不登校の子どもたちは本当に勉強が嫌いなのでしょうか?もしも勉強への取り組み方が変われば好きになるのなら、学習方法を変えてみたいと思いませんか?不登校の子ども達に学ぶことの楽しさを教える家庭教師さんにインタビューさせていただきました。 |
【目次】
1.不登校の子どもの勉強が面白くなる方法探し
2.子どもには、痛くないように勉強を伝えたい
3.教え子を守るためには嘘もつく⁈
4.不登校の子どもを育てるお母さんにできること
5.家庭教師で我が家の息子にも変化が起きた
1.不登校の子どもの勉強が面白くなる方法探し
勉強嫌いな子どもを育てていると、
「なんとかして勉強させたい」
「そんなに深く考えずに淡々とやればいいじゃない」
と親の方がヤキモキしてしまうことってありますよね。
前編では不登校の子どもの家庭教師をしているT先生に、不登校だった男の子が大学へ進学するまでの山あり谷ありな受験勉強のサポートについてお話を聞かせていただきました。
後編では、子どもが勉強や学校へ心を開いていくためのコツや、勉強以外の子どもの興味の広げ方、お母さんの心構えについて聞いていきたいと思います。
―――K君との勉強の進め方を聞いていて、その子の認知の思考方法に合わせた勉強法を相談しながらやっていくというのはとても素晴らしいなと感じました。
「僕は精神医学にも興味があるので、人の認識構造、脳神経のあり方とか、認知のあり方ですよね、これを見抜くというか見てとる学問的方向とか科学的手段が普遍的なものとしてできたら、学校で苦労する子達は減るのかなって思いますね。
今思うと、K君は学校とのぶつかり合いがあったけど、単に学校が悪いわけじゃないんですよね。」
―――そうですね。学校が合う子もいますもんね。
「学校が求めるというか、学校の教育システムにユーザーとしてピタッっと合う子もいれば、そうじゃない子もいる。本当はそのシステムを個人単位で多様に作っていくということができれば、相当みんな救われると、苦しむことが減ると思うですけどね。
アインシュタインいるじゃないですか。
あの人すっかり偉人として思われているわけですけど、あの人もある特定の分野だけ得意で、からっきし他はダメで、大学で一回ずっこけちゃって、物理に関係のない事務所で仕事していたときに論文書いて、それが相対性理論なんですよね。
面白い才能ってそういうところに隠れているんじゃないかなと思うんですよね。」
―――先生とK君が勉強している間は、やりたくない勉強はあったにしろ、対話する中で目標を定めて頑張っていけたって感じですか?
「大きな目標というよりも、むしろ、その都度の課題、試験、宿題とかですね。自分一人では課題をこなすのは苦しいと、Tという男とならそれなりに楽しくできそうだという感じ。ちょこちょことした面白さを求めて2人で集まっていたって感じですね。
先々の目標は大学受験っていうのがあったけど、もっとこう真心に近い目的で言うと、とにかく週に何回か会って一緒に面白く勉強する方法を探すぞっていう目標があったんですよね。」
―――そうやって楽しく勉強について語り合う日が楽しみだったんですかね?
「勉強ということを二人で評論しあうというか、しょっちゅう文部科学省について批判とかしていましたよ(笑)そういう共感ですよね。」
―――学校で信頼できる先生に出会ってこなかったし、楽しく勉強してこなかったし、きっと楽しかったでしょうね。
「そうですね。」
ーーー
学校が好きな子どもは、学校で大勢のお友達と交流しながら学ぶのが楽しいのでしょう。
一方で、学校が嫌い、苦手な子ども達の場合はどうでしょう。
信頼できる、気の合う先生が自分の疑問を解決するために個別に対応してくれる、そんな家庭教師さんに出会えたら子どもの持ち前の好奇心や探究心は更に向上し、自信も高まっていきそうですね。
次に、学校に行きたいけど行けない子どもへの対応方法も教えていただきます。
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2.子どもには、痛くないように勉強を伝えたい
―――他の不登校のお子さんにも教えているんですか?
「今、中学生の男の子にも教えています。僕のお付き合いのあるソーシャルワーカーさんからのご紹介で。その子はタイプが違って、学校に行けないけど行きたくてしょうがないと。」
―――行きたくてしょうがない⁉︎
「そう。だから苦しいんですよね。
その子の場合、学校へ行こうという目標スタイルでやっています。」
―――そういうお子さんの場合、勉強は割と受け入れてくれますか?
「いやいや(笑)それがあんまり勉強しないんですよ!
