朝になると学校に行けない…けど理由はよく分からない。親としてどう関わればいいか悩みますよね。学校に行きたい気はするけど行けない。思春期の不登校には言葉にならない心の葛藤があります。ママができる対応で再び動き出せた秘訣をお伝えします。
【目次】
1.学校に行けないけど理由がわからない…思春期の不登校は何が起きているの?
2.学校に行きたいのに行けない子の隠れた3つの原因【心理・環境・特性】
3.学校にこだわっているのは…?親がやってはいけないNG対応
4.子どもの安心を行動につなげる関わり方
5.実際に自分から学校に行くと決めた娘
1.学校に行けないけど理由が分からない…思春期の不登校は何が起きている?
「明日は学校に行こうかな」と言っていたのに、朝になると「やぱり行きたくない…」
理由を聞いても「分からない」としか言わない。
こんな姿を見ると、どう関わればいいのか迷ってしまいますよね。
実は、思春期の「理由がわからない不登校」には、体と脳の成長が大きく関係しています。

わが家の中学3年の娘も、発達に特性があり疲れやすく不安が強いタイプ。
頑張って登校していたのに、ある日突然、学校に行けなくなった時期がありました。
休日は元気なのに、日曜の夕方になるとため息が増え、部屋で過ごす時間が長くなる…。
学校で嫌なことがあったの?勉強?友達?と聞いても、「別に」と答えるばかりで理由は見えてきません。
「明日は行けそう?」と聞けば「うん」と言うけれど、翌朝は支度の1つ1つがゆっくりで、最終的には「やっぱり休む…」
そんな日が続き、私もこのままずっと不登校になってしまうのでは…と不安でいっぱいでした。
怠けているのかも?と感じたこともあります。
でも、「理由は分からないのに、行けない」という状態には、実は必ず背景があるのです。
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2.学校に行きたいのに行けない子の隠れた3つの原因【心理・環境・特性】
思春期時期の子どもの脳は、感情を司る部分(扁桃体)が先に発達しています。
理性や言葉でものごとを整理する部分(前頭葉)の発達がゆっくりなので、扁桃体の成長にはまだ追いついていないのです。
そのため「つらい」「苦しい」感情はあるけれど、それを自分なりにコントロールしたり、言葉で表現しづらいということがあります。
特に、思春期は「自分でやってみたい」「でも不安」という相反する気持ちが強く、その葛藤が大きすぎると「登校する」という行動にブレーキがかかってしまうのです。詳しく説明しますね。
◆心のエネルギー切れ
学校では、友達関係・先生の目・宿題・授業など、常に人と関わり続ける緊張状態が続きます。
感情の脳が先に成長している繊細な子どもほど、ちょっとのことで気を遣い、人と会話するだけでもエネルギーを使い果たしてしまうのです。
そのため、朝になると「行きたいけど、やっぱり行けない」と感じるのです。
◆自尊心が傷ついている
クラスでうまく話せなかった、成績が下がった、友達との会話にズレを感じる…。
そんな小さな出来事でも、「自分はダメだ」と思い込んで自分にレッテルを貼ってしまうのが思春期。
プライドが高い子ほど誰にも言えず、ストレスを自分の中に閉じ込めています。
◆ 感覚の過敏さ・特性由来の疲れ
人混みや騒音が苦手、集団行動がストレスに感じる、場面緘黙ぎみで人前で話せない。
こんな風に発達の特性がある場合には、余計に学校に行くだけで疲れてしまう、人と関わるだけで疲れてしまうのです。
こうした周囲には見えない「がんばり疲れ」を抱えていることもあります。
つまり、自分では「学校に行けない理由がわからない」は、サボりでも反抗でもなく自分でも分からないくらい心のエネルギーが切れているサインなのです。
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3.学校にこだわっているのは?親がやってはいけないNG対応
「心を壊してまでやらせなきゃいけないことなんて、この世にひとつもない」
これは、私が学んでいる発達科学コミュニケーション(発コミュ)の創始者、吉野加容子さんの言葉です。
不登校に悩む親ほど、この言葉にハッとさせられるのではないでしょうか。
わが家の娘は現在、中学3年。そんな高校受験を控えた大切な時期に学校に行けない日が続きました。
これまで、わたしは発コミュを学び「学校に行かない選択もある」ことは頭では理解していたつもりでした。
子どもが行きたくないなら学校にも行かなくてもいいし、子どもが自然に登校したくなったら行ったらいい。
けれども、実は心の奥底では「ちゃんと学校には行ってほしい」「普通に受験してほしい」と思っていたんです。
欠席日数が増えたら成績に響くかも…
勉強が遅れたら困るかも…
勉強が遅れたら困るかも…
そんな親の焦りを、娘は敏感に感じ取って期待に応えようとしていたのです。

