YouTubeを見すぎる小学生の対応に困っていませんか?ルールを決めても守れないのは、発達障害の特性があるからかもしれません。YouTubeばかり見ていた子どもがルールなしでやめられるようになる、親の関わり方をご紹介します。
【目次】
1.YouTubeばかり見ている小学生に困っていませんか?
2.発達障害の子がYouTubeを見すぎるのは「やめたくても、やめられない」から!
3.YouTubeを学びの教科書に変える親の関わり方
4.勉強しない子が自ら宿題に取り組むようになりました
1.YouTubeばかり見ている小学生に困っていませんか?
「YouTubeを見すぎて困る」「宿題をやらず、生活リズムが乱れる」…こんな悩みを抱える小学生のママは多いのではないでしょうか?
結論から言うと、YouTubeの見すぎは脳の発達を遅らせることがあるんです。
なぜなら、ただぼーっと受け身の状態で動画を見ているだけでは、脳が十分に働かず、成長しないからです。
脳は、行動することで発達します。
長時間の視聴が続くと「時間管理ができない」「宿題ができない」「家族との関わりが少なくなる」といった問題が起こり、健康的な日常生活や脳の成長に影響することがあります。
特に発達特性がある子どもは、YouTubeを見続けてしまうことが多いです。
発達障害ADHDとASDの傾向を持つ小学4年生の私の甥も、毎朝6時からYouTubeを見始め、家族との時間や宿題を後回しにしてしまう生活を送っていました。
朝や放課後、休日などに我が家で預かるのですが、本人と相談してルールを作っても「もう少し見たら宿題やる」と言い続け、結局守れません。
親がゲーム機を取り上げると、家族の意向を無視してテレビでYouTubeを見るようになりました。
「いい加減にしなさい!」とリモコンを取り上げたり、電源をブツッ!と切って強制終了してもやめられず、祖父母をはじめ、家族全員がイライラするばかりでした。
YouTubeの見すぎに対する一般的な対応として、ルールを設けることが推奨されていますが、うまくいかない場合も多いですよね。
ですが、大人が関わり方を変えることで、甥がルールなしでもYouTubeをやめられるようになり、毎日イキイキ過ごせるようになりました!その対応法をご紹介します。
2.発達障害の子がYouTubeを見すぎるのは「やめたくても、やめられない」から!
発達障害や特性を持つ子どもがYouTubeの見すぎになりやすい理由に、
・ネガティブな経験が多く、脳をうまく使えていない
・特性がある故にハマりやすい
ことが挙げられます。
そのため、本人が、そこまでやりたいと思っていなくても、やめたいと思っていても、止められないことがあります。
◆①脳をうまく使えていない
発達障害の小学生は、学校で次のようなストレスを抱えていることが多いです。
・授業についていけない
・友達とうまく付き合えない
・先生や友達に注意されたり叱られることが多い
人は楽しいことをしている時、脳に酸素が行き渡り、リラックスして脳を使えます。
反対に、勉強がわからない・嫌なことばかりという状況では、脳がうまく機能しません。
その結果、家に帰ると、楽しいことに飛びついてしまうのです。
◆②やめたくても、やめられない特性がある
ASDの特性を持つ子どもは、気持ちや状況を読み取るのが苦手な場合が多いです。
YouTubeの中では、ルールや友達に合わせて臨機応変な対応を求められることがありません。イレギュラーな出来事がなく、怒られたり傷ついたりしない、安心安全な空間です。
すると、子どもにとってYouTubeがストレスからの「逃げ場」となり、やめどきを見失いやすくなります。
また、ADHDの特性があると、エンジンがかかりにくく、見通しを立てたり、注意の切り替えが難しいです。
そのため、「もう時間だよ!」と声をかけても、すんなり切り替えられません。
実は、子どもがもう飽きたなと思っていても、やめられない場合もあるのです。
3.YouTubeを学びの教科書に変える親の関わり方
では、どのように対応すればいいかというと、YouTubeで見たことをアウトプットさせればいいだけです!
