新学期で疲れが見え始めた我が子と、音のある生活でラクにたのしく会話を増やしませんか?発達障害・自閉症スペクトラム(ASD)の子どもの育てたい二つの脳の説明をヒントに、苦手なコミュニケーションを楽しく親子で伸ばすコツを紹介します!
【目次】
1.支援級に通う新一年生!慣れてきた頃?くたびれてきた頃?
2.我が家の自閉っ子娘の幼稚園時代
3.うまく気持ちを説明できない自閉っ子たちの育てたい「感情の脳」と「伝える脳」
4.”苦手を楽しく克服” お家で出来る音楽の取り入れ方
◆①子どもがお気に入りの1曲を見つけよう!
◆②ママと一緒に音楽を楽しもう!
◆③音楽で会話を広げよう!
5.自閉っ娘が気持ちと出来事を話せるようになった毎日のカラオケ
1.支援級に通う新一年生!慣れてきた頃?くたびれてきた頃?
新一年生、入学おめでとうございます!
保育園・幼稚園の頃とは違って、小学校に入学すると子ども達の生活は大きく変わってしまいますね。
遊びを中心に生活習慣などを学んできた園での生活から、座って勉強が中心の生活になります。
それに加え、登下校や給食、時間割に持ち物の準備や管理、行事ごとなど支援学級で取り組むことがたくさんあります。
環境の変化に弱い自閉っ子たちは、この毎日の学校生活に慣れるのは本当に大変です。
これらのプレッシャーや疲れから、学校や家でも気持ちをうまく言えなくて、以前よりかんしゃくが起きやすくなっていませんか?
一生懸命学校で頑張っているがゆえに、家に帰ってくると荒れてしまったり、イライラしていたり…
そんなお子さんと帰宅後のおうち時間、どう過ごしていますか?
ゲームやユーチューブ、テレビなどで心や脳を落ち着ける時間を過ごすのもいいですが、脳を育てるのに効果的な方法を取り入れてみるのはいかがでしょうか。
お家でリラックスしながらも会話力を育てていくことができる、そんな放課後の時間の上手な使いかたの一つをご紹介します。
2.我が家の自閉っ子娘の幼稚園時代
私の娘は自閉症スペクトラム障害(ASD)の小学3年生で地域の支援学級に通っています。
知的障害が中程度あります。
娘が3歳の時にASDの診断を受けてから、私は療育には通所・個別指導・集団指導・言語指導に通わせました。
フルタイムで臨床心理士として働きながら、療育に通っていたので、主人と有給をとりあい、診断前の親子教室から考えると実に4年。
かなり頑張って療育に通い続けました。
そして家では療育グッズや本もたくさん買い込んで「自閉症にいい!」ものはなんでも試しました。
それでも保育園の時は「何言っているかわからないから、あっち行って!」などと娘は言われていました。
そんな娘は1年生になっても口がうまく回らずに、聞き取れない言葉がとても多かったのです。うまく気持ちを話すことができずに、かんしゃくが学校でも家でも起こっていました。
娘のかんしゃくはひどくなり、私はイライラ。
褒めてもかんしゃく!!
叱ればもっとかんしゃく!!
夜中までこだわりで怒る!!
親子ともにへとへとに疲れてた毎日を過ごしていました。
3.うまく気持ちを説明できない自閉っ子たちの育てたい「感情の脳」と「伝える脳」
私の娘のように、自分の気持ちを上手く言えずかんしゃくをおこしてしまう新一年生の自閉っ子たちの伸ばしてあげたい2つの脳の話をします。
1つ目は「感情の脳」です。
感情の脳が育つと、自分や友達の気持ちを感じられるようになり、空気が読めるようになってゆきます。
感情の脳が未熟だと、感情の脳が興奮しやすいのでかんしゃくが起こりやすくなります。
2つ目は「伝える脳」です。
伝える脳が育つことで、おしゃべりや説明が上手になり、コミュニケーション力がぐんと高まります。
この感情の脳と伝える脳を一緒に育て、コミュニケーション力をアップさせ、成長できる土台をしっかり作っていくのに、おすすめな方法が「音楽を楽しむこと」なのです!
