言葉が遅い子も、喃語を活かせば言葉は伸びます。 言葉が出ないのは、脳が「話す準備」をしている途中だからで、喃語はその大切なサインなのです。今日からおうちでできる声かけトレーニングで、「ママ」と呼ばれる日を少しずつ近づけていきましょう。
【目次】
1.言葉が遅い子が喃語は出るのに話さない理由
2.言葉が遅い子でも喃語を生かせば言葉が伸びる仕組みとは?
3.7歳まで言葉が出なかった息子と向き合った体験
4.言葉が遅い子のトレーニングとは?脳を育てて言葉を伸ばす声かけ
1.言葉が遅い子が喃語は出るのに話さない理由
「うちの子、喃語はあるのに、なかなか言葉につながらない…」と悩んでいませんか?
結論、言葉が遅い子でも、脳を育てる声かけで言葉を伸ばすことができます。
実は、言葉が出るまでには大きく3つのステップがあります。
①インプット:「おいで」という声を耳で聞いたり、ママの動きを目で見て情報を取り入れる
②処理(わかる):「おいで」=ママのところに行くんだ、と理解する
③アウトプット(伝える):実際にママのところに行ったり「ママ」と声を出す
この流れがスムーズに進むと、言葉は自然に出てきます。
ところが、発達に特性のある子はこのプロセスのどこかでつまずきやすいのです。
・自閉傾向がある子は、インプットや「伝えたい気持ち」が育ちにくい
・落ち着きがない子は、理解する前に行動してしまう
・知的な遅れがある子は、「わかる」スピードがゆっくり

このため、「とにかくしゃべらせよう!」と頑張っても、気合いで乗り越えるのは難しいことが多いです。
つまり、言葉が遅い子が「話さない」裏には、必ず理由があるのです。
さらに、年齢ごとにチェックしてみると、言葉のつまずき方が見えてきます。
・1歳半:「喃語が出ているか?指差しやジェスチャーで意思表示できているか?」
・2歳:「単語が少し出ているか?簡単な指示(おいで・ちょうだい)が理解できているか?」
・3歳:「2語文が出ているか?日常会話のやり取りが少しずつできているか?」
これらが全く見られない場合は、発達のどこかで止まっているサインかもしれません。
大切なのは、「喃語は出ている=ことばの土台は育ち始めている」ということ。
では、喃語をどう生かせば、子どもの脳が言葉を話す準備を進められるのでしょうか。
2.言葉が遅い子でも喃語を生かせば言葉が伸びる仕組みとは?
言葉を伸ばすために大切になるのが「喃語(あー、うーなどの声遊び)」です。
喃語は、言葉を話す前の口の準備運動のようなもの。喃語が出ているということは、言葉を話す準備が整い始めている証拠なのです。
つまり「まだ言葉が出ない=何も進んでいない」ではありません。

喃語を足がかりに、
・「わかること」を増やす
・「伝えたい気持ち」を育てる
この2つの土台を整えていけば、言葉は自然と伸びていきます。
「言葉が遅い」と不安に思うときこそ、喃語を前向きなサインと捉えておうちでできる関わりをしていくことが大切です。
では実際に、喃語から言葉を引き出すまでにどんな道のりがあったのか。次では、私自身が息子と向き合った過去の体験をお話しします。
3.7歳まで言葉が出なかった息子と向き合った過去
私自身、息子が7歳まで言葉を話さなかった経験があります。
喃語の前の「クーイング」の段階が長く続き、言葉らしい言葉は一切出ませんでした。
周りに同じ悩みを持つ親子はおらず、私はずっと暗闇の中にいるような気持ちでした。

けれども、脳を育てる声かけや関わり方を実践するうちに変化が起こりました。
・毎日のようにあったかんしゃくがなくなった
・「わかる」「できる」が少しずつ増えた
・6歳11ヶ月で喃語が出て、7歳1ヶ月で初めて「ママ」と呼ばれた
この瞬間の感動は、今でも忘れられません。
「言葉が出ないのはママのせい?」と自分を責めていた日々が、「ママの声かけで子どもの脳は変わる」という確信に変わったのです。
この経験からわかったのは、言葉を伸ばすには「脳を育てる声かけ」が欠かせないということ。
では、具体的におうちでどんなトレーニングができるのでしょうか。
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4.言葉が遅い子のトレーニングとは?脳を育てて言葉を伸ばす声かけ
言葉を伸ばすには、「ママの声かけ」で脳を動かすことが大切です。
特別な教材やトレーニングよりも、日常の中でどう関わるかがポイントになります。
ここでは、今日からすぐにできる2つの関わり方をご紹介します。
◆① 実況中継:今子どもがしていることをそのまま言葉にする
実況中継とは、子どもが今やっていることを、そのまま言葉にして伝える関わり方です。
たとえば、
「積み木を積んでるね」
「コップを取ったね」
「お水飲んでるね」
と、子どもの行動を見たまま言葉にしてあげます。
この声かけは、子どもの「聞く」「理解する」の脳を育てる土台になります。
実況中継は、子どもにとってわかりやすい文脈で言葉を浴びせることができるため、脳の「インプット」と「理解する力」を同時に育てます。
そして褒めることよりも、「ママが見てるよ」「わかってるよ」と伝えることが、子どもに安心感を与え、脳が言葉を吸収しやすい状態をつくります。
ママの明るい声と笑顔で伝えていきましょう。
◆② ジェスチャー:視覚から伝わる「褒めのサイン」をプラス
もうひとつのポイントは、ジェスチャーを使って褒めることです。
言葉が遅い子は、耳よりも「目」からの情報のほうが得意な子が多いです。
だからこそ、ママの笑顔や動きで伝えることで、「うれしい!」「できたね!」という気持ちが脳にしっかり届きます。
たとえばこんなジェスチャーを使ってみてください。
・グッジョブサイン:「できたね!」
・拍手:「すごいね!」「上手!」
・ハイタッチ:「やったね!」「うれしいね!」
視覚的に「うれしい!」「できたね!」が伝わる仕草を使いましょう。
疲れて言葉が出ないときも、笑顔とジェスチャーがあれば大丈夫。「楽しそうなママ」の方が、子どもはずっと安心して、言葉を出す勇気を持てるのです。

いかがでしたか?実況中継とジェスチャーは、どちらもおうちで今すぐできるトレーニングです。
「言葉が遅い」「出ない」「伝わらない」と悩む日々は、決してあなたのせいではありません。
正しい声かけで脳を育てれば、子どもは少しずつ「わかること」「できること」「言葉」を増やしていけます。
実際に、生徒さんからも
「言葉が出ました!」
「かんしゃくが減りました!」
「困った行動をしなくなりました!」
といった報告が次々に届いています。
ママが笑顔で関わることで、子どもの脳は安心して言葉を吸収し、「ママ」「行く」「ちょうだい」などの言葉が出てくる日につながります。
言葉の発達は、教え込むものではなく、日常の関わりの中で育つもの。
今日から、子どもの「できた瞬間」を逃さず、実況中継とジェスチャーで褒めてあげてくださいね。
少しでも多くのお母さんに希望の光が届いて、笑顔が増えますように。
脳を育てて「ことばを伸ばす」おうち療育のヒントをお届けしています!
執筆者:ひがし ひかる
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)