YouTubeで見たことを話したり、実際に作業をしてみたりすると、受け身から能動的な活動へと変わり、脳が活性化します。
いわば、YouTubeは学びの教科書だ、と考えればいいのです。
それには、大人が子どもの見ているものに興味を持ってあげることが大切になります。
興味を認めることは、その子を肯定することになり、会話が弾んで、アウトプットを加速させるからです。
◆①見ているものを言葉にする
まず、私は甥が見ているゲーム実況中継を肯定する声かけをしました。
彼はお喋りがあまり得意ではないため、YouTubeを一緒に見て、私が見聞きしているもの・ことを言葉にして伝えました。
「この武器はすごく強そうだね!」「前にもこのチャンネル見てたよね。この人の声、かっこよくない?」
ずっと一緒に観ているわけではなく、通りがかりに立ち止まり、声をかけます。
たとえ1日に10分でも、続けることで、甥は少しずつ自分からコメントをくれるようになりました。
◆②大人のおすすめ動画を一緒に観る
大人がYouTubeを肯定して、子どもと会話ができるようになったら、次のステップです。
子どもが視聴するコンテンツの幅を広げるために、「面白い動画があるんだけど、一緒に観てくれる?」と提案して、子どもと一緒に楽しむ時間を作ります。
信頼する大人から勧められると、子どもはその言葉に耳を傾けやすくなります。
私は療育の先生に相談して、釣りが好きな先生が普段見ているYouTubeの動画を教えてもらいました。
子どもも、「先生が見ている動画」と聞くと興味を示し、そこから視野が広がり、会話も増えていきました。
親だけでなく、祖父母や先生といった周りの大人も関わることで、より多くの学びの機会が生まれます。
◆③具体的にほめる
子どもが新しい興味を持ち始めたら、ほんの些細な変化を見逃さずに、具体的にほめることが大事です。
甥がゲーム実況以外で一番ハマったのが工作動画でした。
「じっくり作り方を見てるね。」「ここのバネの位置、変えてみたんだね!」「○○君は、工夫をするのが得意だね。」
と、具体的なフィードバックをしました。子どもの行動を認め、肯定することで、子どもは自信をつけていきます。
脳は、楽しい時・好きなことをしている時、効率よく発達します。
彼は、簡単なダンボール銃作りに始まり、やがて映画で観たスパイダーマンの、魔法の蜘蛛の糸が飛び出すアイテム「ウェブシューター」に夢中になって、バージョン違いでいくつも作り上げました。
そのうち、糸を飛び出させるオリジナルの仕組みまで自分で考案するようになりました!
肯定されることで自信がつき、じっくりと理解しながら形にしていく才能が発揮されていったのです。
4.勉強しない子が自ら宿題に取り組むようになりました
工作動画は、ただ観るだけで終わらず、自分も作ってみたいという好奇心をくすぐります。
学校の授業と違い、YouTubeではわからないことがあったら動画を止めたり、何度も見返すことができます。
勉強が苦手で自信をなくしていた子にとって、自分のペースで理解しながら作品を作り上げることのできるYouTube工作は、とても相性がよかったようです。
甥は、毎日、時には何時間も熱中するようになり、次第にゲーム実況はあまり見なくなりました。
そして、ゲーム実況を見ていても、声をかければやめられるようになったのです。
さらに驚いたのは、自分から宿題に取り組むようになったことです。
「遊んだ後に宿題をする」と自分で決めて、取り組める日が増えました。
一年たった今でも、ルールなしでYouTubeをやめられる生活が続いていますよ。
いかがでしょうか?
YouTubeを見すぎてしまうお子さんも、親が少し関わり方を変えるだけで、やりたいことや好きなことを見つけ、成長していくことができます。
夢中になれることが見つかると、宿題の後回しや家族とのコミュニケーションなど、他の困りごとも少しずつ解決するはずです。
特性に合った対応を知って、無理なく子どもの可能性を引き出してあげたいですね。
YouTube・ゲームにハマる子にピッタリな対応法を多数お届けしています!
執筆者:小川陽子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)