娘は現在、幼稚園に通う4歳です。発達障害の診断はありませんが、最近園でかたまって話せなくなることがわかりました。幼児期のため、年齢も低く相談機関に行くか迷っています。どう伝えたら良いでしょうか?
4歳・女の子のママ
幼稚園に通う娘さんが、園で自分を表現できないことを知った親御さんの気持ちはとても辛いですよね。今回は同じ境遇を経験した私が、我が家の実例をあげてお伝えします。
発達科学コミュニケーションリサーチャー
みずおち梨絵
【目次】
1.発達障害の診断は関係なし!園で黙ってしまう子
2.年齢に関わらず早めの対応が大切だと知った幼児期
◆発達外来に出向いたときのこと
3.相談機関への伝え方はお母さんの情報収集が鍵
◆①お子さんに関わる人・家族からの情報収集
◆②全てを書き起こして相談機関へ出向く
1.発達障害の診断は関係なし!園で黙ってしまう子
皆さんのお子さんは、園やさまざまな場所で自由に自分を表現することができますか?
もしかしたら、この記事を読まれている親御さんは、お子さんが園などで話せなくなってしまっていることにお困りの方も多いかもしれません。
お家ではたくさんおしゃべりをするのに、なぜ幼稚園や家庭以外の場所では話しをすることや自由に動き回ることができないのでしょうか?
もちろん慣れない場所に緊張や不安を感じてのこともあるかと思います。しかし、数ヶ月経っても状況が変わらないようなら要注意です!
そこには、発達障害の診断こそないものの、不安障害に分類される「場面かんもく」という症状があるかもしれないからです。
場面かんもくとは、字のごとく場面により話せなくなったり、体が固まって動けなくなったりすることをいいます。
特に幼児期の5歳未満での発症例が多く報告されています。低年齢のうちに適切な対応をすることでかなりの確率で症状を緩和できることがわかっています。ですので、異変に気がついた時点で早めの受診や相談をオススメします。
場面かんもくを発症することで、年齢が低いうちはまだ困ることも少ないかもしれません。しかし、年齢が上がるにつれ、本人の困り度は高くなることもわかっています。
しかし、相談機関へ出向く際にどう伝えたら良いかお悩みの方も多いと思います。我が家でも娘のことで同じ境遇を経験しました。
受診や相談に行くか?行かないか?どう伝えたら良いか?と思っている方へ届いたら幸いです。
2.年齢に関わらず早めの対応が大切だと知った幼児期
ここで我が家の話をさせてください。
我が家の娘も「場面かんもく」に気がついたのは幼稚園の年少時でした。当時担任の先生から娘の状況を伝えられ、私自身もどうしたらいいか不安な日々を過ごしました。
ネット検索すれば、「発達障害」「いずれ話せるようになる」「様子見で見守る」など全く答えのない状況の中で混乱したのを覚えています。
裏を返せば、かんもくに詳しい専門家は数多く存在しないということだと今になればわかります。
しかし、子どもの成長は待ってくれませんし、娘は話せない状況で困ることも多く出てきてしまいました。
その当時ネット検索に加え、自治体の無料相談、児童館の相談室などさまざまなところに出向きました。すがる想いで相談に行きましたが、求めるような答えはありませんでした。
幼稚園の担任の先生も、かんもく傾向のお子さんは初めてとの話しでした。しかしながら、娘のことをよく理解してくれようと尽力してくれた先生の協力を仰ぎ、状況の情報共有をし、発達外来の門を叩くことを決意しました。
◆発達外来に出向いたときのこと
状況の理解と娘の理解に苦しみ、そのときすでに娘の異変に気がついてから3ヶ月以上が経過していました。
娘に発達障害の診断はないものの、娘は不安や緊張が他のお子さんよりも強いことがわかっていましたので、それも受診をする理由の一つでした。
発達外来に繋がって安心したのも束の間、話せない娘の状況をどのように伝えたら良いか、娘の行動の意味はなんなのか、の理解もなく出向いてしまったことで、限られた時間内に有効な相談ができないという最悪の相談時間を費やしてしまいました。
その当時の医師への相談内容としては、
「こんな場面で話せない!」
「この人が苦手なようです!」
「幼稚園では返事ができないんです!」
など、人見知り?恥ずかしがり屋?と同等レベルに感じられるような説明しかできなかったのです。しかも状況が聞いている医師に届いていない!
