発達障害の息子に学校や外で今日何があったかを聞いても、「うーん…」と言うだけで、詳しく話してくれません。学校での様子も気になるし、何も答えないのでついイライラと対応してしまいがちです。どうしたら子どもが自分から話したり、質問に答えてくれるようになりますか?
10歳・男の子のママ
学校で何があったか聞いても答えてくれないと、心配で気になりますよね。まずは、質問攻めにするのをやめてみましょう!お母さんがあることをするだけで、お子さんから話してくれるようになるんです。私が実践した方法をお伝えしますね。
発達科学コミュニケーション
トレーナー 山南あや
【目次】
1.聞いてもどうして答えてくれないの?と悩む日々
2.発達障害の子が質問に答えるのが難しい理由とは?
①想像力の問題
②実行機能の問題
③人前で話すことが苦手
3.お母さんが○○な対応をすれば、子どもが質問に答えてくれるようになります!
1.聞いてもどうして答えてくれないの?と悩む日々
学校の様子を知りたくて、いろいろ聞いてみても、いつも
「知らない」
「わからない」
「ふつう」
などという答えしか返ってこない…
一体どうしたら話をしてくれるようになるの?と悩みますよね。
親としては、学校の様子を知りたいし、先生が何か重要なことを伝えているかも?持ち物とか必要なものはないのかな?など気になると思います。
発達障害・自閉症スペクトラム障害(ASD)傾向の息子も、相談者さんのお子さんと同じような反応でしたので、お気持ちがよくわかります。
学校から帰ってきたら、
「今日学校で何があったの?」
「楽しかった?」
「嫌なことはなかった?」
など聞いてみても、
息子の返事は、
「よかった」
「わからない」
など問いかけとは異なる返答をして、どこかへ行ってしまう。
「ねぇ、教えてくれない?」
「なんで、答えないの?」
「聞いているの!」
と矢継ぎ早に問い詰めてしまうことも頻繁になっていきました。
そのうち、「忘れた」が 決まり文句になっていき、「あー、うるさい!」と部屋に逃げ込むことも多くなりました。
学校のことは、ママ友との会話で「学校で○○なことあったけど、どうする?」「○○の行事なんだけど…」などはじめて聞かされることもしばしば。
学校で何をしているのか知らないことを恥ずかしく思い、また「なんで言ってくれないんだろう…」と不安でイライラした気持ちになっていきました。
「聞いても答えてくれない…」
「学校の様子もわからない…」
と、次第に私のストレスと不安もたまっていきました。
そして、相談者さんと同じように「どうして答えてくれないのだろう…」と悩む毎日でした。
2.発達障害の子が質問に答えるのが難しい理由とは?
どうして発達障害の子どもは、質問をしても
・一言しか反応しない
・黙り込んでしまう
・全く関係のない返答をする
という答え方をするのでしょうか。
発達障害の子どもは、答えないのではなく、答えるのが難しいということが考えられます。
発達の特性にもよりますが、多くは以下の理由が挙げられます。
◆①想像力の問題
・相手から質問されたことを、意図をくみ取りながら、言葉の意味を想像することが難しいため
・質問を理解することができず答えることができないため
お母さんが「学校どうだったの?」と聞いても、何がどうだったのかわからず、うまく答えることができないのです。
◆②実行機能の問題
自分の気持ちや考えを整理して、相手に伝えるという一連の作業が苦手なためです。
学校に行ってからの多くの出来事の中で何があって、どんな気持ちだったかを伝えことが苦手なので、すぐに質問に答えられなかったりするのです。
◆③人前で話すことが苦手
お母さんの前でも不安になりやすい特性のため、うまく話すことが苦手なためです。
このように、発達障害の子どもがうまく質問に「答えられない」のは「答えたくない」わけではないのです。
ですから、お母さんが一生懸命お子さんに聞いても答えてくれないのは、脳の特性によるものが原因になっていることもあります。
でも、
「質問に答えてくれるようになる!」
「自分から学校であったことを話してくれるようになる!」
と言う対応策があるといいですよね。
3.お母さんが○○な対応をすれば、子どもが質問に答えてくれるようになります!
では息子が学校のことを話し始めた体験談を交えて、「質問に答えてくれるようになる!」対応方法をお伝えしますね。
まずは、「今日何があったの?」と聞くことをやめました。
学校から帰ってきても「おかえり」以外は何も言わず、何も聞きませんでした。
その代わり、息子が「やっていること」や「できていること」に注目して、どんどん声かけをしていきました。
例えば、
「ランドセル置いたんだね」
「おやつ食べるんだね」
「お皿をさげてくれて、ありがとう」
という声かけです。
また、やり終わったことを褒める声かけや、子どもの存在を肯定する声かけもしました。
例えば、「こんなに頑張っている○○すごいよ。お母さん自慢しちゃおうかな!」などです。
とにかく、息子がやっていることをそのまま声かけすることで、
「認めているよ」
「味方でいるよ」
という思いを伝えていきました。
すると1か月くらい経ったある日、「今日の体育で跳び箱を8段飛べて先生が褒めてくれたんだよ」と学校での出来事を話してくれたのです!
学校で嬉しかった出来事をお母さんに話したい、伝えたいと行動にうつしてくれたのです!
肯定の言葉かけを意識して行ったことで、息子がお母さんに話しても大丈夫!と信頼してくれたのだと思います。
お母さんという最も信頼できる存在にほめられたり、肯定されたりすることで、子どもは日々の生活の中から成功体験を積み、自信をつけて行動できるようになるのです。
そして親子の信頼関係ができ、発達障害の子どものやる気と自信もどんどん引き出すことができます。
また、話しをしてくれたときや質問に答えてくれた時は、その言葉をそのまま受け入れて共感してあげることも大切です。
そうすれば、
「聞いてくれている!」
「話しても大丈夫!」
と安心感を与えられます。
ここで、お母さんが矢継ぎ早に質問し、尋問のように問い詰めたりする対応はNGです。
「また、叱られる」
「また、怒られる」
「話を聞いてくれないし…」
など否定的な感情になり、自信も奪われ、行動することに消極的になってしまいます。
子どもが話しやすいように、答えやすいように工夫してゆっくり待ってあげたり、言いたいことを察して代弁してあげたりすることも大切です。
そして、話してくれたときは、「話してくれてありがとう」と笑顔で伝えてあげてくださいね。
質問攻めにしなくても、子どもから学校での出来事を話し始めてくれたり、質問しても答えてくれたりと親子のコミュニケーションもスムーズになっていきますよ。
すぐには、聞いたことには答えてくれないかもしれません。
しかし、お母さんの言葉かけでどんどん自信をつけてあげることで、肯定された経験が積み重なり、行動にうつせるようになります。
ご相談者さんも、お子さんに肯定の言葉かけをして、親子の信頼関係を築いてくださいね。
子どもから自信と行動力を引き出す声かけを多数お伝えしています!
執筆者:山南あや
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)