不登校の子どもの将来はお母さんの変化にかかっている!!元不登校の大学生のお母さんインタビュー〜後編〜

 

不登校の子どもを育てるお母さんは自分の時間を犠牲にしてしまいませんか?不登校の息子さんの将来を信じ、教育への想いをブログで発信しているお母さんに、現状の学校教育にとらわれることなく親子で成長できる考え方を教えていただきました!

【目次】

 

1.自分の将来は自分で描く

 
 
小学生や中学生で不登校の子どもがいるお母さんは、
 
 
いつか高校は行けるのだろうか?
大学は?
仕事に就けるの?
 
 
将来が心配になりますよね。 
 
 
前編では、元不登校の現役大学生のお母さんに、小中学校時代の不登校の子どもへの関わり方を教えていただきました。
 
 
 
 
今回の後編では、小中学校時代に丁寧に関わり続けたことで息子さんが自分の希望の進路を見つけ、その後も努力していく姿をどのように見守ってこられたのかを聞いていきたいと思います。
 
 
まずは息子さんが進学した通信制高校の勉強についてです。
 
 

―――通信制高校の勉強で、お母さんがサポートしたことはありましたか?

 
 
「高校1、2年生のときは提出するものが手書きのドリルだったんですね。それは息子が自分でやっていました。3年生からipadが支給されて、課題を入力して送るシステムになったんです。
 
自分の字じゃなくていいんですよ。3年生の課題は全部私がやりました。
 
高校3年の評価は、私の評価です(笑)」
 
 
 
 

―――そうなんですか!

 
 
「本人も、『学校の課題をやるほど暇じゃない。受験があるから。』と言って(笑)」
 
 

―――息子さんに言われて、お母さんも『いいよ』と引き受けたんですか?

 
 
「そうですね。」
 
 

―――いいこと聞きました!そんな手が使えるんですね(笑)

 
 
「その他では、学業面で親が口出しをすることは一切なくて、全て家庭教師さんにお任せしていました。
 
合格するのも経験、落ちるのも経験、どちらでも人生という点では学びになる
 
と思っていたので、結果は一切気にしていませんでした。
 
ただ、息子が話をするときは、いつも聞いてはいましたね。今、思えば本当によく話していた。
 
不登校だったからこそ、築けた関係性だったとも思います。」
 
 

―――大学受験すると決めたときは、どうでしたか?

 
 
「進路に関しては、本人が決めたことはどんな選択でも応援する、という気持ちになっていたので、大学を受験するからといって特別な感情はなかったですね。
 
決めたのなら頑張って!という気持ち。
 
私自身が自分の行きたい道を親に許してもらえなかった経緯があったので、そこは反面教師、子どもには自由に選択させたいという気持ちも実はありました。
 
親の理想や願望が親と子で一致してれば良いけど、親の良かれという気持ちで親の理想を押し付けるのは私は違うな…と思ったんですね。
 
ただ、自分では当時は嫌だと思ったけど、親の言うことに従った結果、『良かった』ということもあります。
 
どんな人になりたいか、自分の未来を自分自身で描くステップが本当に大切だと思います。
 
今は、偏差値にあったレベルの大学を選択するのが普通になっていますが、本心ではなく偏差値で選ぶと入った後で苦しくなると思います。
 
憧れる大人が一人でもいるといいのかなと思いますね。
 
息子には家庭教師さん心療内科の先生がいたので、目的意識を持ちやすかったです。
 
恵まれた環境と感謝しています。
 
そう思うのと同時に、私たち大人がそのような影響を与えうる存在にならないといけないとも思います。
 
子どもが明るく未来を描けるように、
 
自分がなんでもできる存在なんだと思えるように、
 
失敗してもそれを糧にする前向きさを持てるように。
 
私たちも『あんな大人になりたいな』と思ってもらえるように進化していくことも必要かな?」
 
 

ーーー

 
 
Tさんは、息子さんを本当におおらかに見守ってきたのですね。
 
 
不登校経験があり大学進学するとなったら、我が子だったらあれこれ心配して口出ししてしまう予感がします。
 
 
しかし、それでは子どもも不安になったりプレッシャーを感じたりしてしまいますよね。
 
 
Tさんは、息子さんが決めた目標を受け止めて応援しよう!と強い気持ちがあったから、息子さんにとってそのとき必要なことを冷静に判断して応援できたのだなと尊敬します。
 
 
通信制高校の課題を母さんがやるという常識では考えられない行動も、なかなか思いつかないですよね!
 
 
小学校や中学校でもそうですが、学校から一律に出される課題がその子にとって本当にて適しているとは限りません。子どもが立てた目標と、成長に必要なことを上手にすり合わせられる視点を持ちたいですね。
 
 
次に、不登校だったからこそ得られた子どもの力について聞いていきます。
 
 
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2.不登校で好きな人から人生観を学ぶ

 
 

―――大学生になった息子さんを見ていて感じることはありますか?普通に学校へ行っていたらこんな力はなかっただろうなということはありませんか?

