発達障害の中学生。ちょっと話しかけただけで「うるせー」「ほっといてよ」おうちでイライラしていませんか?これらの反応は友達関係の悩みのSOSサインかもしれません。お母さんがSOSサインに気が付いたら試して欲しい2つのお家対応があります。 |
【目次】
1.友達関係がうまくいかず、中学生の子どもがイライラ爆発していませんか?
2.発達障害の子どもが友達関係がうまくいかない理由と事例
①ASDタイプの女子・友達に合わせるのがつらい場合
②ADHDタイプの男子・友達好きなのにうまくいかない場合
3.親子ともにイライラしない!お母さんができるお家対応
①親からの「ごもっともな話」はしない
②子どもの話を聞く環境を整える
1.友達関係がうまくいかず、中学生の子どもがイライラ爆発していませんか?
中学生は同年代での仲間づくりが大切になってきます。
子どもたちにとっては親と子のつながりより同年代の子とのつながりが重視されグループ行動が多くなります。
小学校高学年から中学校へと進むうちに、学校は仲間意識や協調性を身につける場と変化していきます。
より相手によって程よい距離感やその場の雰囲気を読んで対応することが求められます。
そんな周囲の成長と変化もあって、コミュニケーションに課題のある発達障害グレーゾーンの子たちが中学校で苦戦する課題の1つが友達関係です。
うまくコミュニケーションが取れないことで友達が離れていってしまうもどかしさ。家でイライラを爆発させる。
それを知らずに
「イライラしないでよ!」
「八つ当たりしないで!」
「そんな口をきく前にやることやりなさい!」
なんて言ってしまった日には…親子揃ってイライラがヒートアップしてしまいます。
親子のバトルが絶えないと二次障害のリスクも残念ながら上がってしまうことにもなりますので、注意が必要なのです。
2.発達障害の子どもが友達関係がうまくいかない理由と事例
同じ友達関係の悩みでも、発達障害のタイプや、女子と男子によっても違ってきます。
2つのタイプを例にあげて見ていきましょう。
◆① ASDタイプの女子・友達に合わせるのがつらい場合
発達障害グレーゾーンでも、自閉症スペクトラム(ASD)の特性が強い女子は、できれば1人でいたいタイプ。
女子トーク、謎の女子グループのルールを理解することが難しい…
「みんなで一緒に」や
「わかるー」とか
そういう会話に合わせるのがとにかく辛い。
女子は思春期(特に中学生)に入ると、グループを作りたがります。
ここで、ますます発達障害グレーゾーンの特性がある女子には、友達関係の難易度が高くなってきます。
例えば、 Youtubeの話をしていて特に面白いと思わないのに「面白いよね」を強制されるとか。
特にファッションに興味がないのに服のブランドの話をされて「知らないの?」と言われたり…など。
この共感できない状態に1日身を置いて過ごすのです。
発達障害グレーゾーンASDタイプの女子は、学校や友達関係などの集団の中で無理をして周囲に合わせている場合も少なくありません。
周りの状況や集団の中で求められることを読めてしまい、
「なんとか合わせよう」
「しっかりやらなくちゃ」
「辛いけどここにいなくちゃいけないんだ」
と外では本来の自分を押さえ込んでいることが多いのです。
このように無理をして周りに合わせることを「過剰適応」といいます。
外での「過剰適応」から、家に帰ったころにはヘトヘトな状態なのです。
そんなところに、お母さんからの「~したの?」攻撃があったらイライラするのも無理はありません。
◆② ADHDタイプの男子・友達好きなのにうまくいかない場合
発達障害グレーゾーンの注意欠陥多動性障害(ADHD)の特性が強い男子の場合、友達が好きだけど、空気読めないタイプが多い。
例えばYoutubeの話をしていて、自分の好きな動画の話を
「これのここがいいよなー」
「それでさーこれのここがこうだから、あーで、こーで…」
としゃべり続け、友達は「…」となる。
中学生にもなると、周りの空気を読んで対応できる子も増えてくるので、空気が読めないことで周りから浮いた存在になってしまう。
発達障害グレーゾーンADHDタイプは、相手が聞いていようがいまいが、自分の興味のあることばかり一方的に喋ってしまう特性があります。
