「〇〇しなければならない」を手放す!発達障害やHSCの子が不登校になったとき、大人と一緒に「動画配信」をする活動をサポートしたお母さんの話

「発達障害のあるなしに関わらず、不登校の子どもが動画やゲームに夢中になると、お母さんは心配しますよね。ですが、お母さんのサポートでイキイキと過ごせるとしたら?「〇〇しなければいけない!」を手放して、お母さんも自分らしく生きてみませんか。
 

【目次】

 

1.不登校でも毎日忙しい!動画配信を手伝う子どもがイキイキ過ごす秘訣

 
 
小学校5年生から、友人関係や環境の変化から不安定になり、不登校になったHSC(Highly Sensitive Child:人一倍敏感な子ども)の傾向がある、現在6年生のSさんの息子さん。
 
 
前回の記事では、幼児期から不登校を受け入れるまでのお話を伺いました。
 
 
前回の記事はこちらです。
 
 
その息子さんは、今現在、なんと学校に行かない平日は、動画配信のお手伝いをして過ごしているそうです!
 
 
小さなときからゲームが大好きで、好きなものはトコトン掘り下げていた息子さん。
 
 
この記事では、息子さんの動画配信の様子や、その様子を見守るお母さんの姿勢、学校や勉強に対する考え方について詳しくお話を伺っていきますよ!
 
 

――動画配信に携わるようになったきっかけはなんだったのですか?

 
 
「あるユーチューブのゲーム実況チャンネルの動画配信をお手伝いしています。
 
どうやら、ユーチューブを視聴していたときに、あるゲーム実況チャンネルがライブ配信をしていたようなのです。
 
配信主の方とチャットで話したり、しばらく仲良くしていたところ、礼儀正しいところを気に入られたらしく『よかったら、動画の配信を手伝ってくれませんか?』という話が来たそうです。」
 
 

――スカウトされたのですか!小学生ということは相手の方は知っていますか?

 
 
「スカウトされたみたいです。ですが、小学生ということは伏せてお手伝いをしています。ネットの怖さがあるので、私はそれをしっかり教えて、安全にできるサポートをしています。
 
心配なので、会ったことのない人とは直接話さずにチャットだけにするとか、自分の身元がばれるような事は言わないなどのルールを徹底させています。」
 
 

――なるほど、ネットリテラシーをしっかり教えているのですね。

 
 
「はい。顔出しなどは絶対にやらせません。自分で責任を取れる年齢になったらいいと思いますが、20歳になるまでは親が責任を持とうと思っています。」
 
 

――具体的に動画配信のどんなお手伝いをしているのでしょうか?

 
 
「ゲーム実況のライブ配信を手伝っているようです。動画を荒らす人がいないか見張ったりとか、あとはゲーム実況する際の企画を練ったりとか。
 
チャンネルのフォロワーを増やす為に、大人の皆さんに混ざってチャットで企画会議に参加しているようです。」
 
 
 
 

――大人顔負けですね!

 
 
「皆さんにも信頼してもらっているようです。どんなネタで視聴数が伸びるのか、チャンネル登録者が増えるか、いつもネタ探しをしていますよ(笑)」
 
 

――お母さんはその活動に対してどう思っていますか?

 
 
「毎日、何もやることがないよりいいので、好きにやったらいいと思っています。ただ、こういう活動にはまだ批判が多いだろうし、ネットの使い方は教えていきます。」
 
 

――他に気をつけていることはありますか?

 
 
基本的な生活習慣は守らせています。『ごはんだよ!』と言ったら区切りを付けて止めるとか、お風呂や寝る時間なども気を付けています。『寝るよ!』と言ったら寝ていますね。
 
ゲームに対して時間制限は設けていません。制限するから余計にやりたくなるのかなと思っています。
 
ゲームでもなんでもやると決めたら、極めるまでトコトンやりなさい!と言っています。どんなことだって、頑張ったり工夫しないと、できるようにはならないですからね。
 
あとは、毎晩寝る前に、お気に入りのユーチューバーの動画を一緒に見て、親子のコミュニケーションを取ることは欠かさないよう心がけています。」
 
 
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動画配信の手伝いで、大人の方たちと対等に渡り合えるほどの息子さん。
 
 
お母さんも基本的生活習慣が乱れないように声をかけたり、ネットリテラシーを教えながら安全に好きなことができるようにしっかりサポートしているようです。
 
 
制限をするのではなく、やると決めたらトコトンやりなさい!というお母さんの息子さんを応援する姿勢が、息子さんが不登校でもイキイキ過ごせる秘訣なのでしょう。
 
 
では、Sさんは息子さんの学校や勉強、将来についてはどのように考えているのでしょうか?
 
 
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2.発達障害のあるなしに関わらず、不登校の小学生の学ぶ場所を考える

 
 

――現在は週1回放課後登校をしているそうですが、学校への復帰は考えていますか?

