発達障害・ADHDの子どもを叱っても伝わっていないのはなぜ?子どもに伝わりやすい2つの対応法

発達障害・ADHDの子がよくない言動をしたとき、お母さんが叱ったり、理由を説明したりしても子どもに伝わっていないと感じたことはありませんか?言葉だけでは伝わらないことがあります。お子さんがお母さんの話をしっかりと聞ける効果的な対応法を紹介します。
 

【目次】

1.発達障害・ADHDの子どもに話が伝わっていないと感じたことはありませんか?
2.子どもの脳は言葉よりも視覚情報をキャッチしやすい
3.大事な話が子どもに伝わりやすくなる2つの対応
①穏やかな表情で話す
②大事なことはささやき声で

 
 

1.発達障害・ADHDの子どもに話が伝わっていないと感じたことはありませんか?

 
 
私には発達障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)グレーゾーンの4歳息子がいます。
 
 
ある日、家の中で剣を振り回しながら戦いごっこをしていました。 ベットやソファから飛んだり跳ねたり。
 
 
そのうち怪我して泣くだろうなぁということが想像できたので、優しく「剣を持ったままジャンプしたら危ないよ」「転んだら怪我しちゃうよ」「物が壊れちゃうよ」と注意喚起していました。
 
 
しかし、しばらくして息子が勢いよくジャンプしたまま剣を振りかざし家具を傷つけてしまいました。
 
 
私はそんな息子に「ほら!だから危ないって言ったでしょ!」と怒りました。怒られた息子はしばらく落ち込んでいました。
 
 
 
 
そこで少し時間が経ってから「ママが何で怒ったかわかる?」と聞いたところ「わかんない」という返事が返ってきました。
 
 
正直この返事は私にとって衝撃で、当然「家具を壊してしまったから。ごめんなさい」という返事が返ってくるものだと思っていました。
 
 
つまり、息子には私が話していたことが全く伝わっていなかったのです。
 
 
怒るってお母さんにとってはとてもエネルギーがいることですよね。こんなにエネルギーを使っても、大事なことは伝わっていないことが多いと気づき、怒り損だなと感じました。
 
 
実は、お母さんが大きな声で怒っても子どもの脳には「伝えたいこと」が届いていないことが多くあります。
 
 
叱られた子どもは「あぁやっちゃった…」という感情を持つことはできても、「何で叱られているか」は理解できていないことが多いのです。
 
 
この他にも、優しい声で指示出しをしてもなかなか聞いてくれない、子どもに伝わっていないと感じることはありませんか?
 
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2.子どもの脳は言葉よりも目から入ってくる視覚情報をキャッチしやすい

 
 
なぜ、お母さんが一生懸命子どもに話をしても、子どもの脳に伝わっていないのでしょうか?
 
 
脳には、顔細胞と呼ばれる、顔を認識するための細胞があります
 
 
また、子どもの頃は、言葉以外の情報を処理する脳のエリアが発達しているので、言葉よりも表情や声のトーンをインプットしやすい脳の仕組みになっています。
 
 
 
 
実は、人の印象は、表情55%、声38%、内容7%で決まると言われています。(アルバート・メラビアン法則)
 
 
つまり、人の印象の93%は「話している内容(言葉)」以外の「声や表情」で決まってしまうということ。
 
 
子どもに、どんなに良い声かけをしても、たくさんの情報を調べて試してみても、お母さんの「声や表情」が変わらないと、子どもに話は伝わらないということなんです。
 
 
特に、発達障害の子どもや繊細な子どもは、言葉の内容よりも、お母さんの雰囲気や表情、声のトーンといった非言語情報を敏感にキャッチするので、言われていることよりも、その表情や雰囲気の方が記憶に残りやすいのです。
 
 
さらに、カッとなったときは感情系の脳のエリアが集中して働くので、それ以外の脳のエリアは働きが悪くなってしまい、叱られたときのことをあまり覚えられないということがあります。
 
 
これは子ども同じことで、「怖い顔」や「大声」などの強い刺激を与える言葉で叱られると、感情系の脳のエリアが興奮して働きます。
 
 
すると、話をしっかりと受け止めるために必要な理解系の脳のエリアの働きが弱くなってしまいます。
 
 
つまり、相手の表情や声色で「嫌だな」「怖いな」と感じてしまうと、相手の言っていることを理解するまで脳が働ないという状態になります。
 
 
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3.大事な話が子どもに伝わりやすくなる2つの対応

 
 
では、お母さんがどのように対応したら子どもに伝わる話し方ができるのでしょうか?
 
 
どちらもご家庭ですぐに実践できる方法です。
 
 

◆①穏やかな表情で話す

 
 
お母さんの表情は、話す内容に合わせてバリエーション豊かに変化した方が、話の内容をより理解しやすくなります。
 
 
楽しい話ならニコリと笑いながら、
 
嫌な気持ちを伝えるのなら嫌〜な顔をしながら、
 
悲しい気持ちを伝えるなら悲しい表情をしながら…
 
 
言葉よりも表情で伝える意識を持つと子どもにより伝わります。
 
 
お母さんが無表情であるいは怖い顔をしながら「そんなことやっちゃだめ!」と言うより、何も言わずに優しい顔で首を横に振る方が、効果的です。
 
 
言葉にそえられた表情やお母さんの雰囲気が穏やかであってこそ、子どもに聞く準備ができるのです。
 
 
特に大事な話をしたいときは、穏やかな表情で話すようにしてくださいね。
 
 
 

◆②大事なことはささやき声で

 
 
子どもとの会話では「大事なことは穏やかな声でささやく」とより伝わりやすくなります。
 
 
小さな頃から、バリエーション豊かなお母さんの表情に触れることで、表情から相手の気持ちを理解する脳のネットワークを、声色で相手の気持ちを察する脳のネットワークを育てることができます。
 
 
これらのネットワークが強ければ強いほど、感受性が豊かで、思いやりを持って人に接することができ、将来、人付き合いの基礎力にもなります。
 
 
豊かな表情と声のトーンはコミュニケーションの基礎です。お母さんが豊かな表情でいるだけで、子どもは感受性の強い、心優しい人に育ちますよ。
 
 
 
 
子どもに刺さるお母さんの話し方を参考にしてください。

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執筆者:中井 春菜
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
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