ドタキャンに慌てない!失敗したくない気持ちが強い子どもの心理的ハードルの下げ方

 

過去の体験から無理なく取り組めそうなことなのに、子どもが尻込みして「やりたくない」と言うことはありませんか?失敗が怖くて動けない子どもの気持ちに寄り添い「やってみる!」という言葉を引き出すアプローチ法をお伝えします。
 

【目次】

 
 

1.「安心」を求めたい子どもの心理を知る

 
 
子どもが色んなことにチャレンジする意欲を見せてくれると嬉しいですよね。
 
 
ところが、「やってみたい」と言ったはずなのに、いざ、それを目の前にすると尻込みしてしまい「やっぱりやりたくない」と言う場面はありませんか?
 
 
気が変わってしまった理由が分からず、こちらは戸惑うばかりですよね。
 
 
時には「えっ!?やりたいって言うから、お金払っちゃったのに」なんてことにもなりかねません。
 
 
実はこのような時、子どもは「安心」を求めています。つまり、裏にあるのは不安です。
 
 
・できる気がしない
・失敗するのが怖い
・何となく全てのものが難しく感じる
 
 
だから無難に「やめる」という選択をします。
 
 
きっと心の中にはワクワクする気持ちを持っているのだと思います。
 
 
ところが、これまでの失敗体験が積み重なり、たとえ大人の目には些細な失敗だと見えるようなことであっても、子どもにとってはネガティブな記憶となってつきまとうのです。
 
 
そして、そのネガティブな記憶は、どんどん膨らみます。とにかく不安でたまらない、というレベルにまで達することがあるのです。
 
 
こうして先ほどの「できない」「怖い」「難しい」という感情に支配されて動けなくなると、せっかくのチャレンジ精神を発揮できなくなります
 
 
「行きたくない」と言うお子さんに対して、「また思いつきでやりたいって言って・・・」などと子どもに振り回されたりイライラを感じていませんか?
 
 
そう思いたくなる気持ちは分かります。ですが、子どもの不安を無視して感情的になることは避けましょう。
 
 
なぜなら子どもが不安から脱却できず、ますますチャレンジしなくなるからです。
 
 
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2.ワクワクから一転、怖くなったロボット教室

 
 
夏休み前のことです。息子が学校からロボット教室のチラシを持って帰りました。それを私に見せて「行きたいから申し込んで」と話します。
 
 
見てみると大学が開催する子ども向け夏休みイベントのお知らせでした。
 
 
息子はプログラミングの体験教室に参加するなど興味を持っている分野でしたので、大学の構内で開催されるということも私としては興味深く、すぐに申し込んで材料費を振り込みました。
 
 
夏休み前からカレンダーに予定を書き込んでおり、息子は待ち望んでいました。前日には出発時刻を確認し、お昼ご飯は大学の学食を利用してみよう、というスケジュールを立てて臨みました。
 
 
私としては準備万端です。
 
 
ところが当日、出発時刻の直前になると息子が浮かない表情で「やっぱり行かない」と言い始めたのです。
 
 
そのような流れになるとは全く想定していなかった私は、言葉を失うほど驚きました。
 
 
と言うのも、前日まではワクワクしているのを知っていますし、過去に体験した同様のイベントを楽しんでいる姿もよく覚えていたからです。
 
 
数千円と言えども支払った材料費が戻ってこないことが脳裏に浮かびながら、時間の余裕もないことから私は焦りました。
 
 
そこで次のように子どもに寄り添いました。
 
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3.高く上がってしまった心理的ハードルを下げる方法

 
 
まず、親が深呼吸して冷静になることから始めましょう。ここで怒りスイッチが入ってしまうとこじれてしまいますので気をつけてくださいね。
 
 

◆子どもの言葉に共感し、落ち着いて話す

 
 
自分の思惑とは異なっていても、「そっか。行きたくないんだね。」のように初めは子どもの言葉をそのまま受け止めてください。
 
 
子どもは、一度は行きたいと言った自分が今、真逆のことを言っていることを分かっているはずです。だからこそ、そのことを責めるような言い方は避けましょう。
 
 
そして、今一度、予定しているスケジュールについて落ち着いた優しい声で伝えてみてください。
 
 
「今日は車で大学まで行く予定だよね」
 
「大学は小学校と違って建物がいっぱいあったり、広い場所だね」
 
「お昼ご飯は、大学の食堂に行く予定だね」
 
「車みたいなロボットを作るようだね」
 
「自分でプログラミングをして、車を走らせるみたいだよ」
 
このように一つずつスケジュールを分解して子どもに話しかけます。
 
 
気をつけたいのは「大学に行くのが不安?」というように、あえて不安をあおるようなことをしない点です。
 
 
また、「不安」という言葉を使わなくても、こちらが不安を感じながら話すと子どもにそれが伝わってしまいますので、できるだけフラットな気持ちで話しかけてください。
 
 
すると、子どもがネガティブな反応を示す部分があるはずです。そこの心理的ハードルがグッと高くなっている可能性があります。
 
 
 

◆心理的なハードルを下げる提案をする

 
 
子どもが反応を示したら、「ひょっとして、それが不安で行きたくなくなっちゃった?」と問いかけてみてください。
 
 
そして、子どもが肯定したら、そのように思っていることを優しく受け止めます
 
 
時には子どもが「こんなことできないよ!」とイライラしながら否定的な言葉で伝えてくるかもしれません。それでも共感して「そう思うんだね」と受け止めましょう。
 
 
子どもが落ち着き、こちらの話に耳を傾けてくれる状態になるまで子どもの言い分をしっかりと聞けたら、次のような提案をします。
 
 
「できるところまででいいから、やってみない?」
 
「難しい部分は、ママが一緒にすることもできるよ」
 
 
このように伝えることで、「できない」「怖い」「難しい」と捉えて動けなくなっていた思考が少しゆるみます。
 
 
「それなら大丈夫かもしれない」と子どもが考え始めるのです。
 
 
無理に背中を押す必要はありません。いざ出発しても途中で引き返すかもしれない、それでもいいと思うぐらいの気持ちで、子どもの意志を尊重してあげましょう。
 
 
子どもが答えるのをゆったりした気持ちで待っていると、子どもが安心を得ることができ、「行ってみようかな」と一歩を踏み出します。
 
 
先にお伝えしたロボット教室の例では、結果的に一人で全てをやり切り、私の出番はありませんでした。とても満足した様子で帰ることができました。
 
 
表面的な言葉に惑わされず、心の奥にあるワクワクしている気持ちを大切にしてあげると、子どもが自ら成功体験を積み重ねるきっかけを創り出すことができますよ。
 
 
 
 
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執筆者:中村莉彩子
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
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