YouTubeをやめさせたい!と思い、厳しく叱ることはありませんか?実はこの対応、逆効果なんです。YouTubeばかり見る発達障害の子どもがデジタルツールと上手に付き合う方法をお伝えします。
【目次】
1.ダラダラ見るYouTubeをやめさせたい
2.発達障害の子どもを厳しく叱ることが危険な理由
3.YouTubeばかり見ているのに内容を覚えていない娘
4.脳に悪いって本当?脳を育てるデジタルツール活用法
◆親子関係を整えて、声を届ける
◆動画の内容を知り、お母さんとの会話で脳を育てる
1.ダラダラ見るYouTubeをやめさせたい
YouTubeをやめさせたい!とお困りの小学生の子どもを持つお母さん、こんなお悩みはありませんか?
・いつまでもダラダラYouTubeを見続ける
・1日の時間を約束しているのに、守ってくれない
・YouTubeばかり見ていて、いくら呼んでも返事をしない
・宿題やお風呂など、やることをやっていないから厳しく叱っている
・YouTubeは脳に悪いって聞いたし、無駄な時間を過ごしている気がする
今や1人1台以上のスマホを持っている時代、全く動画を見せないのも難しいですよね。
けれど、子どもがYouTubeをやめられなくて、寝る時間が遅くなるなど、生活に支障が出るのは避けたいものです。
いつも厳しく叱ることで親子関係が悪くなり、子どもがお母さんの伝えたいことを素直に受け取ってくれなくなるかもしれません。
新学期が始まり、毎日慌ただしくなりましたね。
実は、YouTubeをやめさせたいときに厳しく叱らなくても良い方法があるんです。
発達障害の子どもがハマりやすいデジタルツールと上手に付き合う方法を考えてみませんか?
2.発達障害の子どもを厳しく叱ることが危険な理由
発達障害の子どもは、YouTubeをやめさせたい!と思って視聴を制限したり厳しく叱ることで、ますます執着が強くなることがあります。
その理由は、お母さんの否定的な態度が、子どもの心を孤立させるから。
動画をやめられずにいつも叱られてばかりいると、やがて子どもは自信を失っていきます。
そして、自分はお母さんに嫌われている!独りぼっちなんだ…と本気で思うようになっていきます。
自信を失うと、どんどん自分の殻に閉じこもるようになり、外出も嫌がるようになります。
そして、お家の中で暇を持て余すので、ますますYouTubeばかりになるという悪循環。
動画を視聴している間は、誰からも傷つけられないので、逆に言えば子どもが自分の心を守っているとも考えられますね。
YouTubeをやめさせたい!と思うのは、生活が乱れたり、脳に悪いかも…という子どもを心配する気持ちからですよね。
今はまだ、やめなさい!と叱ればしぶしぶ動いてくれるかもしれません。
けれど、お母さんも本当は厳しく叱りたくないですよね。
ひと言「そろそろ終わりだよ」と伝えてやめてくれるなら、次の行動に移ってくれるなら、どんなにラクになるでしょうか。
そんな、お母さんの本音を子どもに正しく届けるためにも、厳しく叱ることは控えて、まずは子どもを観察してみましょう。
どういうことか、お伝えしますね。
3.YouTubeばかり見ているのに内容を覚えていない娘
お子さんがどんなチャンネルを見ているのかはご存じですか?
