中学生の忘れ物が多いのはワーキングメモリが原因?注意しても直らない理由と親の対策

 

忘れ物が多い中学生に何度注意しても直らないと、不安が募っていませんか。このまま社会でやっていけるのかと心配になるママへ。忘れ物は努力不足ではなく、やり方が合っていないだけかもしれません。注意より先に見直したい3つの対応をお伝えします。
 
 

【目次】

1.忘れ物が多い中学生の将来の不安が止まらないママの本音
2.なぜ中学生の忘れ物は直らない?ワーキングメモリとの関係
3.叱るほど遠ざかる自信、私が気づいた転換点
4.忘れ物が多い中学生と始める作戦会議

 
 

1.忘れ物が多い中学生の将来の不安が止まらないママの本音

 
 
小学生の頃から続いていた忘れ物、中学生になっても改善していない様子に心配になっていませんか?
 
 
・学校に持っていくはずの体操服やシューズがそのまま家に置いてある
 
・気がつけば期日がとっくに過ぎている提出物や宿題がある
 
 
何度言い聞かせても ついうっかりが直らない子どもに注意する口調も強くなってしまうママもいるかもしれませんね。
 
 
 
 
実は忘れ物が多い中学生は、やる気不足ではありません。
 
 
何度注意しても改善しないのは、努力が足りないからでなくやり方があっていないからなんです。
 
 
そもそも、忘れ物の困りごとを一番に解決できるのは、子ども自身のはずです。
 
 
それなのに、もう中学生になったのに忘れ物が多すぎてしまうと、ママも
 
 
「いつになったら自分で管理できるの?」
「周りに信用されない大人になるのでは」
 
 
と“性格”や“将来”と結びつき、不安が大きくなっていきます。
 
 
だからこそ、なんとかしなければと口出してしまいますが、子どもへの注意が増えるほど親子の空気は重くなってしまいがちです。
 
 
忘れ物は努力不足ではありません。原因が分かれば、対応は変わります。
 
 
では、何が起きているのか。まずは中学生の脳の働きから整理していきましょう。
 
 

2.なぜ中学生の忘れ物は直らない?ワーキングメモリとの関係

 
 
「分かっているなら、直せるはず」そう思いますよね。
 
 
けれど、実は忘れ物が多い中学生に起きているのは、やる気不足というより、管理の仕組みが足りていない状態なんです。
 
 
詳しく説明しますね。
 
 

◆理由①:同時に考える量が急に増える

 
 
忘れ物が多い中学生は、その場の状況が分かっていないわけでも、やる気がないわけでもありません。
 
 
勉強するべき教科数、提出物、部活、人間関係…中学生になると同時に管理しなければならない情報量が一気に増えていきます。
 
 
そもそも、朝の支度のとき、何を同時に考えているでしょうか?
制服、髪型、スマホ、友達との約束…その中に「体操服」は入りきるでしょうか。
 
 
同時に考えられる量を超えると、抜けるものが出てくる。
 
 
この「同時に考える量」に関係しているのが、ワーキングメモリという脳の働きです。
 
 
ワーキングメモリは、一時的に情報を頭の中にとどめながら処理する力で、この容量を超えると抜け落ちやすくなります。
 
 
中学生になると管理する情報が一気に増えるため、ワーキングメモリの負担が大きくなり、忘れ物として現れることがあります。
 
 
つまり、ママの言う「気をつけなさい」では処理容量は増えてはいないのです。
 
 
ワーキングメモリの働きには個人差があるので、低いからダメなのではなく、容量に合った仕組みを作ればカバーできます。
 
 
 
 

◆理由②:「分かっているのに抜ける」は実行段階の問題

 
 
持っていこうと思っていた。
帰ったら出そうと思っていた。
 
 
けれども、実際には行動に移す段階で止まっています。
 
 
これは怠慢ではなく、行動につなげる力の未熟さや実行するためにかかる負荷に影響があります。
 
 
努力不足前提で見てしまうと、子どもは“能力”ではなく“人格”を否定されたと感じて余計に行動にブレーキがかかってしまうのです。
 
 

◆理由③:責めるほど、自信が削れる

 
 
忘れ物をしてしまった

叱られた

また忘れたらどうせ叱られる

隠す(なかったことにする)
 
 
この流れができると、改善しようとするよりも忘れ物をしたこと自体をなかったことにしてスルーするようになります。
 
 
「どうせ自分はダメだから…」と思い込んで行動改善をしようと思えなくなるのが一番怖いことかもしれません。
 
 
こんな様子はありませんか?
一旦子どもの様子をチェックしてみましょう!
 
