買い物で目に付いたものを「コレ欲しい!」と言って、買わないと癇癪、でも買ったらそのあと見向きもしない。本当に欲しいものだった?そんなADHDの子どもが衝動的に物を欲しがる気持ちをコントロールして、考えて買い物ができる方法をお伝えします。 |
【目次】
1.買い物は子どもとの戦い、我慢できない原因は脳にあります
2.欲しいものを我慢できない、悪い習慣を作ったのは私でした
3.子どもの「コレ欲しい!」に対応するには
①子どもが使ってもいいお金がいくらか、はっきりさせる
②「親が買い与えるモノ」「子どもが自分のお金で買うモノ」を決める
③我慢できたら褒める、買っても褒める!
1.買い物は子どもとの戦い、我慢できない原因は脳にあります
発達障害・グレーゾーンのお子さんをお持ちのお母さんは、子どもと一緒に行く買い物が苦痛…という方も多くいらっしゃいます。
特に、注意欠陥多動性障害(ADHD)傾向のお子さんは、衝動性も強く、気になるものがたくさんある買い物では、目に付いたものをすぐ手にとって触ったり、気になることがあるとパーッと走って行ってしまったりします。
「あっ、それ触らないで!」
「ちょっと待って~走らないで~」
と、落ち着いて買い物ができないだけでなく、子どもの行動にイライラしてしまいますよね。
普段の買い物で行くスーパーも、いろいろなものが目に付きやすく、子どもは次から次へと楽しそうなものに吸い寄せられて行きます。その結果、衝動的に手にとったものを、あまり考えることなく「コレ欲しい!」となることも多いと思います。
このようなADHD傾向の子どもの衝動的な行動の原因は脳の特性にあります。
発達障害のあるなしに関わらず、子どもの脳は大人に比べて未熟です。ADHD傾向のお子さんは、目先の利益に目が行きやすいという脳の特性を持っています。
例えば、何か欲しい!となってしまうと、感情のコントロールや切り替えも苦手なので、どうしても買わないと気がすまなくなり、場合によっては癇癪を引き起こしてしまうのです。
2.欲しいものを我慢できない、悪い習慣を作ったのは私でした
我が家もまさにそうでした。
ADHD傾向のある息子は、小さい時から衝動性が強く、一緒にスーパーに行くのが本当に大変でした。
店内で走り回ったり、カートをいたずらしたり、据え置きのビニール袋をくるくる出してしまったり。
困った私は、買い物は義父母と一緒に行ってもらうようにしていました。
待っている間おとなしくしてもらうため、お菓子を1つ買っって食べたり、ガチャガチャをやったり、何とか買い物が終わるのを待ってもらっていました。
当時は、それで待てるならお菓子の1つ、ガチャガチャの1回くらいいいかなと思う程大変だったので、つい許してしまっていました。
しかし、少し年齢が上がってきた頃、いくら大変でも言われるままに買っていては、欲しいと思ったものを我慢することができなくなってしまうのでは…と不安になりました。
そこで、事前に「今日は買わないよ」と約束をしてから出かけるようにしましたが、結局は癇癪を起こして「絶対買う!」と泣き叫び、勝手にカゴに入れるので、根負けして買ってしまっていたのです。
このような対応をしてしまった結果、欲しいと言えば買ってもらえるという悪い習慣がついてしまったのです。
小学生になった頃には、お菓子が買えないからとスーパーで癇癪を起こすことはなくなりましたが、出かけた先でおもちゃや、ゲームのソフトなどを要求してくるようになりました。
どうして高額の物を要求してくるようになったのか?
それは、私がまた間違った対応をしたからなんです。
我が家は、お年玉は基本的に貯金しており、高額なおもちゃは誕生日かクリスマスしか買わない約束をしています。
親としては、お年玉は本人のお金ではあるものの衝動的に使っていては、あっという間になくなってしまうと思い、好きなようには使わせていませんでした。
しかし、お年玉の一部やお小遣いなど、家に子どものお金がいくらかあり、どうしても欲しいモノがあり、それが買えそうな金額の場合、お年玉やお小遣いなど自分のお金を使って買ってもいいか?と聞くようになりました。
欲しい物を買えるだけのお金があるのに、なぜそれを使ってはいけないのかが納得できないようでした。
自分のお金を使ってはいけないのなら、親に欲しいとお願いするしかない、買ってもらえばいい、と思わせてしまっていたんです。
でも、この対応をしていても、目についたものをよく考えずに衝動的に欲しがってしまうことの根本的な解決にはなりませんよね。
では、どうしたら衝動的に物を欲しがる気持ちをコントロールして、考えて買い物ができるようになるのでしょうか?