 
 
「学校の先生から点数を稼ぐテクニックを学ぶのではなく、好きな人から人生観を学ぶということができたのが良かったです。
 
高学歴−ブランド企業への就職が勝ち組と思う人もいて、親も内心鼻高々ということもまだありますよね。
 
でも、息子はそれでは苦しい人生だったと思うんですね。
 
自分のことに理解を示してくれる方と深く付き合うことを望み、そうしたこと、その方達と付き合う中で、その人の背景部分を知り、考え方や捉え方という部分を学べたこと。
 
これはこれからも人と接する中で活かされることになると思います。
 
その点は本当に良かったです。息子本人もとても楽しそうです。」
 
 

―――不登校でネックになったことはありますか?

 
 
「ネックとなったことは全くなく、不登校が息子らしさの最高の表現だったとさえ思っています。 大衆と同じことを嫌うからこそできたことでもあるけれど、他のお子さんにこれが当てはまるとは思ってはいないです。
 
ただ、私自身に関して言えば、不登校だったことで、私の固定観念が壊れたところもあるので、むしろ、普通に通学していたことを考えると怖くなります。
 
高学歴−ブランド企業就職を望む嫌な奴になっていた可能性高しですね…(苦笑)
 
お母さん達は、勉強が遅れるんじゃないかと心配だと思うけど、やる気になればすぐに追いつけます。心配するなと言っても無理かもしれないけど。」
 
 

―――やってみたら簡単に追いつけたというのは、息子さんが、元々能力が高かった部分も大きいのかなと思うんですが、学習する上で苦手さが強いお子さんだったらどうなんでしょう?

 
 
「学校っていきなり授業から入るじゃないですか。でも、本当は、人から、大人から学べることってたくさんあるんですよ。
 
 
 
 
経験とかね。いろんなことから学べるんだよという話をしてあげると、子ども達も前向きに学びたいと思うわけですね。
 
そうすれば、どんな子でもその子なりに伸びていくと思うんです。それが今の学校教育には足りないなと思います。
 
息子の言っていた学校の不満なんですけど、『教科書の最初から順番に教えていくから、全体像がわからない。』って。
 
だから、最初に全体像を教えてくれて、部分、部分で教えてくれるといいなと思うんですね。
 
家庭教師さんは、受験の全てを知っているから、どこからやっても最終的なところに持って行ってくれるんですね。だから息子の興味あるところから教えてくれて、軌道に載せてくれました。」
 
 
ーーー
 
 
学校に関して、
 
 
「学校に行かないとコミュニケーション能力が育たないのではないか?」
 
「子どもに学校環境が合っていなくても、勉強のために行かせなきゃ」
 
 
と葛藤するお母さんもいらっしゃるでしょう。
 
 
しかし、ただ、学校に行っていればコミュニケーション能力や学力が上がる訳ではありません。
 
 
子どもにとって理解しにくい環境で多くの人に囲まれるよりも、
 
 
子どもにとって安心できて、会話をスムーズにできる方法で接してくれるお母さんや大人とじっくり向き合い育っていく。
 
 
そうすることで、子どもの脳はしっかり発達していきますよ。
 
 
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3.お母さんが変わることも必要

 
 

―――ブログを運営していて、今後意識していることはありますか?

 
 
「今、コロナ禍じゃないですか。どんどん世の中が変わると思うんですよね。社会が変わってきているから、教育も変わると思う。壊れればいいなと私は思っているんですけど(笑)
 
そんな私の思いを伝えていきたいです。昔からの学校という価値観を一旦リセットしてほしいと思っています。
 
世の中の変化にうまく適応していく力がないとダメですよね。お母さんが学校にしがみついていたら、子どもがうまく社会に適応していけないと思います。
 
 

―――どんな学校になったらいいと思いますか?

 
 
「みんな能力差があるしきちっと1年で決められたことをやらなくてもいいと思いますね。順番通りにやる必要はない。
 
今まではよく暗記できる子がいい成績をとっていたけど、考え方を重視する教育にかわっていきますよね。
 
今までの受け身から、自分で勉強する環境作りできるようなところからやって欲しいと思います。
 
みんなと一緒じゃなくていい。
強いところ、弱いところある。
 
今はまだ、角をとる教育をされているので、みんな違っていいという風になったらいいですね。」
 
 

―――子どもが学校へ行かない選択をしたことで、親子時間が増えてお母さん一人の時間がなくなってしんどい想いをしている方もいると思うんですが、Tさんはどうでしたか?

