発達障害の診断はないけれど、かんもく傾向のある子。病院に行くことに対し私たちの想像をはるかに超える不安や恐怖を感じています。慎重に対応することが重要です。今回は我が子への対応を通し、安心して病院へ行けるようになる方法をお伝えします。 |
【目次】
1.発達障害の診断はないけれどかんもく傾向の困りごと
お子さんが、
家では元気によく話すし、友達とは話せるけど、先生や他の大人との一対一のやりとりになると声が出なくなる
授業は問題なく受けることができるけれど、音読の授業でかたまってしまい声が出ないなど
そんな様子があると知って、心配されているお母さんもいらっしゃると思います。
このような場面によって話せなくなる「かんもく」傾向が発達障害のお子さんにも見られることがあります。
実のところ診断は受けていない人が多数いらっしゃいます。
しかし、診断を受けていないからと言っても、不安や恐怖という感情が強く、行動が抑制されたり、子ども自身が生きずらさを感じていたりすることも。
かんもくとはいえ、全かんもくでなければ、スムーズに行動できたり、話しができたりする場面も多く周りの理解を得るにも大変なことがあります。
ただのわがままや、恥ずかしがり屋という印象を持たれ、軽く流されてしまうことも。昔からある症状ではありますが、理解して対応してくれることがあまりないのが現状です。
親ですら気がつかないこともあるので、家庭でも無理強いしてしまい悪化させてしまうことも少なくありません。
そのような中、かんもく傾向にあるお子さんを育てる周りの親御さんとお話しすると、よく耳にする困りごとの一つが、病院選びでした。
今はインフルエンザや風邪の時期ですので、病院に行く機会も増えるのではないでしょうか?
かんもく傾向のある子を病院へ連れていくために、何日も前からシュミレーションをしていく人もいるほど大変なのも事実です。
しかし、かんもく傾向のある子の特徴を生かし、病院へ嫌がらずに行ける方法があります!今回は、我が家でも実践している方法をお伝えします。
2.かかりつけ医を決めるのに苦労した過去
我が家も特に困ったのが、病院選びと病院に連れていくことでした。
我が家の娘は幼稚園の年長さん。とにかく不安と恐怖が強く、ある一定の場所では声を出すことができません。
その一定の場所の一つが病院だったのです。
どこの病院でも喉を必ず診ますよね。その際に、先生が「あー」って声を出してね!とおっしゃいます。娘にはそれが苦痛の何者でもありませんでした。
声を出さないことで執拗に出すよう叱咤されたこともあります。それでも出すことができない娘が、帰り道にポツリと一言。
「もうあそこの病院には絶対に行かない!」
病院へ行くたびに、娘の絶対行かない病院リストが追加されていきました。しかも、かんもくということを病院の先生に伝え、しっかり対応していただいたにも関わらず、絶対行かないリストに追加されることも!
私自身も、どこの病院ならOKなのか悩んだ時期がありました。
しかし、かんもく傾向の子には他のお子さんと比べて強い特徴があるのです。それは声に出さない心の声が誰よりも強く深いこと。感受性が高く、周りの空気や雰囲気、人の顔色、声色を一瞬で感じとることができ、自分の中にしっかりとした芯があったのです。
そこをしっかりと把握した上で、対応することが病院選びも通院もスムーズに行くことがわかりました。次項で説明していきますね。
3.病院選びは子ども主体で考えることが不安や恐怖を和らげる
病院選びは、つい近場の小児科や口コミのよい病院を母親だったら選びがちではないでしょうか?
そして、お母さんから見て話しやすいお医者さん、連れていきやすい距離の病院。このお母さん主体の病院選びが、かんもくの子どもを動きずらくさせていたのです。
かんもくの傾向にある子の病院選びは子どもに任せましょう!
かんもくのある子は、一般的に私たちが考えるよりもはるかに深いところまで感じ取っていることがほとんどです。
ですから、子どもの心の声をしっかり聞き取って欲しいのです。かんもくの子は外では話さないことも多いですが、家庭内や安心できる場所では話せることがほとんどです。
例えば、
・「この間の病院の注射、上手だった〜?」
・「お母さんは、〇〇先生良かったけど、どう思った?」
・「〇〇病院と△△病院、どちらが緊張しなかった?」
・「次、予防注射するなら、どこがいい?」
などというように、お子さんの気持ちを聞き出してみてください。
お子さんが伝えてきたことに関して、否定だけはしないようにしてくださいね。最後までお子さんの声を聞いてあげるようにします。
子どもなりに自分で感じ取り、ここなら行ける!という自信がつけば不安や恐怖は必ず和らいできます。そして自分で選択することにより、行動にもつながってくるのです。
ですから、お子さんの答えがお母さんの意に反する場所や先生であったとしても、お子さんの意思を最優先してほしいのです。
現在、我が家では定期的な薬を処方してもらう内科と、予防注射専門に行く小児科とで2つのかかりつけを持っています。歯科についても、3件行った中から娘が1件を希望し定期検診に行っています。
娘がGOサインを出した主な理由としては、先生の対応の引き際がとても絶妙なタイミングということと、注射が誰よりも上手ということだそうです。
当時年中さんだった娘に初めて理由を聞いたとき、ここまで自分の意見を持っているんだと驚きました。
娘に病院を決めてもらったことで、嫌がることも一切なく、緊張の度合いも軽くなっているのが親の私からも見ていてわかるほどです。
家からは少し離れた病院ですが、娘の姿をみて連れていく私も精神的にとても楽になりました。
かんもく傾向のお子さんは、言葉には発しないだけで強く深い想いを持っています。ぜひ、お子さん主体で考えてあげるようにしてくださいね。それは決してわがままではないことも理解してあげて欲しいと思います。
その結果、親子共にとても楽になりますよ!診断がないからと軽視せず、慎重に対応してあげたいものですよね。
お子さんのかんもく傾向が1日も早く良くなりますように、心より祈っています。
かんもく傾向のお子さんへの対応は、こちらの記事でも紹介しています。あわせてチェックしてみてくださいね。
かんもく傾向の子との上手な付き合い方をお伝えしています!
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執筆者:みずおち梨絵
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)