小学校3年生ぐらいになると、お友達とのトラブルが増えてくるお子さんがいます。元気いっぱいで活発な子どもさんなのですが、対応を間違うと問題行動が悪化する場合があります。「しつけ」ではない方法で、お子さんの学校生活を充実させましょう。 |
【目次】
1.「9歳の壁」を知っていますか?
発達障害グレーゾーンの子どもが3、4年生になったら、学校の勉強をやりたがらなくなり
学校でのトラブルも増えてきたと悩まれているお母さんはとても多いです。
皆さんは「9歳の壁」という言葉を聞いたことがありますか?
小学校3年生くらいになると、より抽象的な内容の学習へと変わっていきます。
低学年までの視覚的に理解できる学習から、抽象的なものへと段階が上がることにより、つまづきを感じる子どもがでてきます。
もうひとつは、9歳ごろになると自分のことを客観的に見ることができるようになり始めます。自分の気持ちを伝えたり、相手の感情を察したりもできるようになりますが、まだ上手にはできません。
考える力は10歳以降に伸びていくこともあり、9歳だとまだ言葉でうまく伝えられない可能性もあります。
これらのことから、成長過程において、お子さん自身が様々な点に難しさを感じるようになるのです。
2.子どものためにと思ってしつけをしていた過去
お母さんもわが子に注意しないで済むなら言いたくないですよね。
ですが、誰かが言わないと治らないのでは?とも感じていると思います。
その気持ちはよくわかります!
わが子も
「家でしっかり言ってください」
「このままでは心配です」
などと私が注意された経験があります。
そのたびに私は「そうなんだ…。私甘いもんな…」と自覚し、わが子を救うわなければ!ととにかく怒りました。
それが親の役割だと思っていたんです。
しかし、全くの効果なしだったのです…。
ママが大好きな子なので、言い訳をするぐらいで反抗することはあまりありませんでした。
自己主張することもありましたが、私があまり取り合わなかったので、子どもとしては、わかってもらえないことが悲しかったと思います。
そして、良いと思っていろいろ指示していた私の行動に傷ついてもいました。
3.トラブルに対して「しつけ」のしすぎは危険な理由
低学年のうちは、落ち着きがなくても元気いっぱいで過ごす毎日は何の問題もありませんでしたよね。
しかし、9歳ごろになって、だんだんお友達とのトラブルが増えてくると、お母さんも「しつけ」を意識するようになってきます。
しっかりと「しつけ」をしてわが子のトラブルを減らしたいと思う気持ちは私も経験したことなので、よくわかります。
ですが、しつけのしすぎは危険なんです!
実は、発達障害やグレーゾーンのお子さんは、嫌なことが記憶に残りやすいという脳の特性を持っているのです。
学校でのトラブルが増えると、子どもは先生やお母さんに注意されることになります。
担任の先生との相性が悪い場合だと、嫌な記憶もより残りやすくなるでしょう。
状況をよくしたいとの思いから、おかあさんが家でしっかりしつけていかなければ、と思うとどうなるでしょう?
子どものできていないことに注目しがちになるので、どうしても怒る機会が増えていきます。
子どもは「自分ばかり怒られる」と感じてしまい、面白くありません。
そして、お友達が大好きで、人懐っこい子どもでも、最近学校がつまらないな、と感じるようになっていきます。
できないことを一生懸命しつけようとしても、本人には届いてない場合が多く、怒られた記憶、否定された記憶しか残らないのです。
心の行き場がなくなってしまい、自分のことを全然わかってくれない、とも感じることに繋がっていきます。
そうして、
怒りっぽくなる
こだわりが強くなり、友達と小競り合いをする
やる気がなくなる
自分のルールが強くなる
元々の特性が強く出てくる
などになり、トラブルを起こしやすいタイプの子だとトラブルが助長されてしまうのです。
家でも学校でも怒られることが増えると、だれでも嫌になりますよね。これでは、完全に負のループです。
子どもの問題行動が増えたのは、しつけがなっていない訳ではなく、しつけをしすぎだったのです!
では、問題行動はどうしたら良いのでしょうか?
4.正しい対応をして学校生活を充実させるためにできること
私は、まずわが子の日々の生活を充実したものにするために思い切って対応を変えました。
一つ目は、とことんわが子の主張を聞くことです。どんな意見でもいいので、まずは、その気持ちを認めます。
二つ目は、一つ一つできていることを肯定していくことです。できていないことは、一旦、目をつぶりスルーさせます。
そして、とにかく、肯定>否定となるように意識して過ごします。
ここでの肯定することとは、褒めることだけではありません。
「今から△△始めるんだね」「宿題してるんだね」と子どもの行動をそのまま言うだけです。
これも肯定の注目になるのです。
すると、どうなると思いますか?
脳は、実は嬉しいと反応して、成長していくのです!
肯定のシャワーをたくさん浴びると、聞く耳が育ってきます。聞く耳が育つと話の飲み込み方が変わってくるのです。話が理解できるようになると行動も変わります。
もし、褒めることに抵抗があるなら、「ありがとう」を言ってみてください。とても効果的です。
食器を下げてくれた、ドアを閉めてくれた、洗濯物をかごに入れた、など、小さなことでもいいので、たくさん「ありがとう」を言ってあげてください。
しつけを意識したときこそ、肯定の注目と認める言葉をかけることを思い出して欲しいと思います。
しつけなくても子どもは成長することができます!
執筆者:後藤優子
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)