「10歳の壁」が原因で発達障害・グレーゾーンの子どもは学習面で劣等感を抱くことがあります。苦手な勉強をゴリゴリやらせても上手くいかないのが発達障害の子どもたち。勉強をさせる以外のところで自信を持たせる対応で「やる気」を引き出していきましょう! |
【目次】
1.10歳の壁が学習にも影響する?!発達障害の子どもが学習につまづく理由
2.「勉強が苦手」=「学習障害」の場合もある
3.高学年ならではの「勉強の苦手感」とは?
4.10歳の壁を未然に防ぐ!自信を育てる声かけ
1.10歳の壁が学習にも影響する?!発達障害の子どもが学習につまづく理由
10歳の壁を知っていますか?
この年齢は個性が芽生えてくる時期でもあり、「自分とは誰なのか」と考えるようにもなります。
学習面では数式で文字が出始めたり、人間関係においては友情や絆などの抽象的なことを考えられるようになります。
これが、ほとんどの子どもが10歳になると直面する壁です。
発達障害・グレーゾーンの子どもは脳の特性や発達の遅れから、苦手なことが多いです。
ですから、周囲の子どもと比べるとできないことが多かったり、目立つことがあります。
普通級に在籍していればそれはなおさら強く感じることでしょう。
次第に本人も自分と周りの友達との違いに気がつき始める頃です。
発達障害・グレーゾーン子どもの「10歳の壁」問題。親の言うことを聞かない、など様々な困りごとが表面化してくる時期をそう呼びますが、学習面でも難易度があがってつまづきやすくなる、それが小学校4年生(10歳)の時期です。
なので、この10歳の壁をきっかけに学校に行けなくなる子が徐々に増えていきます。
そのため、お子さんの「勉強の苦手感」にしっかり対応しておきたいですよね!
では、どのように発達障害・グレーゾーンの子どもの学習の”苦手”に対応すればよいのでしょうか?
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2.「勉強が苦手」=「学習障害」の場合もある
”学習障害”というワードは耳にしたことがあるかもしれません。簡単に言うと、学習障害(LD)とは、「勉強の苦手」のことです。
この”学習障害”の定義が実はちょっと難しく、ここを間違えると、お子さんへの対応を誤ってしまうことになるので注意が必要です。
・聞く
・話す
・読む
・書く
・推論する
・計算する
この6領域の1つもしくはいくつかに苦手さが出る、これが学習障害(LD)の特徴です。
そして、これも耳にしたことがあるワードかもしれませんが、
・読字障害(ディスレキシア)
・書字障害(ディスグラフィア)
・計算障害(ディスカリキュア)
この3つは学習障害の一種ですが理解力には遅れがありません。
ですから、ディスレキシアで言えば、読むことが苦手だけど耳から聞けば理解できるという状態です。
もしもディスレキシアなら、読むことのトレーニングをしたり、読むことの代わりになる手法を活用するなどが、支援の中心になります。
一方、理解力の苦手さやゆっくりさを伴う場合があります。「読む」「書く」のどれか1つが苦手なのではなく、
・理解すること
・学習(記憶)すること
そのものに苦手さがある。
日本で多いのはこちらのタイプになります。
そうなると読み書きの練習をするだけ、長時間勉強をするだけ、では根本的な解決にはなりません。
読み書きの練習をしても、勉強時間を増やしても、理解する力、記憶する力が上がるわけではないからです。
お子さんの困り感が、どの程度広いのか理解してあげることで、サポートの方法も変わっていきます。 そしてもう1つ、サポート方法を左右するのがお子さんの年齢です。
最近の動向としては「早くから見つけて、早くから学習支援をはじめる」といった時間をかけて、丁寧にトレーニングするという考え方がトレンドです。
ただし、勉強嫌いにならないように楽しみながらやる、これがコツです。
3.高学年ならではの「勉強の苦手感」とは?
