漢字が覚えられないからと言って、ひたすら書いて覚えていませんか?3年生からは特に難しくなります!発達障害のお子さんには覚えられない原因があり、視覚優位・聴覚優位など認知特性を生かすと楽に覚えられます。小学生のわが子に合う覚え方をご紹介します。
【目次】
1 日本人なら漢字は避けて通れない!
2.漢字が覚えられない!発達障害の小学生が漢字を苦手とする原因
3.漢字学習の前にチェック!手先のコントロール
4.発達タイプ別・漢字を覚える方法
①視覚優位タイプ
②聴覚優位タイプ
③思い出すのが苦手なタイプ
1.日本人なら漢字は避けて通れない!
子どもが小学校に入学すると、「授業についていけるかどうか?」はお母さんの大きな心配の1つですよね。
どの教科が苦手で、どの教科が得意なんだろう?と気になる方もおられると思います。
・これから先、国際化がもっと進むから英語は得意になってほしいな!
・手に職をつけるならやっぱり理系!算数と理科がポイントだ!
など、いろいろ考えていらっしゃるかもしれませんね。
いろいろなご意見があると思いますが、私自身は国語が一番重要だと考えています。
子どもに国語力があるかどうか、つまり日本語をしっかり理解できているかどうかは、国語の成績だけでなく他の教科にまで影響してくるからです。
日本の教科書は英語を除いてすべて日本語で書かれています。つまり、教科書を読んで理解できる『国語力』はどの教科でも必要なのです!
そして、日本語の文章では避けて通れないもの、それは「漢字」です。
英語はアルファベット、中国語は簡体字や繁体字のみで文章をつくりますが、日本語は50音のひらがなとカタカナ、そして無数の漢字を織り交ぜて文章をつくります。
しかも漢字には音読み・訓読みなど、たくさんの読み方があります。さらに学年が上がるにつれて、文章の漢字含有率はどんどん上がります。
小学校低学年の頃は、漢字が読めなくても前後の文章で何となく意味が理解できるかもしれませんが、いつまでも通用しませんよね。
小学校1年生の夏休み明けから漢字学習が始まり、3年生くらいから難しくなります。
漢字学習は高校生になっても続き、一生漢字を使った文章に触れ続けるのです。
まず、小学1~3年生の低学年の段階で苦手意識を持たないようにすることが、とても重要になります。
嫌で嫌でたまらないものをこの先ずっと勉強していくことは、苦痛でしかないですよね。
2.漢字が覚えられない!発達障害の小学生が漢字を苦手とする原因
発達障害やグレーゾーンの子どもが漢字が覚えられない原因はどこにあるのでしょうか?
・バランスが取りにくい
・画数が多くてごちゃごちゃしている
・書き順が指定されている
・そもそも鉛筆を持って書くことが嫌!
というお子さんもいると思います。
発達障害やグレーゾーンの子どもは、目で見ることが得意な「視覚優位」のタイプが多いといわれています。だからしっかり見れば漢字は大丈夫!と思われるかもしれません。
実際は「視覚優位」の子どもは一瞬だけ見て理解するタイプが多く、じっくり細部までしっかり見ることが苦手な子もいるのです。
漢字が複雑になればなるほど、注意深く見ることが苦手な発達障害の子どもたちは、漢字が全然覚えられない!という事態になりがちです。
なんとなく書けてはいるものの、点や線が足りなかったり、多すぎたりすることもあります。
少しでも間違えていたら丸がもらえない、これが漢字学習の怖いところです。算数だと途中式だけでも点をもらえる場合がありますが、漢字はそうはいきません。
「ここまではできた!」というのがなかなか評価されないのです。子どもの自信はどんどん失われていきます。
さらに、何度も同じ漢字をひたすら書く「繰り返し学習」が主流。
子どもができないことを繰り返しやらせるので、完全に「漢字なんて嫌い!」と悪循環になってしまうんです。
そこでお母さんが、おうちで漢字学習をどうサポートしていくかが大切になってきます。
3.漢字学習の前にチェック!手先のコントロール
漢字が書けない!という子どもに対して、お母さんはどんな風にアドバイスしていますか?
「ちゃんと見て覚えるまで書きなさい!」というのは、よくやってしまいがちなアドバイス。でもあまり効果がない子どももいます。
実際に漢字を書くときのポイントについて、考えていきましょう。まずは鉛筆がしっかり握れているかです。
漢字は画数が多くなるほど、細かい線をたくさん書くことになります。手先のコントロールがしっかりできていなければなりません。
最近の小学生は、教科書によっては1年生の秋ごろから「青」「空」「見」「学校」など、画数の多い漢字を学習します。
鉛筆の持ち方が安定していなかったり、すぐ疲れてしまって長時間持てなかったりする子は、すでに1年生の2学期ごろから漢字学習について行くのがしんどくなる可能性があるのです!