 
 
小学校への復帰は考えていませんが、6年生になる時に、担任との話し合いで、放課後の誰もいない教室なら入れるのではと、週1回放課後に学校で授業を受けることになりました。
 
不登校だと、学校で健康診断が受けられないので、代わりに家庭でいろいろな病院に連れていかなければならず、面倒だとは思うことはありますけどね。」
 
 

――中学校進学についてはどのように考えていますか?

 
 
「今のところ、ネットのフリースクールを考えています。スクーリングの校舎が県内にあり、価格もリーズナブルなので検討中です。
 
その他にも、不登校に特化している所を探しています。」
 
 

――Sさんの勉強ついての考え方を教えてください。

 
 
「学校で、みんな同じペースでやっていることは、どうなのかと思いますね。勉強は理解力が一人一人違いますからね。
 
自宅で自分のペースで学べる環境を用意してあげたいなと思っています。
 
本当にやりたいことがある時に、基礎の学力があることは、やりたいことに対しての近道になるだろうから、ある程度必要かなと思います。
 
それから、息子は学びたくないわけではないから、『学校に行かない=学びたくないではないんです。興味があることに対して学びを諦めているわけではありません。
 
実際、将来はゲーム関係に進みたいらしく、N高※1に行くことは決めているようです。」
 
※1 様々なカリキュラムが人気のネットの通信制高校
 
 

――学校に行かないと、友達関係も不安になる方が多いと思います。Sさんは友達関係についてはどのように考えていますか?

 
 
「実は、学校の先生も友達関係のことを一番心配していました。
 
ですが、毎週土日は、学校で仲の良かった友達が遊びに来てくれるんです。
 
一緒にゲームをしたり、たまにゲームの大会に一緒に出てみたりと、とても仲良くしているので、その点では私は心配していません。
 
今は、趣味を通して学校の外でも友達を作ることができるし、動画配信の方たちとも仲良くしています。
 
 
もちろん、リアルな友達は必要ですし、友達を作ることで世界を広く持って欲しいと常々思っています。」
 
 
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今はインターネットを使って、自宅で勉強したり、趣味を通して友達を作れるような時代になっています。
 
 
不登校をマイナスに捉えずに、多様な学ぶ場所や機会を、親も一緒に見つけてあげられたら、子どもはきっとのびのび過ごしていけるでしょう。
 
 
発達障害のあるなしに関わらず、従来の「学校へ行く」という常識に捉われずに子どもに合った場所を探していく。そんな時代になってきているのかもしれませんね。
 
 
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3.○○しなければならない!を手放して、お母さんも自分らしく生きよう

 
 
最後に、Sさんに現在不登校に悩むお母さんたちへのメッセージをいただきました。
 
 
「ある日突然、子どもが学校に行けなくなったときに、奈落の底に落とされたような気分になりますよね。
 
普通の子どもみたいにできないとか、勉強はどうしようと思う気持ちももちろんわかります。
 
ですが、子どももお母さんも、体と心の健康が一番です。生きてさえいれば、その後のことができます。正直、勉強ができるかどうかは贅沢な話だと思います。
 
ですので、お母さんも『〇〇しなければならない』という呪縛から自分を解放してあげてほしいです。そして、自分の人生を過ごしてほしいです。
 
今は不登校でも、たくさんの選択肢があります。選択肢がたくさんあることに気がついたときに、不登校を受け入れられるのかもしれませんね。
 
そして何より、子どもがいつでも本音を話せるお母さんであってほしいと思います。」
 
 
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Sさんは、どんなに苦しいときでも、ご自身の仕事を辞めませんでした。
 
 
一つは息子さんに「自分のせいでお母さんが仕事を辞めたんだ」と思わせない為で、もう一つはお母さんであっても、自分のことを犠牲にすることはないと思ったからだそうです。
 
 
息子さんは、自分らしく過ごしているお母さんの背中をしっかり見ているのでしょう。
 
 
「今、動画配信でしっかり僕のキャラを作っておいて、視聴者さんを連れて独立して、将来自分のチャンネルを持つのもありだな!」
 
 
と、将来のことをお母さんに楽しそうに語るその笑顔は、不登校であることを微塵も感じさせませんでした。
 
 
不登校の子どもを抱えていても、お母さんが自分らしく生きていく。そんな姿勢を見て子どもも自分らしく生きていくことを学ぶのですね。
 
 
 
 
毎日、自分の仕事に子育てに、一生懸命に過ごしている、発達障害グレーゾーンや、不登校の子どもを持つお母さん達。
 
 
「〇〇しなければならない」というたくさんの常識に捉われているかもしれません。でも少しずつ、その呪縛から自分を解放していきませんか?
 
 
「学校に行かなければならない」
 
「勉強はさせなくてはならない」
 
「ゲームをやらせすぎてはいけない」
 
「不登校の子どもがいるから家にいなくてはならない」
 
 
お母さんが今までの常識を手放したとき、子どもの本当の可能性や、光輝く未来がきっと見えてくるはずです!
 
 
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執筆者:別井理恵
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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