家庭教師で教えている子や塾で教えてきた子達を振り返るとですね。
ただ大人からすると勉強っていわゆる単なる『勉強』なんですよね。大人から押し付けられた感覚というのを大人になると忘れちゃうんですよね。
でも、子どもによっては、勉強できる素質があるのに、幼い頃に勉強を押し付けられたトラウマティックなものがある。そんな子どもにとって、大人から押し付けられる知識は異質なもの、違和感や不快感を呼び起こす性質があるんですね。
子どもが生活していて、自然に備わる知識とは別で、勉強というのは痛い感じがある。 それを痛くないように、苦しくないように、子どもさん側に伝達するということができればいいなぁといつも思っています。
僕も未だに100パーセントうまくいってますというのはないんですけど、これはうまく伝わったぞ!っていう感覚が10回に1回くらいあればいいかな。」
―――100パーセント伝わってなくても、そんな気持ちで関わってくれる先生がいるというのは嬉しいですよね。
「その中学生の子も、勉強はあまりしないんですけど、学校行くようになったんですよね。学校や親御さんの要求水準からみればほんと勉強していないんですけど。」
ーーー
中学生の男の子は、T先生から苦しくないように勉強の機会を与えてもらえて、自信がついたのでしょうか。
学校が苦手だけど嫌いなわけではない、本当はみんなと一緒に学校に行きたいんだという子ども達。
自分を肯定してくれて自信がついてくると、行動する勇気も湧いてきますね。
3.教え子を守るためには嘘もつく⁈
―――親御さんと連携をとったり、親御さんから要望があったりということはありますか?
「一般に親御さんはちょっとスパルタ的なノリが出ることがあるんですね。
『先生、構わずビシバシしごいて勉強させてください』って。親御さんとしては子どもさんに対してそうなるのは致し方ないというか、自然だと思うんです。
とはいえ、僕の見立てでは、それでまたぎゅうぎゅう締め付けてしまうと結局、当初学校行けなくなったときと同じ状況になってしまう可能性があると思うんです。
親御さんからは、『こうしてほしい』って言われることはあります。
でも『はい!わかりました!』って答えておいて、それが10だったら1とか0.3くらいに薄めてやっているんですよね(笑)
全て0にしてしまうと、今度は僕が家庭教師として関与している意味がなくなくなってしまうので、今子どもさんの状態ならこのくらいはできるというところと、親御さんの気持ちとの間で調整しています。」
―――親御さんには説明していますか?もっと要求を小さくしたほうがいいからと。それとも言わずにこっそり?
「一応説明はします。このお子さんにはこの要求水準は厳しすぎるから、もっとゆったり行きましょうとはお伝えしています。親御さんに下げて伝えた要求水準をさらに下げてそれをお子さんに伝えています。」
―――そのほうが、お子さんもやりやすい感じですか?
「そうですね、基本はやっぱり、その子がいる地点まで降りて行って、一緒に着地するということをしないと、人間は動かないんじゃないかなと思うんですよね。」
―――そういうことを親御さんに説明して、それでも焦ってしまう親御さんもいるかなと思いますけど、折り合いつけてやってらっしゃいますか?
「なんとかですね(笑)ぶっちゃけ、お子さんと親御さんの間に僕が立っているんだと、自分の立ち位置を考えているんです、思い込んでるだけかもしれないけど。
『もういいです、他の先生に変えます』とクビにされても、それは本望ですっていう覚悟、腹をくくってやっている部分が心のどこかにありますね。
親御さんから見たらどう映っているかはわからないんですけど、僕はお子さん側についてるぞっていう意識があります。
といっても、親御さんにもの申そうというのでは全くなくて、お子さんに今何が必要かという点について、自分に対していつも一定の緊張感をもっていたいという感じですね。
その上で、親御さんや他の関与者の方たちと協調・協同してお子さんに関わっていきたいと思っているんです。
ーーー
不登校の子ども達は、学校へ行くエネルギーがなくなってしまうケースが多いです。お休みすれば自宅で自分のペースで勉強できる子もいれば、勉強が嫌いになってしまった、自信がなくて机に向かう気力も出ない等、全く勉強しない子もいますよね。
親としてはついつい焦って色々と子どもに要求したくなると思います。
しかしそのために親子関係が悪化してしまうというケースもあります。もし勉強について子どもと話してみて、子どもがまだ取り組む気持ちがないようなら無理は禁物です。
どうしても何かして欲しいという気持ちを抑えられない場合、勉強のハードルを下げてみましょう。
国数英のような教科ではなくても、好きなテーマの本を読む、ちょっとの時間だけでも鉛筆を持ってクイズを解いてみる等、小さな課題から誘ってみるようにするといいと思います。
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4.不登校の子どもを育てるお母さんにできること
―――T先生のような家庭教師の先生って、世間からみたら少ないですよね。勉強以外で工夫していることなどありますか?
