスムーズにできるようになれば、そのうち自分でやり始めますよ。
◆できているところを褒める
宿題に取りかかれたら、
「おっ、一問できたね!」
「もう半分進んだね!」
「あと少しだね!」
と、できていることを見たまま言葉にして肯定します。
たとえ全てやり切れなくても、です。
お母さんの肯定の声がけによって子どもの中にできた!という成功体験が生まれ、その積み重ねが子どもの自信につながるからです。
①読み聞かせで宿題の取り掛かりをスムーズにし、
②できたところを褒める関わりで伴走する。
これを続けることでやる気を取り戻した息子は、宿題を全てやり切れる日が増えたり、自主的に取り組むことも出てきました。
読み聞かせをすると親自身の気持ちが落ち着くため、いつもより大らかな気持ちで子どもに接することができます。
面白いことに、読み聞かせたお話が深く心に響くと、勉強のやる気もいっそう高まるようです。
宿題バトルの時間が穏やかになる勉強前の読み聞かせ、学校生活に疲れてやる気をなくしているお子さんに試してみてくださいね。
発達障害の子どものやる気を引き出す方法や子育のお役立ち情報を毎日お届けしています!
執筆者:山中寧子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)