学校の再開が近づいている中、集団生活が苦手でトラブルを起こしやすい発達障害の子どもに不安を感じていませんか?そこで今回は今からでも間に合う、学校トラブルを解消するためのおうちトレーニングを紹介します。 |
【目次】
1.集団生活の再開に不安を感じていませんか?
新型コロナウイルスの影響で学校が臨時休校になり、もうすぐ3ヶ月が経ちますね。
緊急事態宣言が解除され、分散登校が始まっている地域もあるなどだんだんと学校再開に向けての動きが進んでいます。
しかし、「やっと学校が再開する!」とホッとする一方で、発達障害のお子さんを持つお母さんは、集団生活が再開することに不安を感じている方もいるかもしれません。
発達障害の子どもは、集団生活が苦手でトラブルを起こしやすい傾向があります。昨年度は
・空気が読めずにお友達とトラブルになってしまう
・1つ1つ丁寧に説明しないと集団生活についていけない
・失敗しても次の機会に活かすことができず、同じ過ちを繰り返す
などの困りごとを先生から指摘されたり、悩んだ経験はありませんでしたか?
こんな風にトラブルが多い子どもは「自分勝手」「やる気がない」「怠けている」などと思われてしまい、叱られる機会も増えがちです。
ところがこれらの学校生活のトラブルは、脳のある部分が未熟なことが原因で起きているんです。
つまり、子どもの努力不足でもお母さんのしつけが悪いわけでもないんですよ。
でも大丈夫です!トラブルの原因となっている脳のある部分は、お母さんの声かけとおうちトレーニングで発達させることができちゃうんです。
学校が再開しても、おそらく分散登校や短縮授業などの措置が取られ、本格的な集団生活はまだ始まらないのではないかと思います。
つまり、学校トラブルをなんとかしたいのであれば今がチャンスです!
そこで今回は、学校のトラブルを解消するおうちトレーニングをお伝えしていきます。
2.発達障害の学校トラブルは脳の発達が原因!
では、子どもの学校トラブルに関係する脳の部分とはどの部分なんでしょうか?
答えは、脳の「理解をするエリア」です。
私たちの脳には
目や耳から情報をインプットする
↓
理解したり考える
↓
行動したり話すことでアウトプットする
という一連の流れがあります。つまり「理解をするエリア」は目や耳、皮膚などの様々な感覚器官から情報を集めて分析をする、とても大事な役割を果たしているんです。
さらに、情報分析には
・本や会話の内容などの言語情報をもとに物事を理解する
・相手の表情や場の雰囲気などといった非言語情報をもとに、物事を理解する
という2つの方法があります。
実は発達障害の子どもは2つ目の「非言語情報をもとに物事を理解する」ことが特に苦手な傾向があります。
そのために空気が読めないなどのコミュニケーションの苦手が目立ってしまうのです。
さらに発達障害の子どもは、ワーキングメモリという情報処理能力が弱いことも指摘されています。
そのために、目的を覚えておいたり、見通しを持って行動することが苦手な傾向があるんですね。
学校生活の中では、
・先生の指示をもとに自分で段取りを考えて動く
・周りの状況を見て、自分のやるべきことを考え実行する
・自分の行動を振り返って次に活かす
など自分で状況判断をして行動することが求められる機会がとても多いです。
ところが、脳の「理解する部分」の発達が未熟であったり情報処理能力が弱いために適切な行動を取ることができず、発達障害の子どもは自信を失っているんです。
3.学校トラブルを解消するおうちトレーニングとは?
ではここでは、学校が本格的に再開する前の今だからこそやってほしい、おうちでできるトレーニングを2つ紹介します。
◆お母さんとのコミュニケーション
1つ目はお母さんとの1対1のコミュニケーションで成功体験を積ませてあげることです。
先ほどもお伝えしたように、発達障害の子どもは空気を読んで適切な行動を取ることが苦手なため、普段から自信を失う機会が増えがちです。
だからまずは、お母さんとのやり取りの中で正解を教えてあげてほしいのです。
・お手伝いをしてくれたら「よく気づいてくれたね!助かるよ!」
・お母さんの「痛っ!」という声に「どうしたの?」と言ってくれたら「心配してくれてありがとう!優しいね!」
こんな風に「空気が読めている」瞬間を見逃さずに褒めることで、「この行動は正解なんだよ」と子どもにしっかり理解させてあげてほしいんです。
こうやってお母さんに褒められることで自信がつき、だんだん空気が読める場面が増えていきますよ。
◆創作遊び
先ほどもお伝えしたように、学校生活の中では自分で考えて状況に合わせて行動することが求められる場面はとても多いですよね。
そこで学校トラブルを解消するためには、遊びを通して状況分析力と段取り力をアップさせることが効果的なんです。
オススメなのは、条件をつけて1つの作業に取り組ませることです。
・「5分以内でプラレールのレイアウトを作る」など制限時間を設けて子どもの好きなことをやらせる
・「300円以内でコンビニでおやつを買う」など使える金額を決めて買い物をさせる
など様々な方法があります。
中でも我が家の息子が好きなのは創作活動です。
我が家の息子は発達障害グレーゾーンの小学2年生です。この休校中は「ダンボールとガムテープで好きなものを作ろう」と材料を指定して、創作活動をさせてみました。
そこで息子が作成したのは、電車と家です。
電車に関しては、自分が入れる大きさの車両作りから始まり、運転台や操作レバーなどを作成していました。
家に関しては、開閉式の扉や中に設置するベッド、ポスト、さらには公園を併設させて鉄棒やトランポリンなどの遊具まで作成していました。
こうやって材料を最初に指定することで
・この材料で作れるものは何だろう?と自分で考える
・目的のものを作るためには、どうすればいいのか段取りを考える
・段取りをもとに実行していく
・失敗を繰り返して、うまくいく方法を見つける
というように、「自分で考えて状況に合わせて行動する」という力を鍛えることができるんですよ。
さらに、子どもの脳を発達させるために大事なのはお母さんの声かけです。
・「何を作ってるの?」と興味を示す
・「細かいところまでよくできてるね!」と褒める
などと肯定的な声かけをして、子どもにしっかり自信をつけてあげてくださいね。
他にも積木やブロックを使って好きなものを作り、もう1人が正解を当てる「これ何だ?ゲーム」もオススメですよ。
親子で楽しくコミュニケーションを取りながら、子どもの状況分析力を鍛えることができます。
いかがでしたか?
状況分析が苦手で学校でトラブルを起こしやすい子どもに効果的なのは
・お母さんとのやり取りの中で「空気が読めた!」という成功体験を積ませること
・条件をつけて子どもの好きな活動をさせること
の2つです。
残りの休校を有意義に過ごして、スムーズな新学期を迎えてくださいね!
執筆者:森あや
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)