以前、なかなか泣やまない発達障害の息子をみた親戚の一人が、「一人っ子だからワガママなのかな?」ってとボソッと言っているのが耳に入りました。発達障害についてもイメージが悪そうで誰にも言えないし、ネット検索してみたら将来に不安しかありません。我が子をワガママにしない方法はありますか?
8歳・男の子のママ
息子も発達障害の診断があり一人っ子です。昔からワガママだとか育て方が悪いと思われないか気にしていたし、実際に言われたことも…でも今では、偏見など全く気にならないくらい息子は成長しています。今回は私のエピソードを交えて対応をお伝えしていきますね。
発達科学コミュニケーション
リサーチャー 秋村若菜
【目次】
1.発達障害で一人っ子だとワガママな子、と思われるって本当?
2.発達障害があるからこそ、特性を理解して対応を工夫しよう
3.大ピンチのときにワガママかどうかが分かる!
4.世の中のワガママ一人っ子伝説を変えるための一歩とは⁉︎
1.発達障害で一人っ子だとワガママな子、と思われるって本当?
息子は発達障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)の傾向がある一人っ子。生まれてからずっと子育てが難しくて、自分の思い通りにならないと癇癪を起こしていました。衝動性・多動性もあり、音や光に敏感。授乳や食事にもこだわりが強く、1日のうちどの場面でも大変な子育てでした。
同じ一人っ子のお母さんと話していたときのこと。彼女は自分の子どもが言うことを聞かないからといって「一人っ子だからワガママになったのかも」と言っていました。
間違いなくうちの息子の方が育てにくく、発達障害の診断もあります。親戚や友人から、うちの息子はどう思われているのか私も気になります。彼女の言葉をキッカケに、ワガママかどうか?意識するようになりました。
2.発達障害があるからこそ、特性を理解して対応を工夫しよう
育て方が難しかった我が子に対して、しつけは通用しません。私は対応をしっかり学んで実践したので、低学年くらいになると衝動性・多動性は落ち着いてきました。
たった一人の大切な我が子。本人にとっては自分の感覚がデフォルトなので、他と比べて自分が困っているかどうかが分かりません。特性による困難さは、親にとって育てづらいけれど、身近にいる親だからこそ、少しでも楽にしてあげたいと思いました。
そのためには特性の理解が必要。親を困らせるために、わざと不適切な態度を取っているのではなくて、本人にとってどうしても堪え難い状況なのだと瞬時に判断していくことで、むやみに息子を怒らないよう心がけました。
同時に私は、とにかく息子の心を大切にし、素晴らしい素敵なところに注目して、あなたが大好きなんだと伝えていました。
発達障害だからしつけられないとか一人っ子はワガママだとか、そんなことよりも我が子が、もっと楽に、幸せに育ってもらいたい。その一心で子育てしてきました。
3.大ピンチのときにワガママかどうかが分かる!
息子が小学校3年生のとき、ピンチを乗り越えたエピソードを紹介させてください。帰省中、都内の私の祖母の家へ遊びに行ったときのことです。
祖母の家は割れそうな置物がたくさんあって、物が多くて刺激いっぱい。祖母にビックリさせないよう、日頃の暴れん坊な息子は封印。私への態度も柔らかめにして、息子は1日頑張りました。
私から見ても、ほんと良く堪えてくれました!
ところが帰りにトラブルが発生。架線故障で電車が運行停止したのです。かなり疲れている息子を思うと、ホテルに宿泊も考えたのですが、すでに満室のホテルばかり。
やはり実家へ戻ることにし、振り替え輸送している私鉄の駅まで移動しました。バスは大混雑で乗れなかったため、手段を変えてタクシー移動にし、私鉄の駅に着きました。駅はホームに人が入りきらないほど。
とにかく来た電車に乗りましたが、異常事態です。途中で停車したり徐行運転が続いたり、そもそも終点はどの駅なのかも分かりませんでした。
このように、先の見通しが全く立たない上に大混雑の中を、疲れ切った息子を連れ回しました。
息子がいつ、どうなるのだろうかと内心ビクビクでした。知らない人に押しつぶされそうな車内、暑くて複雑な匂い。奇跡的に途中で座席確保できましたが、そんな中で息子は一切、文句を言いませんでした。
私は、あなたが頑張ってくれているから救われているんだということを伝えました。決断の連続でしたが、迷ったり焦るママを支えてくれてありがとうとも伝えました。
実家に近い私鉄の駅に到着したら、今度はタクシー待ち。あり得ない長蛇の列に並びました。
息子はトイレが限界に!順番はキープしていたかったため、3年生の息子は知らない駅でトイレを探しに一人で出かけました。無事に戻った息子によると、改札まで戻り駅員さんに伝え、切符を持っていなくても改札内のトイレを案内してもらえたそうです。
合計2時間は並び、ようやく実家へ向かうタクシーに乗ることができました。息子は夜中、頑張っている運転手さんにありがとうを伝えていました。
当時、祖母の家に電車で往復するだけでも大イベントなのに、大規模な電車のトラブル。祖母の家から実家までの5時間以上もの間、ワガママどころか「きっとうまくいくよ!」と私を励ましてくれました。
4.世の中のワガママ一人っ子伝説を変えるための一歩とは⁉︎
予期せぬトラブルを乗り越えたというエピソードは、私にとって忘れられない大切なもの。子育てにおいて大きな自信に繋がりました。
一人っ子だからワガママだとか、発達障害だから人に迷惑をかけるとか、融通がきかない聞き分けのない子なのかも…そう思うときも正直ありました。
でも本当は、母を助けてあげたい心の優しい子。感覚的に苦しいものがあったとしても折り合いつけて、一緒に乗り越えられる能力のある子だったのです。
疲れた・座りたい・帰りたいと言わなかった息子は、腹を立てても仕方ないことを。できることを一つずつ進んでいくしかないことを理解していたのです。私が真剣に息子を思う気持ちも伝わっていました。
振り返ってみて一番大事にしていたことは、我が子の自己効力感を授けること。今回のように、ピンチのときはママを助けてあげられるし、満員電車で立っていられるしトイレも何とかする。絶対に家にたどり着く!このように「自分ならできる!」と思えたから乗り越えられたのです。
具体的な対応としては、私は息子のできているところに注目し続けました。日常の些細な、当たり前にできているところです。歯磨きだったり服を着替えたり、ご飯を美味しく食べることなどです。
息子が話す言葉だったり、息子が選んだことに対しても「あなたが思う通りでいいよ!」と伝えていました。物事がうまくいったら「やっぱりね!さすがだよね!」と伝えていました。
ネガティブなイメージを払拭したい強い気持ちをプラスのエネルギーに変え、母親ならではの細やかな視点による対応の積み重ねで、息子は成長していったのだと思います。
周りの人には分からない、我が子ならではの素晴らしいところがたくさんありますよね。一生懸命育ててきたお母さんの子どもは、まだまだすごい能力があります。
母の対応次第で子どもはどんどん発達します。子どもを信じてくださいね。応援しています!
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執筆者:秋村若菜
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)