思春期の繊細な子は親の表情や言葉、行動の端々から、親の感情を読み取っています。
「休んでいいよ」と言いながら、どこか残念そうな顔をしていませんか?
「明日は行ける?」と聞くその一言が、プレッシャーになっていませんか?
学校に行きたいのに行けない子どもにとって親の期待は重荷になり、それが余計に学校に行けない自分はダメだと自己否定を深めてしまうのです。
4.子どもの安心を行動につなげる関わり方
学校に行けない理由が分からない、学校に行きたいけれど行けない。
そんな子どもとって大切なのは、今は行けない理由を探すことではなく、学校に行かせるよりも「安心を積み重ねる」ことなんです。
◆「そう感じるんだね」受け止める
行けない理由を探すよりも、子どもの感情に共感することが大切です。
「行けないんだね」
「今はしんどいんだよね」
「今はしんどいんだよね」
と言葉で伝えることで、親が子どもの気持ちを受け止めていると認識され、心が少しずつほぐれてきます。
◆ リラックスできる自宅でプレッシャーをゼロに
焦って「明日は行けそう?」と聞きたくなりますが、それは逆効果。
学校の話題はいったんお休みして、リラックスできる会話の時間を増やしましょう。
「好きな映画一緒に見ようか」「クッキー買ってきたから食べない?」など、何気ない会話が心の回復を促します。

◆ 子どもが気持ちを整理できる“アウトプットの時間”をつくる
学校に行けない時期の子どもは、「行けない理由がわからない」「自分でも説明できない不安」を抱えています。
そのため、自分の気持ちを言葉にして整理する時間が大切なんです。
ただ、ここで重要なのはママの意見を伝えるのではなく、また根ほり葉ほり詰問することなく傾聴すること。
子どもの話す言葉に耳を傾けてうなづいて、共感の態度を表してみて欲しいのです。
子どもが自分の気持ち・思いをアウトプットできる親子の会話を意識してみてくださいね。
◆ 学校に行く当たり前を手放してみる
実は一番大切なのは、ママ自身が“学校に行くのが当たり前”という価値観を手放すことです。
今は、通信制高校やオンライン学習、フリースクールなど、学び方の選択肢がたくさんあります。
親が、学校に行くことが全てじゃないと心から思えるようになると、子どもの心も軽くなります。
その安心が、最終的には「もう一度行ってみようかな」という気持ちにつながっていきます。
5.実際に自分から学校に行くと決めた娘
娘が学校に行けなくなったのは、中学3年の春頃でした。
受験生という節目の時期でもあり、「このまま不登校になってしまうのでは…」と私も実は不安でいっぱいでした。
けれども、発コミュの学びから「学校に行くのが当たり前」という価値観を手放せるようになってから、娘も次第に自分の将来について考え始めたのです。
ある日、娘はぽつりと言いました。
「大学には行きたい。だったら高校は行った方が得よね?」
「大学には行きたい。だったら高校は行った方が得よね?」
そのころから、娘の行動が少しずつ変わり始めました。
高校のオープンスクールをいくつも見に行き、通信制高校や定時制高校についても自分で調べ始めました。
「学校に行くかどうか」ではなく、自分がどんな未来を選びたいかを娘自身が考えるようになったのです。

不登校状態から約2か月後、娘はまた学校に行けるようになり、少しずつ普通の登校が続くようになりました。
もちろん今でも、時々しんどくなる日はあります。
でも「今日はお休みする」と自分で決めて休養して、翌日にはまた登校する。
そんなふうに、自分のペースで学校と向き合える力が育っています。
私は「行けるかどうか」よりも、娘が自分で選び、自分の人生を歩こうとしている姿が 何よりもうれしく、誇らしく思っています。
学校に行けない時期は、決して後退しているわけではありません。
むしろ、不登校は自分の人生を自分で選ぶ力を育てる大切な時間だと感じます。
あなたのお子さんも、安心が満ちてくれば必ずまた前へ進み始めます。
どうか焦らず、比べず、信じて待ってあげてくださいね。
思春期の不登校の子どもについてよくある質問(FAQ)
Q1:学校に行けない理由がわからない場合、どう接すればいいですか?
A1:理由を探すよりも、まずは子どもの気持ちに寄り添うことが大切です。「行けないんだね」「しんどいんだね」と受け止めることで、子どもは安心して自分の気持ちを整理できるようになります。
Q2:思春期の不登校は甘えではないでしょうか?
A2:甘えではありません。思春期は感情の脳が先に育ち、言葉で説明する力が追いつきにくいため、「理由はわからないけど行けない」という状態が起きやすい時期。ですから無理に行かせるとかえって逆効果なのです。
Q3:ずっと不登校で休んでいると心配です。
A3:時期によっては休むことが必要な場合があります。心が追いつく前に学校へ向かせると、自己否定が強まり、より行きづらくなることがあります。まずは安心を積み重ねることが回復の第一歩です。