「不登校の子ってなんか作ってるんですよ!K君も折り紙やプラモデルをよく作っていたし、中学生の子は、工作を作るのが好きなんですよ。」
―――先生も一緒に作るんですか?
「木とか鉄とかベアリングとか買ってきて、作っているんですよ。僕が彼の家庭教師を始めた頃、よく一緒にホームセンターに行って木とか材料見に行っていました。
建築に興味あるというので、建築について調べたり。
岡本太郎の研究だって言って、『いつか俺は見にいくんだ!』ってノリになって、ご両親が全国的に飛び回るお仕事をしていて、大阪と名古屋に行く用事があったので、太陽の塔とかあるからって、Tさん一緒に来てって言われて行きました。
とても衝撃を受けていて、その中学生は物づくりのみちに行くのかなーっていう気がしますね。」
―――好きなものを見れる環境をご両親が作ってくれて、先生が一緒について来てくれて、いいですね。では、すごく勉強が嫌いなっちゃっている子なんかは、お母さんはどう対応したら良いと思いますか?
「僕の姉が子育て真っ最中なんですけど、お母さんって本当に重責を担っているなと思うんですね。
お母さんはお母さんのお役目っていうのがあると思っていて、それはご飯を作るとか家事とかそういう子どもさんの命を育てて、子どもさんの存在をオッケーだよって、肯定してあげて応援し続けるっていう気持ちが子どもに伝わっていれば、300満点くらいだと思う。
それに加えて勉強まで見るって、それは一人の人間に対する要求を超えている気がするんですよね。
世のお母さん達にそれを求めるのは申し訳ないって感じがします。勉強とか将来のこととかをサポートするのは社会の役割だと思っていて。
勉強をしたがらない子どもにお母さんができるベストなことは、無理しなくていいよというスタンスを持つ。
ただ、勉強したいと思っているかもしれない、将来そうしたいと思っているかもしれない。なので、それができる人や場所を見つけてあげて繋げてあげるっていうことができるかもしれないですね。
もし、世のお母さん達が不登校の子どもの勉強や将来について苦しんでいるとすれば、社会システムが未熟なんだと思うんですよね。
せめて子どもさんに、『お母さんは一緒にあなたが勉強できるような環境や組織を探そうと思うよ』と。」
―――伝えてあげることが大事ですかね?
「そうですね、きっと見つかると思います。」
4.家庭教師で我が家の息子にも変化が起きた!
今回、様々なタイプの子どもに学校外で勉強を教えてきた家庭教師さんにお話を聞くことができました。
勉強嫌いな不登校の子ども達が、勉強を始めたり学校に通ったりするためには、やはり大人の心配を押し付けても効果はなさそうだなということがわかりました。
子どもの興味を広げてあげる、得意なことを一緒に探してあげるというスタンスがとても大切だと感じました。
本当に子どもの気持ちに寄り添い、得意不得意を考えて勉強に取り組んでいる話を聞いて、私は、T先生のような家庭教師さんに出会いたい!と強く思いました。
お住まいの場所が違うためT先生にお願いすることはできなかったのですが(笑)
ちょうど、我が家の6年生の息子が自分で希望して近くに住んでいる家庭教師さんに来てもらい始めた頃だったので、息子の特性をお話してみました。
・国語、算数、英語はやりたくないと感じているけど社会や理科は好き
・活字を読むのは嫌いだけど漫画は難しくても楽しく読める
・書くことの苦手さもあるけど、喋ることで記憶に定着することができる
・楽しいと思えないと覚醒レベルが低くなり勉強を受け付けない
最初は学校へ行かなくなった地点からの学び直しを提案してくれていたその先生は、息子の特性を聞き、実際の息子の様子を見て方針を変えてくれました。
すると、勉強が大嫌いで5分も机に向かうことができなかった息子は、今では1時間、好きな教科は机に向かうことができるようになりました。
自分の学年を超えた先のドリルを解いたり、漫画を先生と読んでディスカッションしながら記憶を定着させたりしています。
自分で納得した知識に関しては書字も進んでするようになっています。
そして、「勉強楽しい!」と言うようになりました。
勉強が嫌いな子どもは、本当に勉強が嫌いなのではなく、自分が楽しいと思える学問、自分に合った方法に学校で出会えていないだけかもしれません。
家庭教師さんに来てもらうというスタイルは、子どものオリジナルな学び方を作れるという大きなメリットがあります。
まずは、子どもがどんなことに興味を持っているのか私達お母さんが観察し、一緒に楽しみましょう。
更に深く学べるように、お母さんも家庭教師さんと仲良くなり、子どもの様子をたくさん話して、勉強につなげていってもらうと良いですよ。
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執筆者:すずき 真菜
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)