わが家の娘は、YouTubeの特にショート動画が大好きです。
けれど、どんな動画を見たのか、誰のチャンネルが好きなのか聞いても、ほとんど答えてくれませんでした。
何を聞いても「忘れた!」と言うのです。
よく観察して話を聞いてみると、ただ、ボーッと流れてくる動画を見ているばかりで、情報が全く記憶に残っていないということがわかりました。
発達障害の小学生に限らず、私たちの脳は目や耳からの情報を、脳が理解するというステップを踏んではじめて、その出来事が記憶に残るしくみになっています。
ただ、ぼんやりと動画を見ているだけの子どもの脳は、極端にいえば、新幹線に乗って窓の外の景色をぼんやり眺めているようなもの。
とても速いスピードで流れていく窓の外に、いったいどんな景色が広がっていたのか、ぼんやり見ているだけでは、人に伝えるほど覚えておくのは難しいですよね。
これでは、見たり聞いたりしたことを理解するというステップが抜けているので、YouTubeを視聴しても脳の発達が加速しているとは言えません。
YouTubeやめさせたい!と思ったら、このような脳の使い方をしていないかどうか、まずは子どもの様子を観察してみてくださいね。
YouTubeはたくさんの情報を伝えてくれますし、調べればすぐに知りたいことがわかり、子どもの世界を広げるためのツールでもあります。
その動画自体が悪いのではなくて、YouTubeばかり見て、お母さんの呼びかけに返事もなく、生活に支障が出ることが問題なのですよね。
YouTubeを脳に悪いものにせず、デジタルツールを上手に活用していく方法をご紹介します。
4.脳に悪いって本当?脳を育てるデジタルツール活用法
◆親子関係を整えて、声を届ける
まずは「早くやめなさい!◯◯しなさい!」と注意をうながすのをやめていきましょう。
子どもを厳しく叱りそうになったら、今何をしているのかな?と一呼吸おいて観察してみてくださいね。
そして、お母さんの気持ちが落ち着いたら、「YouTube見ているんだね」と見たままの状況をいつものフラットな声で実況中継するように伝えてみてください。
動画を見ている最中に、遠くから声をかけるとお母さんの声に気がついていない場合も多いものです。
隣に行ってトントンと肩を叩いたり、背中にそっと手をあてたりして、子どもの注意をこちらに向けてから、話しかけてくださいね。
この実況中継をすることは、普段にも使いやすい肯定のテクニックのひとつです。
学校の準備を始めようとしたんだね、お風呂に入ったんだね、歯磨きしているんだね、など、いつも当たり前にできていることをそのまま口にしてみてください。
子どもにできていることを認識させてあげる効果があります。
また、「お母さんはいつも見てくれているんだ」という安心感で、子どもの心が満たされていきます。
そんなふうに、親子関係が整うことで「そろそろ終わりの時間だよ」とひと言伝えるだけで、いずれは自分で終わりにできるようになりますよ。
◆動画の内容を知り、お母さんとの会話で脳を育てる
先ほどお話した娘のように、ただぼんやり見ているだけではなくて、上手にデジタルツールを活用して脳を育てていきたいですね。
まずは、YouTubeを見ているときに、どんなチャンネルが好きなのか、推しのYouTuberは誰なのかなど教えてもらってみてください。
最初は「どんなチャンネルが好きなの?」と聞いても、答えることが難しいかもしれません。
そんなときは、YouTubeの履歴管理などから、お母さんがある程度子どもが見ているものを把握して
「〇〇って、動画の中に出てきた?」
「美味しそうなチョコケーキのレシピはあった?」
など、具体的にYESかNOかで答えられる質問から始めると、会話が広がりやすくなりますよ。
ゲーム実況、クイズ、お料理、ダンス、アニメなど様々なジャンルの動画があるので、そんな楽しそうなもの見てるんだ!と新たな発見があるかもしれません。
時々、都市伝説やホラー動画を見ていてヒヤッとしましたが、問い詰めたりはせずに会話をすると、自分から「見てみて!」と話してくれるようになりました。
そうして、動画視聴について和やかに会話ができるようになったら、わが家では、1日ひとつ「今日見た中で覚えている動画」を教えてもらうことにしました。
お料理レシピなら「一緒に作りたいから美味しそうだったものを教えてね」と体験につながるような声かけもしていきました。
歌を一緒に歌ってみたり、ダンスをしてみたりすることもあります。
「一つだけ覚えておいて、教えてね」というミッションを与えておくことで、脳が見たものや聞いたものを理解しようと働きます。
言葉にして伝えたり、見たものを体験したりすることで、YouTubeによって脳の発達を加速させることに繋がるのです。
YouTubeやめさせたい!と思ったら、やめなさい!と厳しく叱るのではなくて、あえて興味を持ってみる。
北風と太陽のように、子どもとぽかぽかした会話ができるようになれば、時間制限がなくても、自分で動画を切り上げて、次の行動に移れるようになりますよ。
ぜひ、試してみてくださいね。
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執筆者:作倉 帆香
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)