この春、小学校に入学した娘がいます。授業中にじっと座っていられなかったり、突然大声を出したり、といった問題行動が見られているそうです。これまで一度も指摘を受けたことはありませんが、小学校入学後に発達障害がわかることはあるのでしょうか?状況を受け入れられず、不安で悩んでいます。
6歳・女の子のママ
不安なお気持ちよくわかります。私の7歳の娘も、小学校入学後に発達障害に似た特性が見られるようになりました。もしかしたら、問題行動の背景にはお子さんの困りごとが隠れているかもしれません。私の体験を交えて、今後の対応方法をお伝えしたいと思います。
発達科学コミュニケーション
トレーナー 杉山かずみ
【目次】
1.うちの子、もしかして発達障害?
娘は0歳で保育園に入園。小学校入学後は、学校と学童保育所に通う生活になりました。
入学して1か月半がたった頃でした。学童のお迎えの際に、指導員の先生から 「〇〇ちゃんは感情のコントロールが苦手なようです」と指摘されたのです。
ソワソワと落ち着きがなく、突然大声を出したり、鉛筆を投げたり。お友だちとのトラブルにつながることも増えてきた、と発達障害の可能性があるという話でした。
小学校入学前は指摘を受けたことも、お友だちとトラブルを起こしたこともなかった娘。 最初は信じられなかったし、信じたくもありませんでした。
そのうち落ち着いてくれるはず!という小さな期待をしたものの、思いは届かず、その問題行動はどんどんエスカレートしていったのです。
では、なぜ問題行動が起きるようになったのでしょうか。
2.子どもも大変‼保育園・幼稚園と小学校はぜんぜん違う
小学校に入学すると、子どもの生活は一変します。
保育園や幼稚園は遊びを通して学ぶことが多く、自由度が高いといえます。一方、小学校は座学による勉強が中心。
大きなランドセルを背負って登下校するだけでも精一杯なのに、小学校入学と同時に高度な社会性を要求されるようになります。
具体的には、
時間割に沿ったスケジュールになる
集団行動が増える
子ども自身が自分で判断し動く場面が増える
授業中はじっと座っている
担任ひとりに対しての児童数が増える
などです。
幼・保・小連携などで、この文化のギャップをスムーズに移行できるようにする動きもありますが、幼稚園や保育園と小学校のギャップは、今でも存在しているのが現状です。
発達に課題のないお子さんでも、この状況に適応することは大変です!
もし、特性があるお子さんなら、本人の努力が必要な活動が増えることで、それまで見逃されていた発達障害の特性が表面化してしまうことも考えられるのです。
3. 発達障害かどうかよりも大切なこと
学校での問題行動を耳にすると、お母さんとしては、この子は発達障害なの?と心配になりますよね。
けれど、発達障害なのかグレーゾーンなのか、それとも小学校入学という環境の変化による一時的なものなのか、ということよりも、大切なことがあります。
それは、今、問題行動が起きているという事実です。
行動の背景にはその子なりの理由や意味がきっとあります。お子さんが何に困っているのかを知り、困りごとがあるのなら、それを可能なかぎり早く取り除いてあげたいですよね。
では、どうしたらよいのか。具体的にお話ししたいと思います。
4.子どもが楽しい小学校生活を送るために
実際に私がやった方法は2つあります。
①子どもを肯定する
子どもが問題行動を起こしたら「どうして大声を出すの?」「物を投げたらダメでしょ」などと言いたくなりますよね。私もそうでした。
しかし、問題行動は本人も悪気があってやっているのではないので、 責めたり、叱ったりすることでは残念ながら解決はしません。
お子さんが発達障害やグレーゾーンだった場合は、さらに問題行動をエスカレートさせたり、親子関係を悪化させたり、してしまうこともあります。
私は、娘を肯定し続けました。
たとえば、小学校から帰ってきたら、「おかえりなさい。疲れたよね。」と毎日、笑顔で抱きしめてあげます。
発達障害の特性のある子は、学校でも叱られたり、注意されたりすることが多いので、 帰ってきたときに機嫌が悪いこともあるかもしれません。
けれど、小学校入学という大きな環境変化のなかで、お子さんはもう十分に頑張っていますから、否定をせずに、お子さんのありのままを受け入れてあげましょう。
発達障害の特性は不安が強いと出やすくなりますので、安心して過ごせる時間を持つことがとても大切になります。安心感は、明日を頑張るエネルギーにつながっていきます。
②情報を集める
お子さんの口から困りごとを聞けるとよいのですが、1年生だと説明することはまだ難しいです。
小学校は保育園や幼稚園のときのように、送迎時にお子さんの様子を垣間見ることもできません。
私は、娘が学童に発達障害の可能性を指摘されてから、すぐに担任の先生に連絡を取りました。
お子さんの発達のことですから、担任の先生がたとえ特性に気づいていたとしても、学校側から保護者に伝えるとしたら慎重にならざるを得ませんよね。
実は「担任の先生も困っている」かもしれないのです。
学校から連絡がこないから大丈夫、と待っていると結果的に対応が遅れることになりますので、お子さんの発達に少しでも不安を感じたら、できるだけ早くこちらから連絡を取り、情報を集めましょう。
担任の先生と1度面談しておくと、些細なことでもお子さんが学校で何かやってしまったときに、すぐに連絡をしてもらえるようになります。
家庭と学校の両面から、お子さんの安心を広げてあげることができます。
今では娘は毎日元気に登校し、「学校が楽しい‼」と話してくれるようになりました。お友だちとも仲良く遊んでいます。
発達障害の特性が小学校入学前まで目立たなかったということは、保育園がお子さんにとって安心できる落ち着ける場所であったのだと思います。
小学校が安心できる場所になれば、確実に問題行動は落ち着いてきますよ。
参考にしてみてくださいね。
小学校入学後の環境変化にもスムーズに適応する方法を多数お伝えしています!
執筆者:杉山かずみ
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)