言葉の力をつけるには紙の国語辞典を使うと良いとも言われますが、発達障害で国語辞典が苦手な子どもがいます。原因はワーキングメモリの低さかもしれません。ワーキングメモリを鍛える遊びで、国語辞典への苦手意識を減らす方法をお伝えします。
【目次】
1.発達障害で国語辞典が苦手!どうしても辞書が引けない
わが家には小学校4年生で発達障害グレーゾーンの娘がいます。
2年生の途中から不登校になり、その頃から勉強が苦手な娘のペースに合わせて、タブレットでおうち学習をしています。
国語辞典の学習は3年生で習いますが授業ではじっくり取り組むことが少なく、日常的に使って慣れる必要があります。
わが家でも辞書を用意して使い方をひと通り説明しました。
いろんな言葉の意味を聞いてくる娘にとっては最高のツールだと思いましたが、使い慣れず苦手なまま4年生になってしまいました。
ある時3年生の振り返り学習で国語辞典の問題がでてきました。
「あめんぼ、あいさつ、学校」
3つの言葉を、国語辞典に出てくる順に並べるという問題です。
その問題を見て「全然わからない!」と、解こうともしません。
あいうえお順は言えるし、50音の書かれている表を見ながら文字の順番を確認するとちゃんと理解しています。
ではどうして問題になった途端に、国語辞典を苦手に感じてしまうのでしょうか?
2.発達障害の子どもが国語辞典を苦手に感じるのはなぜ?
まずは国語辞典に対して苦手意識が強いので、どこがわからないのか整理しました。
・国語辞典の言葉の並び方のルールが覚えられない
・50音は言えても国語辞典を使うときにあいうえお順わからなくなる
などのわからない部分のほかにも、
・字がたくさん書いてあって読むのが疲れる
・考える作業が面倒くさい
のように、国語辞典に対するイメージも苦手意識につながっていることがわかりました。
国語辞典を使って言葉を探すためには1文字見つけたら一旦置いて、次の文字を探しながら進めなければいけません。
国語辞典の使い方を思い出してください。
例えば「あめんぼ」という言葉を調べるとします。
最初の「あ」を辞書の見出しから探し、ページを適当に開く。
↓
「あ」で始まることを確認したら一旦横に置いて、2文字目の「め」を前後のページから探す。
↓
「あめ」を見つけたら一旦横に置いて、3文字目の「ん」を探す。
↓
これを繰り返して、最後に「あめんぼ」を探す。
このように、1文字ずつあいうえお順を思い出しながら言葉を見つけ出します。
見つけたら一旦横に置いて次の作業をしたり、また思い出して言葉をつなげたりします。
このように、一旦横に置いてまた思い出すという作業は、慣れていないと脳が疲れてしまいます。
国語辞典は覚えながら次の作業をする必要があるので記憶力、特にワーキングメモリを使います。
ワーキングメモリとは作業記憶とも言い、記憶をしながら課題を進める時に必要な力です。
実は発達障害の子どもにはこのワーキングメモリが低いことがあります。
ワーキングメモリが低いと次のような特徴がみられます。
・読む・書く・計算が苦手
・聞いたことをすぐに忘れてしまう
・忘れ物・なくし物が多い
・指示を聞いて行動するのが苦手
学校では先生が口頭で説明したことをすぐに忘れてしまう、一斉指示では何をしていいのかわからなくなるということも。
実はワーキングメモリはおうちで遊びながら鍛えることができます。
ワーキングメモリを鍛えて国語辞典への苦手意識をなくす方法を次章でお伝えしますね!
3.ワーキングメモリを鍛える遊びで国語辞典を楽しくマスター!
国語辞典を使いこなすには、まず「あいうえお順」をマスターすることが必要です。
そこで国語辞典に苦手意識が強く、やる気が起きなくなっていた娘に、手作りカードゲームを使って「あいうえお順」に慣れてもらうことにしました。
◆準備
・100円ショップでも手に入る名刺サイズのカードを手に入れる
・カードに「あ、い、う、え、お…」とひらがなを1文字ずつ大きく書く
・50音ワンセットを2セット作る
◆ルール・遊び方
・「あ」が一番強いカードで「ん」が一番弱いカード
・掛け声に合わせて1枚ずつ場に出し、強いカードを出した人がカードをゲット
・最後にカードの数を数えて多かった人の勝ち!
わが家では小1の妹とパパも誘い、2セットのカードを分けて家族4人で遊びました。
単純な遊びでもそれぞれの戦略に性格が表れておもしろいですよ!
強いカードを先に出す人、
逆に強いカードを最後まで取っておく人、
適当に出していく人。
偶然の要素が多い遊びですが、その中でも戦略を立てて遊べます。
こんな方法で辞書が引けるようになるの?と思いますよね。
このカードゲームのポイントは、楽しむことと動作をプラスすることです。
記憶は動作や感情などとセットにすると、インプットされやすいと言われています。
手を動かしながら、楽しい・うれしいという感情とセットで50音順を覚えることで、記憶にも残りやすく、国語辞典への苦手意識も少なくできます。
勝ち負けの判断は子どもに任せて、合っていれば「大正解!」間違っていれば「おしい!国語辞典を見たらわかるよ!」と声をかけました。
国語辞典はあなたの味方で、身近に感じて欲しいと思ったからです。
勝ち負けの判断ができるようになれば、あいうえお順が身についてきた証拠です。
これまで手にしようとしなかった国語辞典ですが「あいうえお順」がわかり、使うことへのハードルが下がりました。
今では、自分ひとりで探している言葉を見つけることができるようになりました。
いかがでしたか?
発達障害で国語辞典を苦手に思っている子には、まずは楽しく50音の並びをマスターすることから始めてみましょう。
子どもの苦手がワーキングメモリの低さからきているのであれば、楽しく鍛えてあげてくださいね。
ワーキングメモリを鍛える遊びには、他にもしりとりなどおうちでできるものがあります。
ぜひ試してみてください!
わが子専用の子育てを手に入れたい方におすすめです!
執筆者:本田ひかり
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)