ところが、発達障害・グレーゾーンの子どもたちが、高学年になってくるとまた様子が変わってきます。
発達障害・グレーゾンの子どもたちの、勉強の「苦手感」は周囲から「努力不足」「もっとやったらできる」と勘違いされることも多いのです。
努力と気合いでなんとかなる!という空気感の中で、高学年を迎えたころには、もはや「勉強なんて大嫌い!」という状態になっていることも多くなります。
子どもたちが成長すると、周囲のお友達と自分の違いを自覚するチカラも実は伸びてきているので、一筋縄ではいかないんですね。
苦手でも頑張らないといけないことは、子どもたちも本当は知っています。
けれど、
「できる気がしない。」
「自分だって苦手ってわかっているし、周りからも苦手だと指摘される。」
「学校でも家でも勉強しろ!と言われ続ける。」
ですから、たとえいい教材があっても、面白いIT教材があっても、塾に入れても「できる気がしない」から取り組めないんです。
ですので、必要以上にお子さんを追い詰めると、
学校に行きたがらない
家にいても無気力
こんな状況を引き起こしてしまうリスクも高まります。
どうすれば「できる気がしない」という気持ちを改善してあげることができるのでしょうか?
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4.10歳の壁を未然に防ぐ!自信を育てる声かけ
発達障害・グレーゾーンの子どもは、「苦手なこと」や「できないこと」を意識してやらない特性があります。
まずは、子どもの自信をなくさないような対応が必要です。その方法としては、子どもの得意なところを伸ばすように、具体的な声かけで、伝えることです。
例えば、
「この字上手に書けてるね」
「計算問題、解くの早いね」
「音読、上手だね」
そして、自分から勉強を始めようとしたら、
「いまから始めるんだね」
「1問解けたね」
「半分できたね」
など、勉強ができるかどうか、テストの点が良いか悪いかは関係なく、「やっていること」「できていること」を見つけて言葉かけを続けていくと、自信を持たせてあげることができるのです。
もしも、勉強で「できること」「褒められること」なんてみつけられない!と思っても大丈夫ですよ。
日常生活で、お子さんが当たり前にできていることを褒めたり、肯定したり、好きで夢中で取り組んでいることを、お母さんが言葉に出して伝えるだけでいいのです。
ゲームが好きなら、「楽しそうだね!どうやったらそんなに上手にできるの?」
何かに取り組んでいるなら、「いいと思うよ」「やってるね」「へー、そうするんだ」
つまり、「ここはできたね」 「ここができるなら、こっちもできるよ」 と、お子さんができたところだけを褒める!これをやり続けます。これが効果的なのです!
発達障害・グレーゾーンの子どもの勉強の苦手意識は、こうやって日常のできることから「自信をつけて」「やってもいいかな」と思わせて「やる気」に変えながら、自信へと伸ばしていくのがオススメです。
高学年で「できる気がしない…」と自信を無くして、勉強が分からない状態になってしまうと、この先学習にずっとついていきにくくなり、生活や成長を左右してくることになります。
だからこそ、高学年になる前からしっかりサポートすることが必要です。
当たり前のことを褒めたり、子どもの好きなこと、やっていることに興味を示したり、共感して、お子さんをたくさん肯定してあげてください。
子どもの「できた!できる!」を増やしてあげましょう。
そして、得意なことを伸ばしてあげて、認める、褒める、この「量」が増えてくると、子どもが苦手なことに向き合う自信を持てるようになります!
発達障害・グレーゾーンの子どもにとっては、勉強をたくさんさせることよりもっと大事なことかもしれません。ぜひ参考になさってくださいね。
お母さんが、少し視点を変えて、ちょっと立ち止まってお子さんの苦手を知ること、今までの対応を振り返ること、ぜひやってみてください。
そして、高学年になる前に、子どもたちを「勉強やってもいいぜ!」「学校いってもいいぜ!」という気持ちにしておきましょうね!
執筆者:清水畑亜希子
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)