説明が下手で話が長いADHDキッズに困っていませんか。言いたいことが伝わらないとお互いストレスになったり、集団生活が心配になりますよね。発達障害の特性を持つ息子が家で自信をつけ、相手を意識して話すようになった改善策をご紹介します。
【目次】
1.話が長い!説明下手なADHDキッズ
2.説明が下手な発達障害の子どものメカニズムとは?
3.おうちで「伝わる話し方」に改善するサポート方法
1.話が長い!説明下手なADHDキッズ
発達障害・発達グレーゾーンの子どもと話していると、説明が下手だったり話が中賀ったりすることが気になりませんか?
忙しい時に、
・主語が抜ける
・説明が詳細でやたら長い
・時系列が行ったり来たりする
・途中で話題を変える
こんな話し方をされると、ついイライラすることもありますよね。
私には注意欠陥多動性障害(ADHD)と自閉症スペクトラム(ASD)傾向のある、お喋りな小学生の息子がいます。
順序立てて話すのが苦手で、上記のような会話が日常茶飯事。子どもが何の話をしているのか分からなくなることがよくありました。
幼児期は好きなことをたくさん話してくれることがうれしくて、年齢が上がれば説明が下手なことは自然と改善するだろうと思っていました。
しかし、小学生になってもあまり変化はありません。
学校で友達から「言ってることが分からない」と言われて、息子は落ち込んでしまいました。
焦った私は、間違いを指摘して正しい言い方を教えたり、時には「結局何を伝えたいの?」と厳しく言ってしまったりすることもありました。
学校がうまくいかなかった時期、外でも家でも指摘されることが多くなり、自信をなくした息子は、説明が必要なシーンで口ごもることが増えました。
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そんな息子が少しずつ自信を取り戻し、相手に伝わる話し方を意識するようになった方法をお伝えします。
2.説明が下手な発達障害の子どものメカニズムとは?
発達障害の特性を持つ子どもが長く喋りすぎたり、説明が分かりにくかったりする原因は何でしょうか?
◆①頭の中が整理されていない
人間は脳のワーキングメモリーという機能を使って、話したいことの
・情報を整理する
・必要な情報を選ぶ
・順序立てて話す
ことを日常的に行なっています。
しかし、ADHDの子どもは発達特性によってこの作業がスムーズにできないことがあります。
◆②思いつくままに喋る
ADHDの子どもは、見たものにすぐ反応しやすく、脳の中がいつも大忙しです。
ワーキングメモリーを働かせて頭の中で考えを整理できず、発言のタイミングを計ることなしに、そのまま口に出してしまいます。
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◆③こだわりと状況判断の苦手さ
わが子のようにASDの傾向を併せ持つ場合は、好きなことを詳しく説明したいこだわりや、自分の話がうまく伝わらなかったネガティブな経験を持っています。
そのため、詳しく説明しないと気が済まず、話が長くなりがちです。
また、気持ちや状況を読み取るのが苦手で、相手がうんざりしていても気づかないことがあります。
どんな原因にせよ、これらは脳の特性による困りごとだと理解してあげることが大切です。
考えていることを言葉にできるのは才能です。
文部科学省が定める新学習指導要領でも、表現力や対話的な学びなどコミュニケーション力が重要視されています。
伝わる話し方ができれば、強みになります。
子どもの強みを損なわないように、まずはおうちで自信をつけてあげたいですね。
3.おうちで話が伝わる経験を積む方法
ここでは、わが家で実践した自信を育む対応と、伝わる話し方に効果的な方法をご紹介します。
◆①聞き上手になる
主語が抜けたり、話が飛んだりする子どもの話を、訂正と否定を封印して聞きます。
聞き上手になるコツは、「それはいつ?」「どこで?」と、子どもにインタビューするつもりになることです。
最後にお母さんが話を手短にまとめて、
「なるほど。昨日友達とやったゲームは、難しいけど癖になるくらい面白かったんだね!」
と聞かせることで、伝わる話し方を嫌味なく教えられます。
話がスムーズに伝わると、子どもはお母さんとの会話が楽しい!と思うようになります。
聞いて→まとめて→肯定的フィードバックをする。
この繰り返しで息子は少しずつ、相手のことを意識して話すことが増えたと感じます。
◆②できている時に褒める
偶然でもいいので、伝わる話し方をしてくれた時を見逃さずに褒めました。
「来週月曜日に、学校で工作に使うために牛乳パックが要るんだね!」
「いつ何のために必要なのかがよく分かる説明だったよ。ナイス!」
と具体的に褒めます。脳は褒められた行動を正解と学んで繰り返します。
息子は「こうやって褒められると嬉しい!」と話していますので、自信を育む効果が期待できます。
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◆③欲しいものをプレゼンしてもらう
子どもが言いたいことを簡潔に伝えるための方法として、「欲しいものを親にプレゼンしてゲットする」体験が有効です。
ADHDの子どもは「楽しいこと」や「ご褒美」が大好き。「言いたいことを簡潔に伝えると良いことがある」とおトクな経験から学んでもらいます。
紙に、
タイトル: 「〇〇くんの、△△ゲット大作戦!」
①欲しいもの
②理由
③値段
を書き、子どもにインタビュー形式で答えを聞いて記します。
メモを使うことで、限られた空間に多すぎる情報は載せきれないことが視覚的に理解できます。
話が脱線したらメモを指差し、「欲しい理由は何だっけ?」と声をかければ作業に戻れます。
メモができたら、親にプレゼン発表をしてもらいます。
親は「いいね!ここが分かりやすい!」とポジティブなフィードバックをします。
この方法で、メカが好きな息子はミニ四駆の工具、水槽のヒーターなどを手に入れてきました。
思いが伝わり、欲しいものを自分の力で手に入れた成功体験は、自信になります。
3年生になると、ここぞの時は気合いを入れて自分でスライドを作成するようになりました。
親としても、価格に制限をつけたり、納得できない部分を考え直してもらうなど、フィードバックをレベルアップしています。
自信がつくと行動が増え、脳全体が発達します。
資料作りがきっかけでパソコンへの興味が膨らんだ息子は、今ではパソコンを自作し、ITの知識を増やし、家のデジタル担当として頼れる存在になりました。
このような対応で息子の会話は以下のように変わりました。
・途中で話題が飛ぶことがほとんどなくなった
・「この言い方で伝わるかな?」と考えながら話す場面が増えた
・求められると説明し直したり、手短にまとめることができるようになった
小さな子に簡単な言葉で短く説明するなど、相手を意識し、話の内容や長さを調整しようという気持ちが生まれたことに成長を感じます。
学校で大人数の雑談についていけずヘコむことはあっても、自信を損なわずに伝え方を学んでいくことができるのは嬉しいことです。
今後もスモールステップで息子の伝える力を高めていきたいと考えています。
同じような悩みを持つ方の参考になりましたら幸いです。
執筆者:山中寧子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)