発達障害の子は勉強面で苦手を感じることが多いですが、学習障害ではなくても「読み書き」に苦手があると勉強についていけなくなります。新一年生になったお子さんのそんな不安を解消するために、家で簡単にできる「お手伝い」を上手に活用してみませんか? |
【目次】
1.発達障害の子が学校の勉強でつまずく原因
新年度になり小学校が始まっている地域では、発達障害の新一年生のお子さんたちが新しい環境に慣れるために一生懸命がんばっている時期ですね。
本格的に勉強が始まると学習障害が表面化してくるので、お母さんにとって心配な時期でもありますね。
学校での学びは、「入力(見る・聞く)→処理(理解する)→出力(読み書き)」という繰り返しが多く、この中で何かひとつでも苦手があると授業についていくのが難しくなります。
例えば…
・よく見えない、聞き取るのが苦手といった「入力」のつまずき
・思い出せないなどの「処理」のつまずき
・不器用さによる「出力」のつまずき
など、学習障害でなくても勉強についていけなくなる原因はたくさんあります。
小学校の勉強では「読み書き」のチカラが必須ですが、「入学後、一からやりますから大丈夫ですよ~」なんて言われても油断禁物!
実は、みんなできている前提で授業がどんどん進むことも多いようです。
特に、勉強の基本でもある「読み書き」は、色々な感覚が連動することで成り立っています。体の感覚がバランスよく育っていないと、読み書きが苦手になる可能性大!
苦手を放置していると、入学早々勉強についていけなくなってしまう危険性が高くなるのです。
2.学習障害ではないのに…どうして書くのが苦手なの?
では、「出力」にあたる書字について考えてみましょう。
試しに目をつぶって自分の名前を書いてみてください。ある程度は読める字が書けるのではないでしょうか?
目をつぶっていても字が書けるのは、手をどんな風に動かせばいいのか?力加減はどの程度がいいか?といった筋肉の動かし方がうまくできているからです。
この筋肉の力の入れ方、関節の曲げ具合や伸び具合の情報のことを「固有覚」といいます。普段は意識しないで使っている感覚なので、わかりにくいかもしれませんね。
目隠しをして、左右の手それぞれに本を乗せてもらってみてください。このときに左右のどっちの本の方が重いのか、判断するときに使っているのが固有覚です。
コップに水を注ぐときに、力加減をしたり関節の動きを調節したりして、水をこぼさないようにしているのも固有覚です。
「書く」という動作をするときには、指先や手首を思い通りに動かす必要があります。そのときに使われているのが固有覚なのです。
そのため、固有覚を感じ取りにくいと、書く練習をしてもなかなかうまく書けないことがあります。
例えば、最近は宅急便の受け取りのときにタッチペンでサインしますが、ボールペンで書くのとは違ってうまく書きにくいのではないでしょうか。そんな感覚が固有覚が未熟な感覚といえます。
また、字を書くためには鉛筆やノートの感触を感じる「触覚」や、頭の位置や姿勢を保つ「前庭覚(バランス感覚)」も必要になります。
学習障害ではなくても発達障害の子の中には、これらの感覚のつまずきで書字がうまくいかない子もいるのです。
3.読み書きの苦手を改善!?お手伝いのメリット!
では、どうしたら発達障害や学習障害の子どもが「読み書き」に必要な感覚を発達させることができるでしょうか?
文字に関しては、
・文字を大きく書く
・指で直接書いて、触覚も使いながら練習する
といった工夫をすることで、筋肉の力の入れ方、関節の曲げ具合や伸び具合を感じながら固有覚を発達させてあげると効果的です。
また、読み書きの土台となる「手先を使う経験」を家でさせてあげるのがオススメです。
例えば、
・ペットボトルの開け閉め
・床のごみを拾う
・洗濯物を干す
・洗濯物をたたむ
などお手伝いの中で手のスムーズな動きを養うことができます!このようなお手伝いをすることで固有覚、触覚、前庭覚(バランス感覚)が刺激されて発達させていくことができるのです。
ただ、イヤイヤやらせても子どもの脳は発達しにくいので、注意が必要です。お手伝いしてもらうとき小まめに褒めてあげるのをお忘れなく。子どもは肯定されると自信がついていきます。
自信がついてくると、お母さんの話を聞けるようになっていきます。
聞く力は、授業で先生の話を聞く力につながるので、「読み書き」どちらにもプラスになるんです!
褒めるポイントを増やすために、最初のうちは一年生のお子さんが無理なくできることを手伝ってもらうのがオススメです。
発達障害や学習障害のお子さんが楽しく取り組めそうなお手伝いを探してみてくださいね。
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執筆者:三浦知花
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)