折り紙で手と目の動きを一致させたり、お箸で豆を移動させたり、遊びのひとつとして少しずつおうちでやってみることは、手先のコントロール力をアップさせるのにオススメです!
4.発達タイプ別・漢字を覚える方法
漢字を何度も何度も書いて練習する。反復して練習するのは、記憶を定着するのに一定の効果がありますが、それ以上にしんどいものです。
書けるようになった漢字を何度も書く必要性を感じませんし、書けない漢字を何度も練習するのが苦痛です。
学校の先生は、まだまだ反復学習が主流。漢字学習のスタイルは、何回も書く前提のドリルやワークがあったり、宿題で〇回書きましょう、というスタイルだったりしますよね。
反復練習することで書けるようになる子もいますが、
・何度繰り返し書いても覚えられない
・子どもが苦痛に感じている
という場合は、反復学習が合わないということ。お子さんに合った漢字の勉強法を探していく必要があります。
今回は発達特性のタイプ別に、おすすめの漢字学習方法をレッスンしていきますね!
◆①視覚優位タイプ
先ほども解説した通り、視覚優位タイプのお子さんは見て理解するのが得意。でも細部までじっくり見るのは苦手です。 そのため、全体のバランスや細かい線や点・数の把握がどうしても不十分になってしまいます。
例えば、漢字の「字」 という文字なら、うかんむりと「子」に分解して色分けして示し、うかんむりは小さく、「子」はうかんむりのなかに大きめになど、位置関係をおさえていきます。
このように、漢字を分解することで、「まず上だけ見て」と注目する部分を限定することができます。見る範囲が狭くなることで、細かい部分にまで目が届きやすくなります。
◆②聴覚優位タイプ
聞いて理解するのが得意なタイプの子は、書き順を言語化して声に出しながら書くのがおすすめです。
私の息子もこのタイプですが、例えば
「川」という漢字だと、「下に、下に、下に」
「田」という漢字だと、「四角書いてたて・よこ」
など、自分なりの書き方を言いながら書いています。
書き順は当然間違っていますが、私が小学生時代に学習した書き順と、息子が学習している書き順が異なっている字もあります。
書き順にこだわって、せっかく正しく書けているのに「やり直し!」というと、子どもは確実にやる気を失います。まずは、漢字が書けることが大事!書き順はスルーするのがおすすめです。
大人になってから、「書き順が違う!」なんて指摘されることはありませんからね!
◆③思い出すのが苦手なタイプ
発達障害・グレーゾーンで記憶に課題があるお子さんは、
・そもそも覚えられない
・覚えても思い出せない
・覚えられないし、思い出せない
という3タイプいます。
思い出すのが苦手なお子さんには、スマホの手書き機能がとても便利です。漢字の一部分でも覚えているなら、スマホの手書き機能で分かっている部分だけでも書いて検索してみましょう!
手書き機能を使うと、候補が複数表示されます。似ている漢字から正しいものを選ぶのも勉強になりますし、漢字辞典をひくよりもラクにできますよね。
一部分だけでも覚えていた!というのは子どもにとって自信になりますし、このような体験をすることで記憶が強化されることになります。
また、将来的には手書きよりパソコンが主流になりますから、「候補から選べる」というのも、十分漢字の練習になると思います。
もちろん、楽しく覚えるために、漢字カルタやゲームのなかで覚えるのもアリ!なるべくわかりやすく、子どもが楽しいと思える方法を考えましょう。
わが家では、ドリルやアプリなどさまざまな学習ツールを試しました。
最終的に行きついたのが、私がオリジナルの例文を作って、1回だけ漢字を書くスタイル。
息子の大好きなポケモンを取り入れて、
リザードンがおなかの (うえ) に (ご) ひきいる
など、場面が思い浮かぶような、楽しい例文のなかで1回だけ漢字を書くのがピタリとはまりました。
ポケモンが大好きな息子は、楽しく毎日ノート2~3ページも取り組んでいます!
同じ漢字は、日を変えて、例文を変えて取り組むことで、飽きない工夫をすると、宿題の漢字練習の合間に、休憩がてら取り組むようになりました。もちろん定着もばっちりです!
漢字を覚えるには、ただ書くだけでは十分ではありません。お子さんの発達特性に合う覚える方法を選ぶと、楽に取り組め、覚えやすくなります。
ぜひ今日から試してみてくださいね!
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執筆者: 丸山香緒里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)