新年度がスタートしました!この1年で、発達障害の子どもの「得意」をどんどん伸ばしていきたいですよね。子どもの得意を伸ばすための、親子のコミュニケーションについてお伝えします。 |
【目次】
1 発達障害の子どもとのコミュニケーションが子どもを伸ばす!
2 子どもの「得意」を知るためにお母さんが勉強する必要はありません
3 子どもの得意を伸ばせるコミュニケーションのポイントー「言わせ上手」になる
4 質問上手になれば言わせ上手なお母さんになれる
1.発達障害の子どもとのコミュニケーションが子どもを伸ばす!
子どもが成長していくことを望まないお母さんはいません。どんなお母さんも、子どもの得意なものを伸ばしたい苦手なものを克服させたいと思っていらっしゃるはずです。
では、子どもがどんなことを得意としているか、どんなことを苦手としているか、お母さんはどうやって把握しますか?
幼児だったり、おしゃべりが上手でなかったりする場合は、子どもの行動を観察して大まかに把握するしかありませんが、大半のお母さんは子どもとの会話から詳しく知ることができます。
発達障害の子どもの場合、得意なことと苦手なこと、好きなことと嫌いなことのギャップが大きいですよね。
何が得意で何が苦手なのかを、しっかりと把握することが発達支援の第1歩になります。
子どもが得意なものについては“何が得意なのか”、“どうして得意なのか”、“何がきっかけで得意になったのか”を把握し、さらに伸ばすためにはどうしたらいいのかを考えることができます。
一方、子どもが苦手なものは、“何が苦手なのか”、“どうして苦手なのか”を把握することで、
どんな方法だったらできそうか、どういうステップで克服するのか、そもそも克服しなければならないことなのか検討することができます。
発達障害の子どもたちの「苦手」は、脳の特性からきているものもあります。
本人がどんなに努力しても、思ったように改善しないかもしれません。
「そもそも努力して克服しなければならないものなのか」という視点は常に持っておきましょう。
得意なことは子どもの方からどんどん教えてくれますが、苦手なものについては、「話すのも嫌」という子どももいると思います。そこを話してくれるかどうかは、親子関係が大きくかかわってきます。
どんなことでもお母さんは受け止めてくれる!お母さんに話したら何とかなるかもしれない…
そんな無条件の安心感があると、子どもは自分から助けを求めてくれます。子どもがそんな風に思える為には親子関係が円滑であってこそです。
子どもの気持ちや行動を無視したり否定するのではなく、認めて受け入れて褒めるという習慣をつけていれば、おのずと信頼関係は強固なものになるはずです。
親子関係が円滑であるためには、親子のコミュニケーションがスムーズであることが重要なのです。
2.子どもの「得意」を知るためにお母さんが勉強する必要はありません
子どもをもっと伸ばしたい!得意なことはもっと得意になってほしい!発達障害だからこそ、得意なことを武器にしてほしい!
そう考えていらっしゃるお母さんは、まず子どもの話をしっかり聞くことが必要です。
一口に「得意」と言っても、例えば、バスケットボールならドリブルが得意!スリーポイントシュートが得意!とさまざまな切り口が存在します。
子どもが、
「バスケってすごく楽しいんだ!」
「今日もシュート、たくさん決めたんだ!」
と報告してくれたとき、
「バスケってすごく楽しいんだ!」
「今日もシュート、たくさん決めたんだ!」
と報告してくれたとき、
「よかったね~バスケ、上手いんだね!」
と応じることは、どんなお母さんもしていらっしゃると思いますが、子どもの得意を伸ばしたいならもっと
踏み込むことが必要です。
と応じることは、どんなお母さんもしていらっしゃると思いますが、子どもの得意を伸ばしたいならもっと
踏み込むことが必要です。
「今日は何点決めたの?」
「それってスリーポイントも入ってるとか!?」
「ポジションはどこなの?」
「それってスリーポイントも入ってるとか!?」
「ポジションはどこなの?」
お母さんが質問して、子どもが質問に答えてくれたらその回答を認める、を繰り返します。
「へぇ~!○点も入れたの!」
「スリーポイントってかっこいいね!」
「ポジションは○○なんだ!」
「スリーポイントってかっこいいね!」
「ポジションは○○なんだ!」
子どもの答えに「すごい!」という感情を乗せて返せばOKです。
子どもが得意なものについて、お母さんが全く知識がないということもあるでしょう。
全然知らないから、どう質問したらいいか分からない…と考えるお母さんもいらっしゃると思います。お母さんは難しく考えなくていいのです。ましてや「子どもに質問する為に勉強しなきゃ」と思う必要もありません。
「分からないなら子どもに教えてもらう」でいいのです。
子どもはお母さんに分かるように説明する必要があるので、情報を整理したり、より分かりやすい表現を考えたりしなければなりません。
情報を整理する過程で分からないことが出てくると、調べたり、誰かに聞いたり、より深く知ることができます。
お母さんに経験があれば、ついついアドバイスしたり口出ししたりしたくなってしまうもの。お母さんに知識や経験がなければ、たとえ間違っていることを言ったとしても、子どもは否定されず、自由に話すことができます。
お母さんが「知らない、分からない」ということはデメリットではないのです。
お母さんは子どもの得意な活動そのものについて勉強する必要はありませんが、子どもがもっと興味を持って、やる気と自信を持って活動を継続できるようなコミュニケーションの方法を、知っておく必要があります。
3.子どもの得意を伸ばせるコミュニケーションのポイントー「言わせ上手」になる
発達障害の有無にかかわらず、子どもは得意なことなら自分から話してくれることが多いです。子どもにたくさん話をさせればさせるほど、子ども自身の情報が整理され、お母さんも子どもをより深く知ることが出来ます。
子どもにたくさん話をさせるためには、お母さんの「聞く」姿勢がポイントになります。
「聞き上手」という言葉がありますが、単に聞くだけではなく「言わせ上手」になりましょう。
「言わせ上手」になるコミュニケーションのポイントは3つ、
①受容
②傾聴
③質問
②傾聴
③質問
です。
受容とは、子どもの話をありのまま受け入れること。否定せず、付け足しもせず、話を最後まで聞くということ。
知識や経験のあるお母さんは、まずはアドバイスや口出しをしないようにする必要がありますし、経験がないお母さんも分からないからといって、話の途中で質問したり、まとめたりするのは避けましょう。
これって意外に難しいんです。
発達障害の子どもで、言葉の発達がゆっくりなタイプだと、なかなか言葉が出てこないことがありますよね。お母さんがついつい「〇〇っていうこと?」とヒントを出してしまうこと、ありませんか?
