宿題はちゃんとしているのに、ちっとも漢字が覚えられない。そんなことありませんか?発達障害の子どもの中には、漢字を覚えることが苦手な子どもがいます。今回は漢字学習で困っている子どもが覚えやすくなる漢字の覚え方のコツをお伝えします!
【目次】
1.なぜか漢字が覚えられない発達障害の子どもたち
学校の宿題で、何度もくり返し練習した漢字なのに子どもはちっとも覚えていなくてびっくりすることがありませんか?
「え~?そんな字、習ったっけ~?」なんて言われるとママはひっくり返りそうになりますよね。
実は、わが家では日常的な光景でした。 発達障害のある娘は、漢字を覚えるのがとっても苦手です。
宿題はやらなきゃいけないというこだわりから、なんとかやっていますが、せっかく頑張った漢字もちっとも覚えきれていない。
さぼっているわけではなく、毎日やっているのに…どうして漢字が覚えられないの?と不思議で仕方がありませんでした。
記憶力が悪い、と言ってしまえばそれまでですが、算数はこうやって解くというのはちゃんと覚えてスムーズにできているのですから、ただ単に漢字が苦手とも考えられます。
では、そもそもなぜ発達障害の子どもは漢字を覚えるのがそれほどまでに苦手なのでしょうか?
2.覚えるときの大事なポイントは?
実は、発達障害の子の中には漢字を書くとき「タテ書いて、ヨコ書いて、とめて、はらって…」と、見本の文字をノートに写すことで頭の中がいっぱいになってしまう子がいます。
これは、空間認知という「何がどこにあるかという全体像を把握する力」が弱く、文字自体がしっかりと認識できていないことが原因です。
せっかく書いて覚えようと集中していても縦横の線を書いているだけで、文字の形を認識することが後回しになってしまうと覚えられませんよね。
また、この空間認知が苦手な場合には、漢字を1つの字としてとらえる力が弱いので、紙に書き写したとき部首が離れてしまいバランスが悪くなるということが起こっています。
そうなると、1つの文字として正確な形が見えてこないので、なかなか漢字は覚えられません。
次に、発達障害の子どもたちは、興味のないもの、印象に残らないものを覚えることは得意ではありません。
漢字自体に興味をそそる何かがあればいいですが、何も心に響かない、楽しくも、面白くもない。
この漢字はなんていう読み方で、どういう意味かなんてことも書きながらだと一度に頭に入っていませんから、余計に興味も持てませんね。
すると、気持ちが動かないので印象に残らず覚えにくいのです。
漢字を覚えるためには何度もくり返して書くことは、1つの方法としては正解です。
しかし、発達障害があって書くことがスムーズでない子の場合、くり返して何度も書くことはとても大変な作業。
そのため、覚えるまで書き続けるということはとても苦痛で続かない…ということが起きてしまうのです。
それでは、苦手な漢字をスムーズに覚えるためには、どのようなサポートをすればよいでしょうか?
3.おうちで簡単!「漢字の覚え方」のコツ
◆漢字を細分化して見る
まずは、空間認知が苦手な子どもが漢字の形をしっかり把握できるよう、漢字の書きとりはあえて大きいマス目のノートで練習をしましょう。
漢字を書くためには、この字がどういう形をしているのかしっかり目で見て理解することが大事です。
そして、たとえば「晴」という字は、「日」の右側に「青」という字がくっついてできている、と分解して見るとより理解できます。
それを言葉で説明しながら、一緒に書いてみるとさらに覚えやすくなってきます。
日に十を書いて、横に二本、下に月。
このように、漢字を分けてとらえることで「晴」という字の全体像が理解しやすくなり、1つの漢字として注意が向きやすくなります。
大人が薔薇とか檸檬といった難しい漢字を覚えようとするときも、きっとこうやって分けて覚えていくと思いますが、それと同じ要領です。
◆印象に強く残す
次に、覚えてもらう漢字を声に出して読んでもらいます。 そのときには一緒に意味も伝えてみてください。
ただ見るだけではなく、声に出して・読んで・意味を知る。そうすることでより印象に残すということができます。
私たち大人も、読めない、意味が分からない、そんな漢字を覚えることは難しいですよね。
読んでもらう文字に興味を引くような、「うんこドリル」というドリルも流行りましたが、ちょっと笑ってしまう例文が入っていると、より印象に残りやすくなります。
たとえば、「晴天」を使ったものとして「晴天にカサをさしているママ」という例文を作って声に出して読んでもらいます。
・晴天=晴れたお天気のこと
・晴れたお天気にママがカサをさしてるってこと!
・晴れたお天気にママがカサをさしてるってこと!
などと説明すると「もぉーママったら~」と、より印象に残りやすくなります。
◆自信を育てる声かけ
読んで、意味が分かったら次は書いてみましょう。
そのときには、さらに記憶に残すためにていねいに書くように促します。ここでもお母さんのひと声でぐっと注意が向きます。
「あら、ていねいに書けてるね~」
「この形、すごくきれい。」
「この形、すごくきれい。」
など、「お母さんはあなたの頑張っている姿を見ているよ!」という思いを込めてしっかり褒めてあげましょう。
子どもは褒められることで自信がついてきます。
「まあね、わたしできるもん」と思えたらさらにやる気も湧いてきますよ。
面白い文を声に出して読む、意味を知って、ていねいに書く、そして褒められる。
これを繰り返していくことで、漢字をより印象的に覚えることができ、子どもの記憶に入りやすくなります。
発達障害の子どもたちはなかなか集中が続かないという特質もあります。
お母さんとしては、たくさん覚えてもらいたいと思うところですが、集中し続けることに労力がいる子どもにとっては大変な作業。
無理をさせると勉強自体も嫌になってしまいかねませんから、練習する文字はたくさんでなく、ちょっと頑張ったらできるボリュームがいいですね。
小学校1・2年生では、どうにか覚えられた漢字も、3年生からは、画数も多くなり覚える数も100個以上!!
ですから、簡単に漢字が覚えやすくなる工夫をしてあげて欲しいと思います。
ぜひ、楽しく勉強して子どもが「わたし漢字、できるじゃん」って思えるようにサポートしてみてくださいね。
漢字の覚え方はこちらでも解説しています!ぜひチェックしてくださいね。
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執筆者:井上喜美子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)