発達障害ADHD傾向の年中の息子は、朝の支度がゆっくりです。時間に余裕を持って起こすのに出発前の準備の時間が足りないことが度々あり大変です。年中になったので、そろそろ一人で身支度を済ませてほしいと思っています。どのように進めていくとスムーズにできるようになるのでしょうか?
5歳・男子のママ
朝はお仕事がある、ないにかかわらず、お母さんにとって忙しい時間ですよね。こちらはすることがありバタバタしているのに、我が子はマイペース。「自分でしてくれたら」と思う気持ちはわかります。今回は、私が我が子にしてみた対応についてお話ししたいと思います。
発達科学コミュニケーションリサーチャー 松尾歩
【目次】
1.朝の忙しい時間に余裕を持つことは難しいのでしょうか?
お仕事がある、なしにかかわらず、お母さんは朝起きてから忙しい時間が続きますよね。
家族の朝食作りにはじまり、学校や幼稚園へ行く準備、その他の家事もいろいろありますもの!
私は子どもが幼稚園入園後数か月してから働き始めました。それまでは子どもの準備だけに気を付けていたらよかったのに、自分の準備も加わって、毎日バタバタでした。
子どもが年少の頃は、時間に余裕をもって起こしているのに、ご飯を食べる時間がゆっくりだったり、着替える前や着替えている途中に遊び始めたり…スムーズにいくことが少なかったです。
そして、親が時間を見ながら「歯磨きしておいで」「もう着替える時間だよ」などと伝えながら身支度を手伝って、なんとか出発時間に間に合わせる、という生活をしていました。
少しのことでも自分一人でしてくれたら、朝から「早く、早く」を連発しないで済むのに、と思いながらも日々の生活を送るので精いっぱいだったのです。
2.子どもが時間にゆっくりでマイペースな理由とは?
発達障害の有無にかかわらず、幼児に時間を守らせようと思っても難しいですよね。
特に注意欠陥多動性障害(ADHD)のお子さんは、
・じっとしているのが苦手
・気が散りやすい
・気になったことをすぐ行動に移してしまう
・見通しを立てるのが苦手
など、脳の特性があります。
ですから、食事中にじっと座って食事をすることに飽きてきたり、気になったことを行動に移そうとして途中で席を立ったりしてしまうのです。
大人と同じように時間の感覚を持つようになるのはいつごろなのかも気になりますね。
時間の感覚は成長とともにだんだんと理解できていきます。
一般的には、小学生になるころに時間の感覚がついてくるようです。小学校では、時計の読み方を習いますが、時計が読めることと時間の感覚がついていることは違います。
入学する年齢ぐらいから、だんだん時間の流れの感覚がついてきて、小学校中学年ぐらいから先のことを見通せる力がついてきて、計画して行動をすることができるようになるようです。
つまり、小学校前のお子さんは、「今」を生きていて、過去のことは昨日のこと、未来のことは明日のことぐらいの時間感覚のようです。
ですから、幼稚園に行くことは理解していますが、あとどのくらいでという感覚が理解しにくいのです。
発達障害のお子さんでは、時間感覚を掴みにくい場合もあり、大きくなった時に自分で時間を管理するのが苦手になることもあります。
3.時計とホワイトボードを使って工夫してみました!
時間の感覚がまだ未熟なのはわかったのですが、これから時間の感覚をつかんでいく前段階としてできることはないだろうか?と考えました。
そんなとき、幼稚園の教室で見つけたのです。
それは、針のない時計の絵とその日の予定を知らせるためのホワイトボードでした。
幼稚園では予定がある日に、時計の絵に時刻を記入して、横に何時から何の予定があるかひらがなと絵で記入してあったのです。私はこれを活用することにしてみました。
まず、裏表で色が違うマグネットに朝することの絵を貼り付けて小さなホワイトボードに準備しました。息子に朝することが終わったら、裏返してもらうことにしました。
次に、時計はまだ読めないかもしれないけど、針の位置はわかるので声掛けを工夫してみることにしました。
具体的には時計の前で、
「幼稚園に出る時間は、短い針が8と9の間で、長い針が4のところだよ」
「長い針が6のところに来たら、歯磨きしに行こうか」
「長い針が8のところに来たら、服を着替えようか」
など、時計を見ることに注意を向けるように声掛けをしていきました。
最初のうちは、「そろそろ針が6だから歯を磨きに行こうか?」と誘い出し、行動できたら、「歯磨きしてさっぱりだよね!」などと伝えて時計の針は動いていることを感じてもらうようにしました。
予定の時間前で違うことを始めた時などは、
「あ、もうすぐで長い針が6になりそうだよ。何するんだったっけ?」
「あと〇〇と△△ができたら、朝の準備完了だよね」
と、なるべく息子がすることを忘れないようにする声掛けもしました。
続けていくと、朝することが習慣化されていくことによって、息子の中でも朝出発前にすることに見通しができていきました。
準備の途中でこちらが声掛けを忘れていても、自分で次のことを終わらせている日もあったりして成長を感じられました。
子どもが一人でできるようになると、朝の忙しい雰囲気は変わりませんが、私自身が余裕を持てるようになれました。
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執筆者:松尾歩
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)