一方で発達障害でも、言葉の発達が進んでいると、お母さんが分かっているかどうか関係なくぺらぺら話してしまいます。
ついついお母さんは「ふーん…」と聞き流してしまったり、「ちょっと待って!」とストップさせてしまったりすることありませんか?
まずは「黙って聞く」を意識してください。
そして傾聴です。子どもには、「お母さんはあなたの話をしっかり聞いているよ」と感じてもらう必要があります。
どんなに楽しいことも、相手がつまらなそうに聞いていたら、話すのをためらってしまいますよね。相手が真剣に、興味を持って聞いてくれるからスムーズに話すことができるのです。
アイコンタクトしたり、適度なうなづきがあると、安心して話すことができます。
4.質問上手になれば言わせ上手なお母さんになれる
まずは子どもの話を、最後までしっかりと聞いてあげることがとても重要です。その後、子どもの興味を深め、情報を整理しやる気を刺激していきます。
それが「質問」です。
子どもが話したいことを話すだけでは、お母さんも全体像が見えにくいですし、子どもの視野を広げることはできません。
お母さんが質問をすることで、情報の整理を深めたり、違う視点を得たりすることができます。
前述のバスケットボールの会話で考えてみましょう。
子どもが
「バスケってすごく楽しいんだ!」
「今日もシュート、たくさん決めたんだ!」
と報告してくれたとします。
「バスケってすごく楽しいんだ!」
「今日もシュート、たくさん決めたんだ!」
と報告してくれたとします。
お母さんは
「今日は何点決めたの?」
「それってスリーポイントも入ってるとか!?」
「ポジションはどこなの?」
と質問をしてみましょう。
「今日は何点決めたの?」
「それってスリーポイントも入ってるとか!?」
「ポジションはどこなの?」
と質問をしてみましょう。
子どもはバスケットボールを始めたばかりで「シュートが入る」という行動の楽しさだけを感じているかもしれません。
そこで「何点決めたの?」と質問することで、シュートが得点になり、得点が勝敗を決めるという気付きを与えることができます。
また、「スリーポイントシュート」という具体的な名前を出すことで、「スリーポイント、今日はたくさん入った!明日もたくさん入れるぞ!」と自分の得意分野の自覚を促したり
「まだスリーポイントはしたことがないから今度練習しよう!」と、新たな目標を作るきっかけを与えることができます。
シュートの名前やポジションについては、知識のないお母さんが具体的な名前を出すことは難しいと思いますが、これは「子どもに教えてもらう」を意識すれば大きな問題ではありません。
「シュート」という単語が出れば、
「どんなシュート?」
「お母さん見てみたいからやってみてよ」
「シュートってどんな種類があるの?」
「お母さん見てみたいからやってみてよ」
「シュートってどんな種類があるの?」
と広げていくことができます。
好きなことならスムーズに教えてくれる可能性が高いですし、言葉で表現するのが難しければ「やって見せてもらう」という方法もあります。
やって見せてもらったときは、お母さんがそれを言語化してあげれば、言葉の表現も広がります。
質問を重ねて、子どもから様々な情報を引き出し、お母さんがまとめて整理してあげると、子どもは理解を深められますし、問題点を発見して解決の方法を考えたり新しい目標を持ったりすることができます。
お母さんが情報をまとめるには、まとめられるだけの話の量を確保しなければなりません。いかに子どもにたくさん話をさせるか、話が広がりやすい質問をするか、「言わせ上手」さが求められています。
子どもの話をしっかり受容し、話しやすいような雰囲気を作り、質問してどんどん話を深められると、子どものやる気も刺激され、活動への取り組みはより積極的になり、結果としてますます得意になっていきます。
お母さんとのスムーズな会話で、親子関係もより円滑になり、より楽しく会話することができます。
今年度は、聞き上手を超えて「言わせ上手」なお母さんになってくださいね。
執筆者:丸山香緒里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)