発達障害の子どもの「人の気持ちを理解する力」は何もしないままだと育ちません。気持ちの理解が進まないと思春期に不登校になることも…。相手の気持ちを考える力を伸ばすために、ママができるコミュニケーショントレーニング術をお伝えします。
【目次】
1.発達障害の子どもあるある「人の気持ちを理解する力がない」という特徴
発達障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)や自閉症スペクトラム症(ASD)の子どもあるあるに「人の気持を理解する力がない」という特徴があります。
親として気まずい経験をして、困っているお母さんもいるかもしれません。
発達障害やパステル(グレーゾーン)の子どもは物事のとらえ方が独特なことが多いので、私たち大人の「常識」が通用しないことがよくあります。
例えば、人とぶつかってしまって相手が転んでしまったら…。
どっちが悪いかは別として「大丈夫ですか?」とか「怪我はないですか?」とか大人だったら尋ねますよね。
場合によってはこちらが悪くなくてもお互い「ごめんなさい」と言ったりもします。
ところが…、発達障害・グレーゾーンの子どもの場合、
「自分がぶつかったんじゃなくて向こうからぶつかってきたんだ」
「向こうが悪いのになんで自分が謝らないといけないんだ」
「一方的にキレられて気分悪いな」
なんて逆ギレをすることも多々あります。
ここで、親がやっきになって「常識ではこういうときは…」という話を言って聞かせても、子どもには全く響きません。
さらに別の場面では、友達にさんざん優しくしてもらったり、助けてもらったりしているのに、「優しくしてもらったことないからよくわからない」なんてシレっと言ったりすることもあります。
エッ?!あんなに皆に助けてもらっているのにどの口がそう言う?と思うのですが、これが発達障害・グレーゾーンの子ども『あるある』なんです。
このあるあるは、「優しいってなに?」という人の気持ちを子どもが理解できていない状態にあることが原因で起こります。
このような原因がなぜ起こってしまうのか次で説明していきますね。
2.相手の気持ちへの理解が進まないことで起こる悪い影響
現在、日常生活において人と関わることに興味を持てない子どもが増えています。
核家族化が進み、地域のコミュニティーが希薄なっていることから、助け合いながら何か物事をクリアするといった経験を気軽にすることが減ってきています。
相手の気持ちを考えることや、人の気持ちに共感するなどという場面に遭遇することがなかなかありません。
人の気持ちを子どもが理解する機会が減ったり、そもそも気持ちを理解する方法が分からないということだけではありません。
発達障害・グレーゾーンの子どもは、自分が感じている気持ちを言語化できないということが多々あります。
このように感情表現がうまくできないと、言いたいことを我慢したり、その我慢が溜まってしまい、最悪手が出てしまうということもあります。
癇癪・暴言はこのようなことが原因で起こっていることが多くあるのです。
気持ちを伝えられるようになると我慢することも減り、モヤモヤした気持ちを発散することになるので我慢して溜め込むということがなくなります。
なので、自分の気持ちを伝えるというのはとても大事なんですね。
気持ちを伝えることで、相手と気持ちを分かり合えるなどの経験をするとそれは本人の自信にもつながるのでこのような経験を増やしていきたいところです。
思春期やその後の生活を考えると、そういう子どもたちにも、自分の気持ちや人の気持ちを把握できるよう導いてあげたいですよね。
そんなときはどうするか?次は、そのトレーニング術をお伝えしますね。
3.人の気持ちを理解するには「 気持ち乗っけ会話術!」が効果的
人の気持ちを理解するきっかけをつくるコミュニケーショントレーニング術、それは、お母さんが発する言葉に「気持ち」を乗せてあげる=「 気持ち乗っけ会話術!」が効果的です。
例えば、友達がサッカーのソックスを貸してくれたとしたら…「このソックス、◯◯くんが貸してくれたんだ!◯◯くんは優しいね」と言葉にする。
狭い洗面所でみんなでぎゅうぎゅう朝の支度をしていてぶつかったら…「あ。今、ぶつかっちゃったね。痛くなかった?ごめんね」と言葉にする。
こんな形で、日常の会話に感情や感謝、ときには謝罪を織り交ぜながら話をしていくことで、子どもたちの中に価値基準が根づいていきますし、人の気持ちを把握するきっかけになります。
発達障害・グレーゾーンの子どもの突拍子もない言動に、驚いたり困惑したりすることもあると思います。
ですが、気持ちを把握することが苦手なことを理解せずに延々と説教を続けたり、厳しく指導しても、発達障害・グレーゾーンの子どもにはなかなか届きません。
そんな感情的なバトルをする時間を今すぐ減らして、コミュニケーションをポジティブなものに切り替えましょう。
日々のコミュニケーションの中でたくさんの「会話」の体験を積ませることで、価値観や社会性を育む方がよっぽど効果的なのです。
発達障害・グレーゾーンの子どもたちは、あるときまではアッケラカーンとしていることが多いですが、長年に渡るネガティブなコミュニケーションによってある日突然「プツリ」とエネルギーが切れることがあります。
発達障害・グレーゾーンの子どもはマイペースで悪目立ちしがちで、叱っても叱っても本人に響いているように見えないから、周囲の大人もつい何度も叱ってしまいます。
ところが、発達障害・グレーゾーンの子どもですら、叱られ続けると思春期に自己肯定感が下がってきて、学校へ行きしぶったり不登校になったりします。
それでなくても思春期には対応に注意をしてあげてほしいですし、自己肯定感を保つためにもお子さんとのコミュニケーションを今から変えていきましょう。
ママの気持ちを織り交ぜたポジティブな”気持ち乗っけ”会話術をぜひ試してみてくださいね。
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執筆者:清水畑亜希子
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)