年末年始オススメの「雑巾がけ」は、発達障害児の不器用さの改善、字がきれいになるといった療育効果が期待できます。また雑巾がけをやりたがらなかった発達障害の娘と楽しく取り組めたアイディアと雑巾がけによる絵の変化を紹介しています。 |
【目次】
1.年末年始に雑巾がけをオススメする理由
2.雑巾がけを始めるきっかけとなったOTの先生の教え
3.発達障害児に期待できる療育効果
①体幹の筋力がアップし集中力が上がる
②手先の不器用さの改善
③字がきれいに書けるようになる
4.我が家のやりたがらない子どもと楽しくできた!アイディア3選
①雑巾を踏んでかける!
②お尻に敷いてかける!
③両手両足で一度にかける!
5.毎日雑巾がけをした1年間の発達障害のある長女の絵の変化
1.年末年始に雑巾がけをオススメする理由
年末年始と言えば大掃除。家族総出で今日は頑張るぞ!と気合を入れている方も多いのではないでしょうか?
実は、パステルキッズに特におすすめなのが「雑巾がけ」。
水で濡らした雑巾をキュッと絞り、床を雑巾がけする。たったこれだけですが、体が鍛えられるだけでなく、なんと不器用さが改善し、字がきれいにかけるようになるのです!!
この年末年始に「雑巾がけ」を始めてみませんか。
2.雑巾がけを始めるきっかけとなったOTの先生の教え
家庭で雑巾がけを始めたきっかけは、発達障害の娘が5歳の頃に児童発達支援センターの作業療法士(OT)の先生から勧められたことでした。
5歳の年中さんの頃、知的障害もある娘はお絵かきが苦手でした。
その理由をOTの先生はクレヨンを「握る」筋力が育っていないので、クレヨンを持つ時に親指から人差し指にかけてできるアーチが潰れてしまうことが原因であると話されました。
ちょうどOKサインをした時に、親指から人差し指にかけてできるアーチです。
アーチを作れるように、雑巾絞りを練習するようにと言われました。
加えて雑巾がけをやろうとした時に指が丸まってしまい両肩をバランスよく支えられておらず、雑巾をかけることができませんでした。
この体の支え方では手先が不器用のままでクレヨンを持って自由に動かすことが難しいと教えられ、目から鱗が落ちたことを今でも覚えています。
クレヨンしっかり持てるようになるために、手の平で体をしっかりと支えられるようにしましょうと言われました。
幸い娘は片手に持って床を拭くのは好きでしたので、家庭でもできそうだと始めたのです。
3.発達障害児に期待できる療育効果
◆①体幹の筋力がアップし集中力が上がる
雑巾がけは姿勢保持のために重要な腹筋や背筋の筋力アップにつながります。これが弱いと、授業中姿勢が崩れがちになります。発達障害を抱えるお子さんで姿勢保持にエネルギーがいき、授業に集中できないということがよくあります。
体幹を鍛えることで姿勢が良くなり集中力がぐんと上がるのです。
◆②手先の不器用さの改善
手先が不器用な子どもに一生懸命豆をつまむ練習をさせてもなかなか向上しないことがあります。
手先の練習をする前に、その前段階の体の大まかな動かし方や手の平で体を支える力を身につけることが先なのです。
しっかりと両手を肩幅に開いて、手を雑巾につけて体を手のひらでしっかり支えることが、手先の器用さの土台となるのです。
お子さんが雑巾がけをする時の両手をチェックしてみてください。しっかりと指を伸ばし、手の平で両手両肩体の全体が支えられているでしょうか。
指が丸まってしまう場合には体を支えられていない可能性があります。まずは「手をパーにしてごらん。」と楽しそうに声をかけてみてくださいね。
◆③字がきれいに書けるようになる
発達障害を抱えるお子さんで手先が不器用のため字が上手く書けないことがあります。鉛筆をしっかりと持ち文字を「止めるところで止める」「ハネる」などの手の動きが上手く身についていないためです。
そこで必ず子ども自身に雑巾しぼりをやらせてください。両手でしっかりと握らないと絞れません。実は、この握る力は字のきれいさと関係しているのです。
現在、子どもたちの握力の低下が問題視されており、しっかりと鉛筆を持つ手の形がキープできないことで筆圧が薄い、または力が入りすぎて長い時間鉛筆を持っていられない子どもが多いのです。
それゆえ鉛筆がうまく動かせず、はみ出す、やけに丸が大きい、まっすぐ線が引けず字がきれいに書けないということがあります。字が苦手のため勉強が嫌いというケースもたくさん見られます。
始めは水がボタボタ落ちてしまうかもしれませんが、最初にお母さんが絞るのを見せて、お子さんにやらせてみてください。この時のコツはあまり説明をしないことです。
ほぼ無言でお母さんがやるのを見せて、子どもに模倣させてください。だんだんと上手くなってゆくはずです。
ビチョビチョの場合は仕上げ絞りをお母さんがしてあげます。
4.我が家のやりたがらない子どもと楽しくできた!アイディア3選
雑巾がけ良いことばかりですよね!我が家では発達障害の長女が5歳の時から始めて3年になります。
しかし、最初のうちはいざ親が張り切っても、不器用&体をうまく使えない長女はすぐに飽きてしまいました。そして、苦手と思い込んだのか雑巾がけ自体嫌がってしまいました。
そこでピンチはチャンス!楽しくする工夫をしたことで、今では雑巾がけを積極的にするようになり、体幹もしっかりとしてきました。
そんな我が家で実践した親子で楽しくできるアイディア3選を紹介致します。
◆①雑巾を踏んでかける!