とにかく娘のこの状況を知ってほしいという焦りもあり、矢継ぎ早に状況を話したことを覚えています。
挙句の果てには、医師から「まず、お母さんが落ち着きましょうか」と促される始末…
当然のことながら、娘の状況や困り感が発達外来の先生に伝わるはずもなく、今考えたらとてももったいないことをしたな…というのが正直な感想です。
しかし、相談していく中で、とても大切なことに気がつきました。それは、「かんもく」は他人には大変伝わりづらい症状だということです。
なぜなら、場面かんもくというだけあり、場面場面で状況が全く変わってしまうからです。同じ場所でも、そこに存在する状況の背景が違うだけで症状の出方がまったく変わるのです。そこが他人には伝えづらい部分ということがわかりました。
そこで、お母さんの情報収集が鍵だとわかりました。そこに気がついてからは、どこの相談機関へ出向いてもとても有意義な時間を費やすことができるようになりました。
そして、理解してもらうまでには時間はかかりましたが、異変に気がついた時点で行動したことはとても良かったと今は強く感じています。これを読まれている皆さんには、私のような無駄な時間を絶対に過ごしてほしくないと切に願います。
3.相談機関への伝え方はお母さんの情報収集が鍵
忙しい時間を使っての相談は、いかに的確にお子さんの状況を伝え、理解してもらい作戦を練るかが重要です。少しでも意味のある相談時間が過ごせるように2つのことをお伝えします。
◆①お子さんに関わる人・家族からの情報収集
お伝えした通り、場面かんもくは、場面により症状の出方が違ってきます。そこで重要なのが、お母さんの情報収集です。
園の先生や他の家族からの情報はもちろん、普段一番長く接するお母さんの観察は特に重要です。
・どこで話せるのか?どこで話せないのか?
(教室では話せないが、園庭だと話せる)
・家庭での様子
(普段のお子さんの様子)
・お友達との様子
(全員と話せないのか?否か?)
・どのような状況や相手で体が硬直するのか?
(通常の動きも難しくなるか?)
・同じ場所での症状の強弱はどうか?
(例えば、自分の家であっても他人が来ると話せなくなる)
◆②全てを書き起こして相談機関へ出向く
周りの人と情報共有したとき、そしてお母さんが気がついたときには忘れないように常にメモに書き起こすことをオススメします。
場面により症状の出方は様々です。そのため、こまめに書き起こして情報を集めることが重要なんです。
書き起こすことで、お子さんの状況が見えてくることがあります。かんもくを引き起こす背景にある環境も明確になることもあります。
その背景を整えることで症状の緩和につながるので、とても大切な作業なんですよね。
かんもくの専門家がよく言うのが、相談時間内に状況を把握して対応を考えることがとても難しいということです。
本人がいても普段の様子と、今見ている目の前のお子さんとの違いがわからないので、状況が掴めないらしいのです。
いかにお母さんが普段の状況を把握し、伝えることが重要かがわかりますよね。早めの対応を無駄にすることなく動きたいですね。
もちろん、全ての状況を把握してから相談機関や受診に出向く必要はありません。相談していく中で、情報を集めていければ良いです。
我が家の娘はこの対応で幼稚園の約3年間を環境調整してきました。今、小学生になりましたが、学校で話せない、動けないは卒業しました。
繊細な子どもですので、まだまだ環境調整は必要ですが、娘に関する情報量が多いので対応するときにもとても楽になりました。そして、学校の先生などへ伝える際にもスムーズになりますよ。
一人でも多くの人に届きますように!
こちらの記事でも、かんもく対応のご紹介をしています。あわせてチェックしてみてくださいね。
専門家にも伝わらないかんもく症状!これで解決です!
執筆者:みずおち梨絵
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)