その特性全開で、友達の話の中に突進していくので友達にイヤがられてグループに入れてもらえない。
だけど本人は何がイヤがられているのかわからない。
理由がわからないままどうしていいかわからなくなってしまう…
学校では明るく振舞ってるけど友達が離れていってしまう。
友だち同士の距離感や、話すタイミングがうまくつかめないのです。
そして、何をどうしたらいいかわかない状態のところに、家でお母さんが追い打ちをかけるような言葉を言うとイライラが爆発するのです。
3.親子ともにイライラしない!お母さんができるお家対応
このように中学生になると、発達障害グレーゾーンのASDタイプの女子とADHDタイプの男子では「友達関係」1つをとっても、感じ方や困り感が異なります。
子どもたちは、友達関係の悩みを自分の中で解決しようとしていますが、うまく処理をしきれずイライラするのです。
イライラの原因は違いますが、子どもたちが家で荒れる時はSOSサインと思ってください。
そのような時には、おうちでカウンセリングをしてみましょう。
◆①親からの「ごもっともな話」はしない
まずはお子さんが落ち着くタイミングを待って「何を」「どう感じているか」をうまく聞き出してあげてほしいのです!
その時のコツは 、親から「ごもっともな話をしない」ということです。
友達とうまく関わりたいなら
「こうしたほうがいいよ」
「常識を考えたら…」とか
ちょっとでもお母さんが「こうすべき」を発動すると
男子「うるせー!」
女子「放っておいてよ!」
とさらに荒れるか…「貝」になるか…です。
そこから話をしようとしても子どもはかたくなに拒みます。
子どもが荒れている時はエネルギー切れを起こしている時なのです。
(暴れているからと言ってエネルギーが余っているわけではなく、心のエネルギーはからっぽになっていると思ってくださいね)
だから「ごもっとも」な話はお断り!なのです。
ただ、子どもが思っていることを
「へー、それで?」
「他には?」
と笑顔で聞き続けてあげてください。
笑顔がポイントですよ!
◆②子どもの話を聞く環境を整える
「そもそも、話もしないんですけど」というお母さんもいるかもしれませんね。
そんなときには、お子さんに語ってもらうには環境を整えるのも大事です。
「宿題は?」
「今日部活サボったの?」
「テレビばっかりみないでよ」
「いつまでスマホやるの?」
と追い詰めたりしないようにしてくださいね。
「今日はお休みの日!」くらいのつもりでゆっくり過ごさせてあげてほしいのです。
お子さんの好きなものでも食べながらのんびり過ごせる環境を作ってあげてください。
お子さんが語り出すのはそのあとです。
我が家の高3の息子もそんな状態の時がありました。
私は、本人が語れる状態になるまで何日も何日もただ同じ空間で一緒に過ごしました。
そして決して無視をしない、ということを意識しました。
「ご飯だよ」
「おやつだよ」
「買い物いってくるねー」
「今日は●時から仕事のミーティングあるからね」
子どもが反応しようがしまいがいつも通り喋り続ける。
そんなことをして子どもが喋れそうになるまで待ちました。
子どもが語りだしたり動き出したりするのはそこからなのです。
コロナ禍を経て、学校の始まり方、3密を避ける、行事等の中止など、友達との関わり方も変わってきました。
特に発達障害グレーゾーンの子どもたちは、環境やお友達に馴染むのに、今まで以上のストレスがかかっているのです。
学校から帰宅して、お子さんがイライラしている様子が多いなら、中学生特有の友達関係がうまくいかない悩みを抱えているのかもしれません。
お子さんのイライラを減らすには、
・お母さんが笑顔で対応
・ごもっともな話をしないでゆっくり過ごせるようにする
・子どもが話してくれるまで待つ
・お母さんの要求を減らして無理をさせない
このようにおうちを居心地のいい場所にすることを、ぜひ心掛けてくださいね。
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執筆者:清水畑亜希子
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)