音楽は、「音楽療法」と言って発達障害児のケアに世界中で使われるくらい、脳を育てるのに効果があります。
大好きな音楽を聴くと、感情の脳の興奮を抑えたり、リラックスしたり、脳全体が活性化します。
また、聞きながら歌うと聴覚の脳に近い「伝える脳」が刺激されて、伝える脳も育っていくのです。
自閉っ子がある1曲にこだわるようでしたら、それもまたよしで、よく聴くことで「伝える脳」が育ちやすくなるのです。
気持ちを言えない自閉っ子に、苦手な会話を一生懸命練習させるより、音楽を使うと親子で楽しく脳を育てることができます!
私が「モーツアルトを親子で聴きましょう!」とか「カラオケのこの曲が自閉っ子に効果があります!」と言ったところで本人の興味がなければ意味がありません。
それどころか本人は苦痛になったり、せっかく用意したのに反応がなければママたちも苦しくなってしまいますよね。
4.”苦手を楽しく克服” お家で出来る音楽の取り入れ方
ここからが注目の、2つの脳を同時に育てる“音楽の使い方”の3ステップの紹介です!!
◆①子どもがお気に入りの1曲を見つけよう!
アニメの曲、
幼稚園で歌っていた曲、
CMのたった5秒のフレーズ
なんでもOKです!
もし好きな曲がわからない場合は動画サイトを使い、
「この曲知ってる?」とか
「ママが好きだったんだ。」
と、昔のアニメソングを一緒に聴き、反応を見るのもいいですね!
動画に見入ってしまい、ちっとも聴いていないようならば、音楽だけにする工夫をしてみましょう。
音楽だけを聴かせたい時は、Bluetoothのスピーカーで音楽を飛ばす方法もあります。
◆②ママと一緒に音楽を楽しもう!
歌うもよし!踊るもよし!静かに聴くもよし!
歌わない子は無理に歌わせなくても大丈夫です。
楽しむことが一番です。
音楽に正解はありません!
ママも一緒になって楽しめるものを見つけられるのがベストですが、本人なりに楽しんでいる様子が見られたら十分効果が期待できます。
歌うのが好きなお子さんはスマホを使ってぜひカラオケに挑戦してみてください。
歌詞を読みながらタイミングよく声を出す、音楽に合わせて声を出すなど、たくさんの要素が脳への刺激になるからです。
同じ曲のリピートももちろんOKです!
繰り返し聴いて覚えたり、歌えるようになったら楽しみ方も広がります!
◆③音楽で会話を広げよう!
集中して聴いている時は脳が音楽を処理しているので、あまり話しかけないようにしてくださいね。
音楽が終わって集中が切れてから、声をかけるようにしましょう。
お子さんから何かお話しする場合は、「うんうん。」とうなづいて聞いてあげてくださいね。
聴いていた音楽とは関係ない話だとしても、本人の中で繋がったり思い出した可能性もあるので、「音楽の感想は?」など無理に聞かなくて大丈夫です。
5.自閉っ娘が気持ちと出来事を話せるようになった毎日のカラオケ
学校でも家でもかんしゃく!という親子ともにストレスフルな生活の中、私が発達科学コミュニケーションを学び、できているところをどんどん褒めていったところ、かんしゃくがぐんと落ち着いていきました。
それと比例して、会話の力が伸びてゆきました。学校での出来事を上手に話せるようになったり、「緊張した!」「嬉しい!」など気持ちを言えるようになってきたのです。
そんな娘が9歳の秋にハマったのが、ゲーム機で歌う「カラオケ」でした。
私も音楽が好きですが、主人もカラオケが好きなので、自閉っ子娘は、パパと一緒に歌ったり、パパの歌を聞いたり、カラオケにちなんだ会話をとても楽しんでいました。
カラオケにハマり毎日のように歌っていると、3ヶ月でさらに説明する力がとても伸びました。
1日の出来事をさらにありありと伝えられるようになり、自分の気持ちまでも伝えられるようになりました。
知的障害があり9歳で、ひらがなはまだ書けませんが、会話力がとにかく伸びているので、日常で困ったことがほとんどなくなっているようにさえ見えるのです。
友だち関係も大人の介入なしでやり取りができるほどになりました。
「伝える脳」が毎日のカラオケで急成長しているなぁと実感しています。
「聴く!」と「楽しむ」で、感情の脳と伝える脳が育つことを意識しながら、日常に音楽を取り入れてみてくださいね!
伝える力が伸びて、友達との会話が変わってゆくことも実感されるはずです。
自閉症の子どもの困り事を解決するヒントをたくさんお届けしています!
執筆者:今川ホルン
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)