小学校でやると怒られるあのやり方を家ではスケートのように楽しんでやらせてみてください。
片足で滑らせるのも良いですし、両足で1枚の雑巾を踏み小刻みに動くのも体幹やバランス感覚が鍛えられます。
この方法で楽しくできてくると自然と手でかける雑巾がけのやり方にも挑戦しようという気持ちになることがあります。その瞬間を逃さずにすぐに「いいね!」と褒めて声をかけてみてください。
遊んでいるうちに‘気づいたら苦手な動作をやっていた’が理想ですね。最初から手をしっかり使って雑巾をかけさせようと思わなくて大丈夫です。うちは半年近くかかりました。
◆②お尻に敷いてかける!
雑巾の上に体育座りのように座り足とお尻の動きだけで進んでいきます。ひょうきん者の長男はこのおふざけの動きが大ヒットでした。
最初はうまく進めなくても大丈夫です。「まてまて〜。」とお尻で追いかけてくるママを見て子どもがクスクス笑ってくれたら花丸です!
お尻が濡れてしまうのが気になる方は乾いた雑巾でやってみてください。
ここでも手は使っていませんが、雑巾がけは楽しいものだと子どもに伝われば花丸です。
そして①と同様にお尻でうまく進めず手を使い始めたらすぐに褒めてくださいね! たとえ2秒でもチリも積もれば山となります!気長に楽しんでみてください。
◆③両手両足で一度にかける!
アメンボのように両手・両足を使い4枚雑巾を使ってかけてみるのも楽しいです。私が上手くできないのを見て子どもたちは挑戦心を燃やしていました。
また長男がやり始めたのですがしゃくとり虫のように雑巾2枚で両手・両足に起き進むのも楽しいです。
大前提として、修行僧のように雑巾を1時間も黙々とかける必要はありません。少しでも取り組めたら花丸と自分と子どもを褒めて、掃除をしてくれたことへの感謝を伝えてください。
ペースに関しても短期間でやるというよりは長い目で親子無理のなく取り組むのが良いと思います。うちも毎週末!と意気込んでも続きませんでした。
気づいた時に、またはお家時間で子どもたちが体を使いたそうにしている時を見計らってやっています。
5.毎日雑巾がけをした1年間の長女の絵の変化
発達障害のある長女が通っていた保育園では年長になると毎日廊下やホールの雑巾がけをします。雑巾を絞るところから加配の先生が丁寧に教えてくださいました。
年中のママの絵と卒業制作で書いたママの絵の変化に驚きました。
・目が2つ並んでいる
・口を描いている
・体や手足を描いている
・はみだしがほとんどない
これは雑巾がけの療育効果により不器用さが改善し、描きたいものを描きたい場所に描く力がついたからだといえます。
家庭で毎日は難しいですが、「チリも積もれば山となる!」です。気づいた時にトライしてみてください。 またお家でやる際には決まった形はありません!
まずは親子で楽しみ、ゆくゆくはしっかりと手の平で体を支えられるようになるためのきっかけとなれば良いのです。
我が家はゆるりと始めて3年になりますが、その雑巾がけの上達に比例して字を書く力が伸びています。
5歳の頃、丸も満足に描けなかった発達障害を抱える娘が、漢字の宿題をやっている姿に成長をひしひしと感じます。
コロナ自粛ムードのこの年末年始はお家で発達障害児を伸ばすチャンスです! 親子で雑巾がけを始めてみてはいかがでしょうか。
発達障害児ときょうだい児をお家でぐんぐん伸ばす方法は他にもあります!
執筆者:今川ホルン
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)