【お悩み相談室】発達障害への対応として、早期療育が効果も高いと聞きますが、不安が強い娘は行きたがりません。良い方法はありますか?

娘は現在、幼稚園に通う年長組の6歳になります。発達障害傾向があり、娘への対応の1つとして療育を考えています。娘は不安が強く行きたがらないのですが、早く始めた方が療育の効果が高いと聞いて焦っています。良い方法はありますか?

 

6歳・女の子のママ

発達障害への対応の1つとして早期療育の効果が高いことは知られています。しかし、不安が強いお子さんには注意が必要です。私が過去に失敗した経験から、療育を受ける意味をお伝えしたいと思います。

 

発達科学コミュニケーションリサーチャー みずおち梨絵

 

【目次】

 

1.発達障害への対応の1つ、療育の必要性

 
 
発達障害やグレーゾーンのお子さんを育てていると、療育を受けるかどうか、一度は考えたことがあるのではないでしょうか?
 
 
以前に比べて発達障害・グレーゾーンに関する認知度も高くなり、自治体での取り組みも進められていますよね。民間の企業でも療育事業を展開しているところが多く存在しています。
 
 
一般的に療育は早期に行うことが望ましいと言われています。乳幼児の時期は、心身の発達が著しく、生きていくうえで必要となる基本的なことや、生活するうえで必要な事を学ぶ大事な時期です。
 
 
その間に療育を行うことで多くの事を習得したり、苦手なことをフォローすることができるとされています。
 
 
早期に発見して、早期に療育につなげる!とても理想的な流れですよね。
 
 
例えば、
 
 
・手先が不器用だったけれど、以前よりスムーズにハサミが使えるようになった
 
 
・集団生活が苦手だったけれど、その場にいられるようになった
 
 
など、早期から行えば効果が出るのも早いかもしれません。
 
 
しかし、自治体ではすでに定員がいっぱいで受けることができない…ということも。そうなるとお母さんも焦り、入れてもらえるときにとにかく療育へという考え方に陥りがちです。
 
 
 
 
しかし、相談者さんのように不安の強いお子さんの場合には少し注意が必要です。我が家にも不安が強い娘がいます。
 
 
今回は、私が過去に失敗した経験を踏まえ、療育を受ける意味をお伝えしていきたいと思います。
 
 
これを読み終える頃には、療育の意味を今一度考え直す機会になっていると幸いです。
 
 
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2.効果も出ないはず!療育へ行かせる意味を取り違えていた過去

 
 
ここで我が家の話をさせてください。
 
 
私の娘は現在、小学校1年生です。娘は相談者の方のお子さんと同じように、不安が強く発達障害の傾向を持っています。私も娘が幼稚園の頃は療育へ通わせることを希望していました。
 
 
とはいえ、我が家が住む地域では自治体が行う療育施設はいつも定員オーバー状態。しかも、やっと空いたと思えば月に1度や、2ヶ月に1回というようなものばかりです。そして、回数が決まっていたり、期間が決まっていたりするものばかり。
 
 
そんなときに、2週間に1回という自治体の療育に入れることになったのです。1時間という療育で、最初の30分は親子一緒に。その後は母子分離という流れのところでした。
 
 
ところが、娘は毎回教室に入るのを拒み、いざ母子分離の時間になったら、口を一文字にして泣くのを我慢している状態でした。
 
 
しかも、療育中はあまりやりたがらない!
 
 
私はやっと入れたんだから!という想いから、やれない娘に対してイライラが募っていきました。
 
 
せっかく療育に行っているのに、これでは効果は出ない!
 
 
いつも帰り道はこんな言葉が頭のなかで回っていました。
 
 
それでも、行くことに意味を見出していた私は、行けば気持ちのどこかで満足していたのです。
 
 
 
 
その当時に通った療育の内容は、娘にとって苦手なことばかり。場面かんもく傾向のある娘に発言を促したり、周りとのコミュニケーションを積極的に取らせたりするものでした。
 
 
私自身も、療育は苦手を克服したり、緩和させたりするためにいくところと思っていました。
 
 
 
結果、残りの回数を多く残し行けなくなってしまいました。娘の中の理由はたった1つ。楽しくないからです。
 
 
ちょうどその頃に、発達科学コミュニケーションと出会い、子どもは楽しいと感じているときが一番脳が発達するということを知りました。
 
 
私がずっと信じて疑わなかった、療育は苦手を克服するところ!嫌なことは積極的に取り入れるべき!という考えが真逆の効果を生んでいたことに愕然としました。
 
 
そのことに気がつかず、行くことで安心しきってしまっていた自分を反省しました。療育はどうあるべきか?を考え、療育の意味を今一度考え直す機会になりました。
 
 
娘がつまらない!と思いながら、いやいや行く療育はいくら早期対応が良いと言われていようが、効果なんて出なくて当たり前です。
 
 
発達を促すためには、楽しい!と子ども自身が感じることが大切なのです。私たち大人も同じ。楽しいと思うからこそ、もっとやりたくなるし、どうしたらもっとできるようになるか考えるようになりますよね。
 