 
 
「不登校初期は多くのお母さんの気持ちと全く同じで、子供が家にいることでイライラしたり、自分の時間を持てなかったりと私も苦しみました。
 
個人的なことを申し上げれば、私の人生のプランとして、息子が入学したら仕事を始め、経験を積んでから独立開業するという未来を思い描いていたんです。
 
小学校入ったらやるぞ!と希望を持っていただけに、『息子が学校に普通に行ってくれればできるのに…』と思ったことは数知れず(苦笑)
 
そのイライラの矛先が息子に向かっていたことは否めませんし、恥ずかしい経験ではあるけど、大切な気づきをももたらしてくれたと今では思っています。
 
ですから、お母さん達の自分の自由がない気持ち、とてもわかります…
 
ただ、今の私が思うことは、厳しいけど、
 
「自分のことばっかり考えるんじゃないよ」
 
ということですね。
 
 
 
 
自由がないと話す方は自分に矢印が向きすぎと私は思います。
 
しかしながら、その経験を経て、自らが気づいて変化していくものと私は思っているので、そのような方に出会っても、
 
『ここをどう乗り切るかはその方次第』
 
と考えています。
 
私の声が届いて何かに気づいていただけたら嬉しいですが、何の変化が起きなくてもそれはそれで普通と思っています。
 
できることなら、お母さん方には子どもの可能性を広げることに目を向けていただきたいですね。逆説的なのですが、そうなることで自分の心の自由が広がりますから。
 
まぁ、それでもイライラすることはあるので、そのようなときに私がしていたことは何だったろう?
 
私は、ドライブが好きだったり、本が好きだったりするんですね。
 
だから、ほんの1時間くらいの時間であっても、車を運転して、TSUTAYAとスタバが併設されているところに行き、コーヒーを飲みながら読書などをしていました。
 
イライラしたら、少しの時間でも場を変える、ということかな?
 
おかげでスタバのスタッフさんとも顔馴染みになり、顔を見たり、話をしたりすることが楽しみに変わってもいきましたね。
 
今でも彼女たちとはプライベートでお友達です。これも不登校がつないでくれたご縁かもです!」
 
 

―――今、コロナの影響で、学生の夏休みも減ってしまった状態で2学期に突入して、不登校が増えるのではないかと思うのですが、不登校で焦ってしまうお母さんにメッセージはありますか?

 
 
「『いいんじゃない』としか言えないんですけどね。むしろその方が、子ども達の未来は明るいと思います。学校ありきでお子さんを見るのはやめて欲しいです。
 
それでもどうしても、お子さんが不登校だと心配になるでしょうが、あなたのお子さんなのですから、『この子は大丈夫!』と信じてあげてください。
 
不登校の子は、いい子が多い。頭のいい子が多い。未来予測やアイデアを出す子が増えるといいと思っています。
 
子どもの頃の教育で嫌な記憶は大人になっても持っているじゃないですか、そんな記憶を持たせたくないですよね。伸び伸び楽しく育つ教育をして欲しいかなと思います。」
 
 

―――お子さんを伸ばす育て方というのは、そのままを見てあげるということですか?

 
 
「『え?』って自分とは違うと思うところを、認めてあげることが必要ですね。
 
お母さんが認めてくれると、やりたいこととか、今まで出てきてなかったことが出てくるんです。お母さんが言葉じゃなくても、認めている雰囲気が出ていれば子どもも才能を出しやすいと思います。
 
お母さんが家という場を作っているので、愚痴、不満の空気で家を満たしてしまうのではなく、お母さんが太陽になって、明るく、軽い雰囲気の家にしてください。
 
家族の不機嫌は家の空気が悪くなるので、子どももビクビク気を使います。お母さんが明るいと、子どもも寄ってきますし、子どもの気持ちも軽くなるので、のびのびと個性が発揮しやすくなるんですね。
 
お母さんの心の変化でお子さんも変わります。
 
お母さん自身の可能性も無限です。
 
不登校を機会により一層輝いて欲しいと思っています。」
 
 

4.不登校は親子の成長のチャンス!

 
 
私たちと同じように、息子さんが不登校になった当初は悩んだTさん。
 
 
息子さんの成長とともに、お母さんの意識も変わったのですね!
 
 
Tさんのブログ「大丈夫!不登校」というタイトル通り、子どもが学校に行かないということになっても、「大丈夫」なんです。
 
 
問題なのは、学校を嫌がったり、拒否したりする子どもに対して落胆してしまう親の言動が、
 
 
「学校も行けない子ども」
「みんなと同じ道を進めない子ども」
 
 
というレッテルを子どもに背負わせてしまうことだと思います。
 
 
これから多様性がより求められる時代において、
 
 
「みんなと足並み揃えて生きていくことが絶対必要なこと」と教えていきますか?
 
 
それとも、お母さんが子どもの強みを理解して、伸び伸び力を発揮できる場を探し、
 
 
「あなたは素晴らしい力があるね!その力を磨いて行こうね」
 
 
と声をかけ続けていきますか?
 
 
お母さんの意識を変えて、言葉を変えていくことで、子どもや周りの関わる人達の考え方も変えることができます。
 
 
不登校の子ども達は、学校ではおさまりきらない素敵な力を持っています!学校の先生達には気付けないような魅力的な能力を秘めているはずです!
 
 
その力に気づいてあげられるのは、24時間一緒に過ごすことができる「お母さん」なのです。
 
 
お子さんもお母さんも諦める人生ではなく、チャレンジできる人生を歩むために。
 
 
 
 
ぜひ、子どもの未来、お母さん自身の未来のために、ポジティブな意識、言葉を作り出していきましょうね。
 
 
Tさんの息子さんの大学受験を支えた家庭教師さんのインタビューもご覧ください。
 
 
 
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執筆者:すずき 真菜
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
 
 
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