3.子どもの「コレ欲しい!」に対応するには
そこで今回は、衝動的な子が考えて買い物ができるようになった正しい対応3ステップをお伝えしたいと思います。
◆①子どもが使ってもいいお金がいくらか、はっきりさせる
子どもに、使ってもいいお金がいくらなのか分かってもらうために、貯金箱、小銭入れ等、数箇所に入っていたお金をまとめてみました。
いくらあるのか一緒に数えて、使わせてもいいと考える金額のみ残し、子どもの所持金をはっきりさせました。
それとは別に、年初にお年玉から一部だけ渡すことにしました。
お小遣いだけを貯めたのでは買えないけども、このお金を使わずにいたら、ちょっとした大物を買えるだろう金額に設定することがポイントです。
自分の使えるお金がいくらか把握することで、欲しいと思ったものの値段と比較できるようになりました。
◆②「親が買い与えるモノ」「子どもが自分のお金で買うモノ」を決める
例えば
<親が買い与えるモノ>
本 ― 本が大好きなのでできるだけ買ってあげたい
(タイミングは親が考える)
お菓子― 買い物ついでに買うこともOK
(買わないときは事前に言ってから出かける)
日用品― 洋服、文房具など必需品
<子どもが自分のお金で買うモノ>
ゲーム ー 対戦ゲームをするお金
おもちゃー 誕生日・クリスマス以外の金額の小さいもの
大した決まりではないように見えますが、衝動的に欲しい!となった時に、これを説明すると今までよりも納得してくれやすくなりました。
◆③我慢できたら褒める、買っても褒める!
所持金をはっきりさせて後日、買い物に行った時、レジ横にある1600円くらいのおもちゃを衝動的に手に取り、「コレ欲しい!」となりました。そこですかさず、
「今あといくら使えるんだっけ?」と、子どもの所持金がいくらか聞いたら
「あ、800円だ、買えないね」と一旦諦めました。
今度は近くにあった300円くらいのストラップのような物が欲しい!となったので、
「使えるお金は800円だから、これ買っちゃったら、今月はもうゲームはできないかもね。」
と本来、子どもが考えている使い道を思い出させてあげると
「そうかあ…じゃあやめた!」と考えて渋々ながらも、やめることができました。
そこですかさず、よく自分で考えて決められたね!と褒めました。
また別の日には、スーパーのガチャガチャで欲しい物を見つけ、また「コレ欲しい!」に。その時、絶対欲しいものではないのは分かっていましたが、「本当に欲しい?お金減っちゃうよ?」と確認はしました。
好きなキャラクターのものだったので、しばらく考えた後「やっぱり欲しい!」となり、買うことを許しました。
この時は「ちゃんと考えて買ったんだね」と買ったことを否定はせず、一旦考えてから買えたということに着目して褒めました。
これから数日して、やりたいゲームがありお金が足りないとなったとき、どうして足りなくなったのか、今までの支出を一緒に確認しました。 すると、
「あの200円が余計だったかも…買わなきゃよかった。」
と振り返ることができました。
そこでは失敗しちゃったね、と否定はせず「ちゃんと自分で考えられたね。」と褒めました。
結果的に買ったのに褒めるなんて難しい、と思われるかもしれません。でもここで大切なのは、買ってしまったという結果ではなく、買う前に一旦考えたという行動なのです。
息子はこれを繰り返した結果、衝動的に欲しい!となっても、声をかければ一旦は考えることができるようになりました。
我慢することができた、自分で考えて買い物ができたという成功体験は、子どもの自信にもつながります。是非これをきっかけに、ご家庭でお金のことを、お話してみたらいかがでしょうか?
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執筆者:ごみようこ
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)