 
ましてや、不安が強い発達障害のある子どもは、ネガティブな記憶を蓄積しやすい傾向にあります。楽しい記憶を作れなければ今後の行動にも影響してしまいます。
 
 
ここに気がついてから、我が家では3つのことを意識するようになりました。次項で説明していきますね。
 
 
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3.不安が強い子の療育、3つの考え方

 
 
今、娘は新たに療育に通っています。疲れているとき以外は拒否することはありません。むしろ、楽しいから行く!という気持ちで取り組んでいます。
 
 
ここにつなげるまでに、我が家では3つの考え方を意識しました。
 
 

◆①「早期」という言葉に惑わされない

 
 
早期療育をおこなえば効果が出るのも早い!に惑わされないでください。確かに前にお話しした通り、早ければ早いなりの良さは確実にあります。
 
 
しかし、不安が強い子はタイミングを間違えてしまうと、今後のトラウマにもなりかねません。せっかくの療育を反対に作用させてしまってはもったいないですよね。
 
 
不安が強い子は時期を見定めて、療育につなげてあげるようにしてくださいね。例えば、
 
 
・少しずつ周りを受け入れるスピードが速くなったな!
 
・最近、自分で気持ちを切り替えようとしていることがあるな!
 
 
というようにお子さんの変化が見られるときを見逃さないのがポイントです。
 
 

◆②お家にたくさんある!療育につながること

 
 
療育に行かない日は、家でできることに注目しました。例えば、
 
 
・食事の支度のときに、レタスを小さく千切ってもらう
 
・お菓子の袋を渡し、ハサミを使いあけてもらう
 
 
などです。
 
 
療育に行けば家でできないことが経験できますが、家でできることも多くあります。そして、今は療育の方法を紹介している本もあるので、お子さんと一緒にやっても良いですね。
 
 
我が家ではバランスボールやトランポリンを一緒にやったりしました。折り紙で簡単なものを一緒に作るのもおすすめです。
 
 
お母さんと一緒なら、安心しながら療育されている感覚なしに、様々な療育効果が期待できますよ。
 
 
しかも、通所する療育は毎日できないけれど、お母さんとの療育は毎日できちゃいます。
 
 
 
 

◆③軸を持って療育に行く

 
 
療育に通うことになったときには、お母さんが軸を持っていくことをお勧めします。
 
 
発達障害傾向のあるお子さんが、この療育に通うことでどんな効果を得て欲しいのか?
 
 
集団の中にただ居ることができたらたらいいのか?ではないですよね。例えば、自分からお友達に声を掛けてみる、お友達が話している間は話さずに待てるなどお友達とのやり取りが楽しめれば良いとか。
 
 
マンツーマンの療育ならば、何かができるようにというよりは、自分にはできる!という自信をつけるきっかけになってくれたら良いとか。
 
 
お母さんそれぞれの想いがあると思います。直接的な効果を期待しがちですが、療育の内容の根底にある様々な可能性を引き出す方に注目してみてくださいね。
 
 
どんなに素晴らしい療育・先生でも、お子さんが楽しい!と感じていなければ効果は半減します。
 
 
また、内容を聞いて、お母さんが同じようなことを家でやってあげると効果も倍増します。
 
 
ときには苦手に向き合わなければならない療育の内容もあるでしょう。しかし、それをカバーできるような内容が盛り沢山の療育に出会えると良いですね。
 
 
娘は現在の療育が、とても楽しいらしく、確実に自信へとつながっています。療育の内容は一般的な内容ですが、そこでは自信を育ててもらえたらと思っています。
 
 
早期だけが、効果が出るわけではないんだ!というのを娘から教わりました。
 
 
子どもの発達を促すためには、楽しいと思いながら取り組むことが一番効果が出るのです。
 
 
一般的に苦手なことを克服することに目が向きがちですが、お子さんの好きから発達を促してみませんか?今まで苦手だったこともいつの間にか克服されていることもあるかもしれません。
 
 
今、療育を迷われているお母さんに届いたら幸いです。
 
 
療育効果の倍増はお家でできます。こちらの記事で紹介していますので、併せてチェックしてみてくださいね。
 
 
 
 
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執筆者:みずおち梨絵
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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