娘は現在、幼稚園に通う4歳です。発達障害グレーゾーンでASD傾向があり不安の症状が強いタイプです。今まで家族で過ごす誕生日やクリスマスで楽しめた経験がありません。せっかくのイベントを笑顔で過ごすためにできることはありませんか?
4歳・女の子のママ
お子さんの一大イベントでもあるお誕生日にクリスマス、家族で楽しく過ごしたいですよね。不安が強いお子さんへの対応はサプライズを意識しないことを前提とすると笑顔で過ごせるようになりますよ。
発達科学コミュニケーションリサーチャー みずおち梨絵
【目次】
1.発達障害のASD傾向がある不安の症状が強い子どもがイベントを楽しめない理由?
子どもにとって一年の中では一大イベントともいえる誕生日やクリスマス。大人になった今でも楽しみにしている人も多いのではないでしょうか?特にクリスマスなんて街中がワクワクしていますよね。
しかし、発達障害の自閉症スペクトラム(ASD)傾向がある不安の症状が強いお子さんの中にはみんなが楽しいと思うイベントを純粋に楽しめないことがあるんです。
プレゼントをもらえて、ケーキも食べられて、あんなに楽しいイベントがどうして楽しくないの〜?と不思議に思われる方もいるかもしれません。
しかし、不安が強いお子さんを育てていらっしゃるご家庭ではあるある!な出来事ではないでしょうか。
イベントが楽しめない理由はお子さんによって様々です。しかし、発達障害のASD傾向がある場合、共通していえることは不安の症状が強いことが根底にあるという場合が多くあります。
例えば、
・真っ暗な部屋でケーキのローソクの明かりだけが灯っているのが怖い
・いつもはない飾り付けが部屋のあちらこちらにあり落ち着けない
・ローソクを消した瞬間、家族の歓声と共に拍手されて自分に注目が集まることへの恐怖
・イベントの流れ自体に見通しが立たない恐怖を感じる
などです。
発達障害のASD傾向がある子どもの中には不安が強いことの他にも、聴覚過敏の症状があることもあります。不安が強くなるとそれらも一緒に顔を出すことがあるんですよね。
不安が強くなることで他の特性や症状が強力なタッグを組んでしまいイベントを楽しめなくさせてしまっているのです。
お母さんとしても、お子さんには楽しくて思い出深い1日にしてほしいと思いますよね。せっかくのイベントで嫌な記憶を植えつけてしまうのはとてももったいないです。
今回は我が家の事例をお話ししながら、イベントが楽しめるようになったコツをお伝えします。
2.誕生日やクリスマスが楽しめなかった娘
我が家の娘は現在、幼稚園の年長さんです。はっきりいって家族で過ごす娘の誕生日にクリスマス、昨年まで楽しめたことが一回もありません。
私は数日前からパーティーの準備を入念にしていました。ケーキは娘の大好きなフルーツがたくさん入っているものを注文し、食事は娘の大好物を並べて…
子どもの喜ぶ顔を想像しながら準備する。よくある光景ですよね。
しかし、誕生日もクリスマスもそのパーティーの時間になると娘は不機嫌になって一緒に食事をしようとしない。なんとかケーキまでこぎつけてもローソクを消した後はなぜか号泣している。
ありとあらゆる娘の反応に、私たちは一喜一憂して疲労感しか残りませんでした。
当然のことながら、誕生日やクリスマスに関しては楽しい思い出なんてありません。写真も泣きはらした顔でぎこちない笑顔を見せる娘の姿ばかり。
もう次からは誕生日もクリスマスもお祝いするのはやめようか?と夫婦で話していたほどです。
イベントのたびにそんな状況を何年も過ごしてきた我が家ですが、そうなる経緯には娘に私たちの想いが一切届いていない時間が流れていたことが分かったんです。
どうやら娘が喜んでくれるだろうと考えやってきたことは、全て親のエゴだったようです。次項でお話ししますね。
3.意識することはサプライズより完全オーダーメイド
毎回楽しくないイベントを過ごすことへの解決策を考えたどり着いたのが、本人にどのようにお祝いをしてほしいかを決めてもらう「完全オーダーメイド方式」の誕生日やクリスマスでした。
そのオーダーメイドは世の中で一般的に行われている誕生日会やクリスマスパーティーとはかけ離れていることも多くありますが、我が家ではこれが一番効果がありました。
発達障害のASD傾向があり、不安の症状が強いお子さんには最適なイベントの過ごし方の一つであると思います。
下記のような内容を子どもと一緒に考えてイベントを企画していきます。
●会の流れがわかるように一連の流れを説明し見通しを立たせる
●ケーキはいる?いらない?果物たくさんのプレートとかがいい?
●ケーキにロウソクはいる?
●誕生日やクリスマスの歌は唄う?
●ローソク消すときの電気はどうする?つけておく?
●お部屋の飾りはした方がいい?
というように、質問しながら本人に決めてもらっての完全オーダーメイドです。
我が家では世間一般的なお祝いと少しかけ離れたパーティーとお話ししましたが、娘の希望は部屋の飾りはなし、ケーキはいらない、ケーキの変わりはメロン丸ごと、歌は唄わず静かに「おめでとう!」と伝えるという内容でした。
親からしたら物足りなさを感じてしまうかもしれません。しかし一番大切なのは子ども自身が楽しんでくれること。親の私たちができることは楽しい記憶として残してあげること。
ASD傾向があり不安の症状の強い子どもにはサプライズよりも事前にわかっているという安心感が重要なのです。その安心感が不安を緩和してくれるのです。
我が家では昨年からこの完全オーダーメイド方式に切り替えました。
親として全くモヤモヤしないといったら嘘になりますが…
しかし娘が終始笑顔で楽しんでいるのを見て、これで良かったんだ!と、とても嬉しい気持ちになりました。その笑顔を見てからは私のモヤモヤも無くなりました。
大切なのは子ども自身が楽しめること!楽しかったという記憶が作られること!優先するのはそこだけです。
ぜひご家族で楽しいイベントを過ごしてくださいね。次回は笑顔溢れるパーティーになりますように。応援しています。
執筆者:みずおち梨絵
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)