 
□ 忘れ物を指摘すると黙る
□ 「分かってる」と話を終わらせる
□ 忘れたことを隠す
□ 「どうせ自分はダメ」と言う
 
 
もし当てはまるなら、注意の回数よりも“関わり方”を見直すタイミングかもしれません。
 
 
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3.叱るほど遠ざかる自信、私が気づいた転換点

 
 
実は私も、忘れ物が多い中学生の娘に何度も注意してきました。
 
 
自分のことは自分でちゃんとやってほしい!
中学生だからこそ自立を目指し正しいことを娘に伝えているつもりでした。
 
 
けれども、忘れ物問題はほとんど解決していませんでした。
 
 
ある日、子どもがぽつりと「忘れ物をしたらダメだって分かってる。けど、どうしたらいいか分からない…」その言葉で、私は子どもに忘れ物をしないでいることを求めすぎていたと気づきました。
 
 
 
 
必要だったのは叱って注意を向けさせることではなく、忘れ物をしないですむ「仕組み」だったんです。
 
 
それから、責めるのをやめ、「どうすれば忘れにくいかな?」とわが子の横に並んだとき、そこから、対策の作戦会議が始まりました。
 
 
もちろん、すぐに解決できたわけではありませんでしたが、次第に「また忘れた…」で終わらず、「じゃあ次どうしよう?」に変わったのです。
 
 
中学生にもなって忘れ物が続くのは、周りからの目もあって本人も恥ずかしいと感じています。
 
 
けれど、本当に守りたいのは忘れ物ゼロでしょうか。
それとも、失敗しても「次どうする?」と考えられる自信でしょうか。
 
 

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4.忘れ物が多い中学生と始める作戦会議

 
 
忘れ物が多い中学生への対応は、注意を向けさせるために「気をつけなさい!」と叱り続けることではありません。
 
 
叱ることから仕組みづくりへと変えていくことなんです。
 
 

◆① 叱る前に「困ってる?」と聞く

 
 
忘れ物に気づいた瞬間は、子どももすでにやってしまった!とガッカリしていることが多いです。
 
 
その場で責めるのではなく、落ち着いた時間にこう聞いてみます。
 
 
「忘れちゃうときって、どんな感じ?」すると、
 
 
「朝バタバタしてて」「頭の中がぐちゃぐちゃ」と本音が出てくることがあります。
 
 
ここで否定せずに聞く。それが作戦会議のスタートです。
 
 
 
 

◆② 忘れない“仕組み”を1つだけ決める

 
 
ポイントは全部やろうとしない「1つだけ」を意識します。
 
 
・提出物は帰ったら必ずこのカゴに入れると場所を決める。
・明日持っていく物は、夜のうちに玄関に置くと動線を変える。
・今日持って帰る物だけを小さなメモに書く。
・スマホで朝もっていくものを表示するようリマインドをかける
 
 
1つ決めて、1週間試してみる。
うまくいったら次の1つを足します。
 
 
できたことが積み重なることで、忘れ物対策ができている自分に自信がもてるようになります。
 
 

◆③ 忘れた後の言葉を変える

うっかり忘れ物をしたときに
 
 
×「また?」ではなく
○「じゃあ、次どうする?」
 
 
この一言が、子どもの自信を守ります。
 
 
中学生のタイミングで忘れ物ゼロにすることがゴールではありません。
 
 
うっかり忘れたあと、自分で次の対策を考えられる力を育てることが、社会で困らない力につながっていきます。
 
 
叱ることを減らしたその日から、子どもは「どうせダメ」ではなく「やってみる」に変わります。
 
 
忘れ物対策は静かに始まっています。仕組みが整うと、朝のバタバタが減り、親子の会話が穏やかになっていきますよ。
 
 
 
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忘れ物の背景には、思春期特有の感情の揺れや「分かっているのにできない」苦しさが隠れていることがあります。思春期の脳の特徴について動画で解説しています。
 
 
 

よくある質問(FAQ)

Q1:忘れ物が多い中学生はなぜ直らないのですか?

A1:忘れ物が多い中学生は、やる気がないのではなく管理のやり方が合っていない場合があります。

中学生になると教科数や提出物が増え、同時に考えることが多くなります。「気をつけなさい」と言われても、考える量そのものは減りません。忘れ物を減らすには注意よりも“仕組みづくり”が必要です。
 
 

Q2:忘れ物が多い中学生に効果的な対策はありますか?

A2:まずは忘れない仕組みを一つ決めて1週間続けることが効果的です。
例えば「提出物は帰宅後すぐ決まった場所に入れる」「明日の持ち物は夜に玄関へ置く」など、具体的な行動を一つだけ決めます。全部を変えようとせず、小さな成功体験を積み重ねることが改善につながります。
 
 

Q3:忘れ物が多いと将来社会で困りますか?

A3:忘れ物そのものよりも、失敗した後にどう行動するかが大切です。
社会に出ても人はミスをします。重要なのは「次どうするか」と考えられる力です。叱る回数を減らし、一緒に対策を考える関わりが、社会で困らない力を育てます。

具体的な声かけ例や回復を早める関わりについては、学びの中で詳しくお伝えしています。
 

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執筆者:井上喜美子
(発達科学コミュニケーションアンバサダー)

 

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